2010年04月05日

中澤佑二の集大成

 英語に「decade」と言う単語がある。いわゆる「10年間」と言う意味で使う単語で、なかなか、ぴたりとする日本語がないのだが、しいて訳せば「時代」か。もっとも、日本語でも、80年代とか90年代と言い方は普通にあるし、「十年一昔」と言うことばもある訳で、該当する単語こそないが、我々も長い期間を「10年」と言うくくりで見る事は多い。
 言うまでもなく、サッカー界は4年サイクルで動いている訳だが、それより長い10年で見据えてみるのも興味深い見方となる。私も時々そのような俯瞰を試みる事がある(たとえばこんな話で)。

 で、大変唐突だが、日本サッカー界を代表する選手を「decade」的見地から眺めてみる。
 「80年代を代表する選手」と言えば加藤久だろう。木村和司と奥寺康彦の扱いが議論になるだろうが、木村は「印象点」では最高の存在である事は間違いないが、「時代」を通しての安定感に欠けた。奥寺は当時の事情で、日本代表での活躍が非常に少ない。(もちろん、欧州での安定した活躍とACLの初制覇の貢献から奥寺を選ぶ人も多かろうが)。
 「90年代」は議論の余地なく井原正巳である。カズは「スタア」としては、日本サッカー史上最高の存在だが、「選手」としては井原だ。もちろん、中山雅史だ、福田正博だと、様々な思いを語る方もあるだろうが、これについては異論を受け付ける気は一切ない(笑)。

 では「00年代」はどうだろう。これについては議論がかなり分かれそうだ。中田英寿も小野伸二もキャリアの後半の多くは控えに甘んじ、代表でもアジアカップ制覇にはほとんど貢献していない。遠藤保仁が卓越してきたのはここ数年だ。川口能活は代表の定位置を確保できない期間も長かった。最盛期の久保竜彦の輝きは最高クラスだったが、その期間はあまりに短かった。
 そうこう考えると、長期に渡る安定した活躍と言う視点から、「候補」は中澤佑二と中村俊輔に絞られるのではないか。共に2002年大会は、最終選考で落選。その後、完全に代表の中核的存在となり、その活躍は今日まで継続。単独チームでも中澤を軸としたマリノスの2連覇、06−07年シーズンの中村のスコットランドの全タイトル獲得など甲乙つけがたい実績だ。
 そして、この2人のいずれかを選ぶとなると、なかなか悩ましい。迷いながらも、ここ最近の代表チームでの抜群のリーダシップから、中澤を選ぶ事にしようと思う。

 まあ、このあたり異論は多々あろうが、このような事を真剣に考えるのもまた、サッカーの愉しさ。酒の肴として是非皆さんで議論ください。

 で、今日のお題はここから。
 そうこう考えつつ、私は南アフリカでの中澤のプレイが愉しみで仕方がないのだ。
 最近の中澤のプレイは実に見応えがある。確かに往事の肉体的強さはなくなってきたかもしれないし、たまにスピードあるFWにやられる事もある。けれども、的確な読みに裏打ちされた位置取りの見事さ、ボールを奪った後の展開の選択のよさと正確さ。いかにも不器用そうでギクシャクはしているが、どのような敵のアプローチも沈着冷静に対応し、いずれのパスも丁寧に腰を入れて確実に味方に展開する。これらの1つ1つのプレイ振りは、見ていて本当に愉しい。
 そして、その中澤の集大成となるのが、南アフリカになる。カメルーン、オランダ、デンマーク、そしてそこの突破に成功すれば、さらなる列強国。世界の名手に対し、老獪さを身につけた我らのこの英雄が、どのような守備能力、組織能力、そしてリーダシップを見せてくれるか。
 日の丸をつけた中澤佑二のキャリアは、あと僅かになってきた。その1つ1つを、大事にこの目に焼き付けていきたい。
posted by 武藤文雄 at 23:29| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 
 武藤さんのノミネートからは漏れてますが、
高原直泰に一票を投じます。
 基準を「長期に渡る安定した活躍」とすると疑問符がつくのですが、
02年のJでの爆発や06−07ブンデスでの二桁ゴールなど、
前線の選手の中では最高の実績ではないでしょうか。
Posted by leftfoot at 2010年04月06日 01:41
インパクトは中田が強かったですね、自分が一番多感な年頃に活躍していたので贔屓目もあるでしょうが。
2000年代も後半に入り、これからをの代表を担うであろう選手が続々と出てきているのは嬉しい限りですね。
Posted by at 2010年04月06日 22:29
ベガさぽで初コメです。武藤さんの中の代表選手は久さん、井原、中澤と皆DFなんですね。次の10年までにはどんなDFが出てくるか楽しみです。
Posted by at 2010年04月06日 23:40
00年代はやはり中田しかいないと思います。

パルマ移籍以降のセリエAでも60パーセントのスタメン出場率。
多くを控えに甘んじ、という間違った認識は改められた方がよろしいかと。

そしてローマでスクデット、パルマでイタリア杯優勝。
代表においても、アジアカップは五輪出場やケガで縁が無かったものの
3大会連続のワールドカップ出場に勝る実績は無いでしょう。

それを引き継ぐ2010年代候補は、やはり本田が一番手ですかね。
Posted by コリグ at 2010年04月06日 23:51
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック