早いもので、明日からACLが開幕する。今年はワールドカップがあるため、すさまじい日程となっている。J開幕から先んじる事約10日、昨期からも2週間繰り上がりで、この過酷なタイトルマッチが始まる。しかも、今期は4月までにホーム&アウェイで6試合を行い、さらに5月上旬に1/16ファイナルまで終える日程。短期決戦でベスト8までが決まってしまう日程だけに、序盤戦でつまづくと立て直す時間があまりない。と言って、明日、明後日の第1節からフル回転で大会に入るのは、コンディショニング的には相当難しかろう。今期は、ワールドカップがあるのみならず、通常のシーズン終了後、アジアカップまで戦わなければならない非常に特殊なシーズンなのだ。
とは言え、現場はたとえどのように狂的な日程でも、それを受け入れざるを得ない。つらいところだ。
今期ACL出場クラブは、アントラーズ、フロンターレ、ガンバにサンフレッチェ。サンフレッチェがグランパスに代わった以外は、あまり変わりばえしない顔ぶれとなった。元々ACL出場クラブは、厳しい日程に悩まされJリーグでは苦しい戦いを余儀なくされるのだが、連続出場の3クラブはそれを乗り切っただから大したものだ(3クラブとも予想外にACLで早期敗退を余儀なくされたと言う事もあったのだが)。今期はワールドカップ中断までは、一層過酷な日程での戦いとなるがどうなるだろうか。
ざっと4クラブの補強状態を概観してみる。
アントラーズとガンバは、比較的似ている形態の補強策をとってきたように見える。もちろん、相当強かろうが、いささか中核の方々が、お年を召して来たのが気になるとは言えば気になる。
アントラーズは、外国人枠を4枚すべて使ってきた。しかも、李正秀とジウトンはJでの実績がある選手(ジウトンの実績は少々微妙だが、オリヴェイラ氏はジウトンをオールスターで選考するなど高く評価しているのだろう)。Jを3連覇した勝負強いチームに外国人選手の上乗せで、悲願のアジアタイトルを狙おうという事だろう。ただし、このクラブは主軸の小笠原らが皆30歳を越えてきているのが不安材料。まあ皆さん、お元気なのですがね。バックアップに大迫を筆頭に優秀な若手を抱えるが、働き盛りの田代と増田をレンタルに出す(これはこれで先を見ての発想だろうが)英断がどう出るか。
ガンバは、毎期恒例の前線ブラジル人の海外流出に備えたか、最前線に外国籍選手を並べた。遠藤、明神、ルーカス、二川、橋本らで作る好機を敵陣に叩き込む選手が1人いれば、自動的に勝ち点が積み上がっていくと言うねらいだろうか。ただ、ここも主軸の老齢化が気がかり。こちらも皆さんお元気なのですが。そして、中堅を大量にレンタルに出したところまで、アントラーズと似ている。山崎(この人の移籍だけは誤算だったと言う報道を見たが)、寺田、倉田、そして復帰すると思われた家長(これまた来期以降を見据えているのだろうが)。こちらも宇佐見ら強力な若手を抱えているし、選手層は大変分厚いのだが。
フロンターレは、明らかに「今年」を狙った補強。弱点だった左サイドバックに小宮山を獲得したのが何より大ヒット。そして、経験豊富な稲本の獲得。憲剛、谷口を色々な意味で補完する役割を期待してだろうが、先日の東アジア選手権でも、予想以上(と言ってはこの選手に失礼か)の活躍を見せていただけに期待は高まる。このクラブの不安点は、ジュニーニョの衰えがいつ来るかと言う事(ただし最前線の層は厚いし、ジュニーニョ自身も年々老獪さを加えたプレイに「進歩」しているが)と、新監督高畠氏の手腕か(と言っても、08年シーズンに代行監督時代に的確な采配を振るった実績があるから大丈夫そうに思えるが)。
これらの3クラブは、ACLもJリーグも優勝候補であるのは言うまでもない。この難しいシーズンに向けて、どのようにギアを上げて行くかを見るのも大変面白い。
上記3クラブと比較すると、サンフレッチェの戦闘能力は少々苦しいか。中でも最大の問題は柏木の穴をどう埋めるかだろう。補強としては、西川、山崎、山岸ら実効的な選手を多数獲得。寿人と山崎の2トップはとても魅力的だし、西川の加入はシーズンを通し失点を減らす事だろう。しかし、攻撃の変化を担っていた柏木の穴は相当大きいと思う。サンフレッチェは、ACL上位進出のためには、序盤からフルスロットルで大会に臨むのも1つの手段ではないか。代表選手はワールドカップ準備で、そうでない選手はワールドカップ中断期間で、それぞれフィジカルの再整備ができると言う発想で、行けるところまで走ろうと言う考え方だ。比較的若い選手が多いだけに、1つの手段だと思うのだが。
サンフレッチェがこの大会に出場するのは、前身のそのまた前身のアジアチャンピオンクラブトーナメントに69年に出場して以来だから、実に41年振り。松本育夫氏が現役で活躍していた頃にさかのぼる事になる。当時のJSL連覇時代を含めて伝統と実績あふれるこのクラブだが、決して経済的に恵まれているとは言えない中でのこの大会進出は、それだけでも極めて高く評価されるものだ。
例年にも増して過酷な日程ではあるが、やはりACLは愉しい大会だ。昨期は日本チームは比較的早期の直接対決が多かった事もあり、決勝進出はならず、国立で悔しい思いで決勝を見せられたものだ。今期も決勝は国立で行われると言う。日本勢同士の決勝など見られれば最高なのだが。
山岸ではなく山崎ですよね?
山崎にしてもシャドーだと思われますが。
山崎はキャンプで好調だったようですが、
負傷でACL初戦は間に合わないようです。
ご指摘の通り非常に厳しい戦いですが、
貴重な機会だけにやりきって欲しいです