2010年03月22日

ベガルタ、守備の欠点を露呈した敗戦

 ベガルタはサンガに苦杯を喫した。負けた事は仕方がないが、色々と考えさせられる試合だった。
 まず何より、菅井の負傷が重そうな事が心配。軽傷である事を望むのみだが、次節の登場は難しいだろうか。そうなると、この日菅井の負傷後サイドバックに下がった田村が起用されるのだろうが、千葉が負傷離脱しているボランチがどうなるか。個人的にはこのあたりで移籍で獲得した高橋の登場を期待したいところだが。

 この日の2失点は、それぞれベガルタ守備の課題が浮き彫りになったとも言える。
 1点目は柳沢がしっかりと後方からのパスを収め、正確に渡辺大剛に展開されて完全に崩された。柳沢の受けのうまさといい、渡辺のクロスの精度と言い、後方から長駆してくる角田と言い、非常にレベルの高いプレイを3本続けられては。ただし、攻撃から守備への切り替えは素早いが、各選手が引く事に拘泥し、技術の高い選手に振り回される、第1節からの欠点(欠点と言うよりは、次なる課題と言う方が正しいかもしれないが)を的確に突かれた失点だった(その後も引き過ぎた朴のサイドを崩され、後方から進出した角田の強シュートがポストをたたく決定機を許している、サンガはベガルタの弱点をしっかりと把握していたのだ)。
 また2点目は、長所のはずの攻撃から守備の切り替えの早さが完全にボケていた。水谷の好フィードは見事だったが、CKの好機を逸した直後だけに、「精神的に抜けていた」としかいいようのない失点だった(得点したディエゴはオフサイドだったように思うけれど、完全に崩されていたのは確かだから、おもしろくないが仕方がない)。
 気になったのは、菅井負傷後の永井の起用。先制された後(サンガが引いていた事もあるが)鋭いカウンタで好機を幾度か作り、中原の一撃でようやく追いついた時間帯。敵地での試合、上記した角田のポスト弾などを考えれば、落ち着いて守備を固めるべき時間帯だった。斉藤なり鎌田を起用すべきだったのではないか。実際、永井は梁と共に再三前進し、よい組み立てを見せたのは確かだが、結果的にチーム全体が完全に前掛りになっていた。後半立ち上がりの失点は、そのような前掛りを突かれたものだった。厳しい言い方かもしれないが、手倉森氏は物事を楽観的に考え過ぎたのではないか。 

 2−1になった以降、しばらく攻めあぐんだが、エリゼウが自身のインタセプトからの攻撃参加から、梁、フェルナンジーニョの美しいパス交換で抜け出した決定機以降、ベガルタは攻勢をとる。
 そして、終盤攻勢をとり幾度か決定機をつかむ事はできた(GKの水谷の大当たりはすばらしく、崩し切れなかったがあれはもう仕方がない)。終盤は前掛りになりながらもうまくサンガの速攻を押さえる事もできた。。太田とフェルナンジーニョを併用して梁をボランチに下げるスクランブル布陣もそれなりに機能した。中原が90分スタミナを切らす事なくファイトを継続した事は、初得点以上に嬉しい兆しに思える。
 しかし、ベガルタがよくなったのは柳沢が交代した以降だったのも確かなのだ。言い換えれば、受けのうまさでトップレベルの最前線がいるチームに対しては、常に難しい状況に陥りかねないと言う事でもある。実際、過去2節を振り返ると、ジュビロは前田を欠き、アルディージャはラファエルを欠いていた。

 そう考えると、この敗戦は初めて勝ち点を落としたと言う結果のみで語られるべきではなく、内容面の問題が顕在化した敗戦と議論されるべきだろう。
 もちろん、悲観ばかりするのは意味のない事だ。レベルの高いトップリーグの中で、攻守ともに精度にしっかりと磨きをかけ、レベルを上げる余地はまだたっぷり残されている。また、あれだけ研究されながらも得点を重ねる事ができる梁のセットプレイと言う切り札は当面各チームを悩ませる事だろう(上記したように、ここに中原の覚醒やレイナルドの定着などの上積みがあれば、さらに期待は高まる)。
 いずれのチームにも、しっかりと食らいつき、丁寧に勝ち点を積み上げて行く事を淡々と愚直に繰り返す事で、J1を十分に戦い抜く目鼻はついたのだ。楽観もせず、悲観もせず、久々のJ1をじっくりと堪能していきたい。
posted by 武藤文雄 at 23:11| Comment(3) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちわ。いつも楽しく拝見しております。

地元で現地観戦のレポを書かせていただきました。よろしかったら名前をポチ!お願いします。

柳沢の調子自体は7割程度だと思いましたが、見事に幻惑しておりました。新戦力のチエゴが安定すれば、もっと多彩になると思います。
ベンチに控えているスピード系の選手を投入して、もっとイジめてやる(笑)手もあったかもしれませんが、そこは手堅い“講釈師様の故郷の先輩”の采配(笑)でありまして、ガチガチにゲームを終わらせることができました。

しかしリャンは怖かった……渡辺選手からの長いパスがもっと活かせればいいと思うのですけど。
Posted by molirinho at 2010年03月22日 23:54
次はチョジェジンが受けて、平井が切り裂きますよ

うひひ
Posted by ガンバサポ at 2010年03月25日 17:37
2失点目は田村のヘディングシュートから始まってるのでアクシデントのせいで選手のCK時のチーム全体の選手の配置がいまいち煮詰まってなくて混乱したかなって感じですかね。
Posted by at 2010年03月25日 19:22
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