JFLのツェーゲン金沢でプレイする久保。これまでの6節を、ほぼフル出場、3得点を挙げているとの事だ。そもそも久保が、フル出場に近い状態になる事そのものが、久しぶりのはず。それだけでも嬉しくなって来ているが、本インタビューは、長期に渡る負傷がようやく癒えようとしている事を予感させてくれるから嬉しい。
かつて、日本最高のストライカとして君臨した久保。と、言っても代表チームにおける全盛期は03年末から04年前半までの、僅か半年強だったのだが。でもこの試合を含め、あの頃の久保は本当にすごかった。繰り返し述べているが、あれだけ短い期間の活躍にもかかわらず、日本代表のストライカとしての印象は、釜本、カズに匹敵するものがある。
その久保が、長い長い負傷を乗り越えて、(たとえ3部リーグだとしても)少しずつ全盛期のフォームを取り戻しつつあるようだ。チェコを沈黙させた、あの全盛期のストライカ振りは戻らないかもしれない。30代半ばになり、フィジカルも相当厳しくなってきているだろう。でも、その難しい状況下にもかかわらず、このインタビューは希望に満ち溢れているものだ。
いくつか、このインタビューでの、久保のコメントを抜粋してみる。
「自分としてはサッカーができて楽しいですね。去年は2試合しか出ていないですから。でも、これからずっと全力を出し切ることを続けていれば、自分がイメージしているパフォーマンスに近づけると思うし、それが楽しみで、今はやっていますね。」どうやら、我々は(大変遅ればせながら)酒を1滴も飲まない久保竜彦を獲得した模様だ。これはこれで、すごい事のような気もする。
「(「”神の手”とも言われる名トレーナの治療を受けている」事を問われて)ちょっとずつだけど良くなるんですよ。普通にかがめるようになったり、それまでできんかったことができるようになって、今はもう痛みがなくやれている。自分の思い描いているプレーにちょっとずつ近づいている感じですね。ドイツ・ワールドカップ前にそうなっていたら、良かったんですけど(苦笑)。」
「いつ痛みが戻るんかなっていう不安もありますけど、少しずつ良くなってきて、このままずっと続けたらどうなるんだろうっていう楽しみがあるんですよ。先生に出会ってから、酒もタバコも断ちましたし、食生活も変えました。」
そして、この負傷に悩まされ続けて来た、最高級のストライカが、33歳になりがらも、何とかベストフォームに近づこうともがいている現状を喜びたい。久保と我々の夢は幻と消えるかもしれない、けれどもこの不世出のストライカが、トップレベルに戻ろうともがいている事そのものが嬉しい。
さらに、久保は続けて語っている。
「なにも考えずに動けるのが理想だと思うんですよ。でも俺のイメージのなかで、どこかおかしいんですよ。シュートを打つまでの一連の動作のなかで、どかか突っかかりがあるんですよ。ボールにたとえたら、なんかおかしいところがなければ、上手にスルスルって転がるじゃないですか?でもどこかに、”米粒”でもあったら、ポコンって動きが泊まってしまう。サッカーはすべて動きのなかでやるじゃないですか?コロコロ転がるように先生と治している感じですね。」と言う事なのだろう。日本中の皆が、その「米粒」が消え去り、あの傍若無人なストライカが一瞬でも再登場する事を祈っている。
98年には城、中山、呂比須、岡野。02年には柳沢、鈴木、西澤、微妙に中山。06年には柳沢、高原、大黒、玉田、巻。2ヶ月後に登場するのは、岡崎と本田圭祐と、あと誰だろうか。
そして、この4年おきの甘美な記憶の中に、久保竜彦が登場しなかったのだ。その不在を、私は呪う。
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しかもかなり多弁で語彙も豊富。
そのことにまず驚きました。
駄目になる選手はなんらかの理由があるものですね
インタビューとかは普段じゃないからw