本日(3月1日)発売のエルゴラッソに掲載されている、レッズの新人選手宇賀神友弥のインタビューが抜群に面白い。
この選手については、レッズユース出身で流通経済大で活躍し、出戻りの形でレッズに加入した事と、競争の厳しいレッズの中でもレギュラ候補の地位を確保している事くらいしか知らなかった。また流通経済大についても、1軍相当のチームが関東大学リーグ、2軍相当がJFL、3軍相当が関東社会人リーグに席を置き(3軍チームとは言え、天皇杯出場権を後一歩で逃すような強力なチーム)、選手に実戦経験を積ませる事で良好な選手を多数輩出している事くらいしか知らなかった。
宇賀神のこのインタビューは、同大学で行われている強化を内側から具体的に説明してくれているのみならず、ユースで伸び切らなかった選手がいかにして今日の地位を築いて来たかを自分の言葉で見事に語ってくれているものだ。
宇賀神は1年次は上記3軍にも入れなかったとの事。この1年の時のエピソードがすばらしい。プレイ面以外でも「雑用が多く生活が厳しくて耐えられなかった」と語っているのだが、その最も厳しい雑用が「高校生の試合の審判派遣」だと言う。朝6時に起きて4試合審判をするような生活が続く事もあったようだ。この審判派遣は、なるほど若い選手を鍛える手段としては絶妙に思えた。
2年で3軍に昇格した際の、厳しいトレーニングがまた興味深い。具体名は出てこないが、相当強烈なコーチの下で鍛練を重ねた模様で、サッカーへの取組そのものが変わったとの事。この年に関東社会人2部でベストイレブンとなり、チームは1部昇格、本人は2軍昇格となる。
3年になり2軍に加入し、JFLでもプレイ、さらにはJリーグクラブとの練習試合を含め毎週のように月10試合くらいをこなしたとの事。代表選手の試合過多は大問題だが、伸び盛りの若い選手はこのくらい試合を重ねるのは多いに結構な事だろう。さらに3年の後期からは、1軍で関東大学リーグの試合とJFLを掛け持ちする事もあり、4年で完全に1軍に定着したとの事。
また「筋トレとクロスボールの個人練習だけは人一倍やった」と言う選手の成長と言う意味で非常に重要な示唆に思える発言あり、「レッズには絶対行かない、アルディージャに行ってやる」と思っていたなど、性格はプロ向きだなと思える発言あり、「もし、ユースのときにプロからのオファーがあれば、どこにでも行っていたと思うけれど、冷静に考えると、ちょうど今ごろ戦力外になっていただろうなと思うこともある。そのくらい、大学で成長ができたと言う実感があります。」と言う今日の日本のトップレベルのサッカー界の課題をバッサリと切り出すような発言もあり、実に愉しいインタビューだ。
これだけ「具体的に語れる」選手だ。将来を嘱望できるタレントだと思う。期待して見守って行きたい。
2010年03月01日
この記事へのトラックバック
いつも楽しく拝見しております。
自分も、この宇賀神選手のインタビュー
読んでいて、とても面白くて、興味深かったです。
エルゴラのツイッターによると、
このインタビューは「エルゴラ史上最高のインタビュー」だったとのこと。
それにしても、流通経済大学はスゴイですね。
大学の規格を超え始めている気がします。
今年からJFLの規約が変更になり、関東大学リーグとJFLの
二種登録が禁止されたため、完全にJFLのチームが
独立したそうです。
http://supportista.jp/2010/01/news24100120.html
行く行くは、J入りも視野に入れてるとか?
確か流経大がサッカーに力を入れ始めたキッカケは
在校生が自分の大学の名前を、恥ずかしくて他校の生徒に言えなかったから
サッカーで大学の名前を有名にして、そのコンプレックスを解消するのが
目的の一つだったと、どこかで読んだ気がします。
ユース上がりの選手が、伸び悩んでいる今のJで
大学経由で揉まれてきた彼が、ドコまで行くのか楽しみな気がします。
(他サポですが)
これからも、ブログ楽しみしています。
それでは、失礼します。
彼が底力を掴み取った過程がはっきりと伝わってきました。
ところで、彼の2年時、鍛え上げたコーチはどなたなんでしょうか?
流経は1軍2軍を見たことありますけど、J1で通用する選手は少ないです。
「部活」式のやり方は燃え尽き症候群も多いし
あんまり好きじゃないですね。
流経は少し高度な戦術練習をしてるので面白いですけど
大学の戦術レベルの低さはユース以下な気もします。
日本の大学サッカーは良い受け皿だよ!