2010年04月30日

少年公式戦、8人制に移行

 明日ベガルタは、ユアテックでセレッソと対決。あの幸せな一日以来の対戦だ。積極的補強をした先方だが、チームの基盤は今のところ大きな変化はない。当方も上積みはあるのだし、ここ3連敗の失態をしっかり反省し、敵の「嫌がる事」をしっかり遂行する事で、勝ち点3は十分に可能なはず。楽観は許されないが、よい結果を期待したい。
 このような報道を見ると、「ベガルタはうまく行っている」と、改めて実感する。大丈夫だ。

 で、今日のお題は結構本質的なお話。
 日本協会が小学生世代の公式戦を、従来の11人制から8人制に移行する事を決定したと言う。これは、日本サッカー界にとっては「代表チームやJリーグがどうしたこうした」よりも大事かもしれない。
 総論としては賛成だが、各論をどうさばくかはこれから現場がいかに消化するかどうかと言う事になるな。

 以前述べた事があるが、少ない人数の試合は、少年指導をしている立場からすると「下手な子供でもかなりプレイに参加できる」と言う利点がある。実際、少人数の大会だと、得点までは行かずとも、アシストくらいは、多くの子が達成できる。
 普段、ほとんどボールに触れないA君が、うまくアシストでもしてくれればしめたもの。当方は「A!サンキュー!」と声を張り上げる(気分は大熊清だな)。普段はその子に厳しいチームメート達も、「皆で盛り上がれば愉しい」とはわかっているから、「A!ナイス!」と盛り上がる。そうなると、A君自身も胸を張って、ますますプレイに参加する。試合終了後、A君のアシストを受けて得点したエース君は、さすが日本人「今日はAのおかげで得点できた」みたいなクサい台詞を吐く。かくして、ポジティブフィードバックが成立する。そのような連鎖が続き、A君は地味だが、しっかりと自分のゾーンを守ったり、丁寧に味方にボールをつなげる選手になる。
 もちろん上記は理想論だが、そのようなきっかけで自信をつけ、取り組む姿勢が一層よくなり、堂々と中学校までサッカーをするようになった少年が、現実の世界にそれなりにいるのだ。少人数公式戦の増加を歓迎するものである。
 ただし、今後難しくなるのは、11人制と比較して「公式戦に出場機会が減る子供が増えるリスク」である。このあたりは、子供達を指導していて、非常に難しいところ。上記した「総論賛成だが、各論どうする」問題はここにある。「少年時は勝たなくてもよい」事は間違いないと確信しているが「勝とうとしない事は正解か」と言う問いに対する回答は中々難しい。シビアな試合となると、控えの子供は「僕は出なくてもいいから、とにかく勝ちたい」と言い出す事も多いのだ(これを日本人的と言うステレオタイプで議論すると、おかしくなる)。もっとも、この問題に対する解は、11人だろうが8人だろうが同じ事なのだが。

 また、日本協会の上記方針の意図は「普及よりもエリート育成」にあるような気もする。より質の高い選手を育てるためには、小学生時代は少人数のサッカーの方が(よりボールに触る機会が多く)適切と言う意見(特に、「西欧や南米では、小学生年代で11人制の試合は稀」と言う報告をしばしば聞く、事実かどうかはよくわからないが)は、それなりに正論だろう。
 そして、現実的に「サッカーをやる少年」の比率は、現在既に相当なレベルにある。もちろん、努力を怠るべきではないだろうが、量的な拡大は容易ではないところに来ているのだ。今後必要なのは、質的な向上である事は間違いない。
 もちろん、限界を極める事とは縁が遠いが、サッカーを愉しむ人の量的向上は、それはそれでものすごく重要。そのためには、上記した「サンキュー」は、とてもとても大事なのだ。さらには、これらの質量両面での向上で、かなり重要なポイントは女子人口の増大となるが、これはこれで別な方策が必要だろう。

 そうこう考えた時に、私が述べた底辺拡大と、協会が意図する質的向上において、「8人制への転換」は適切な策なように思える。もちろん、上記の「公式戦に出場機会が減る子供が増えるリスク」など、別問題へのウォッチは必要なのは言うまでもないが。
 まずは、この日本協会の決定に敬意を表し、現場でうまく運用する事が肝要と見る。まずはやってみる事だな。
posted by 武藤文雄 at 23:28| Comment(9) | TrackBack(0) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほどそうかも。でもフォーメーションとか色々面倒そうではありますね。2-4-1とかでしょうか。ウイングバック量産国になったりして(笑)
Posted by 木村カズ at 2010年05月01日 06:12
>僕は出なくてもいいから、とにかく勝ちたい

あったなぁ。
自分が出ない方が良い結果が出ることが分かっていたから、
出場機会を与えられるのが申し訳なくてたまらなかった少年時代…
サッカー自体は好きだったから続けていたけど、
試合前になると憂鬱になったものです。
Posted by 「シビアな試合」かどうかは正直なところ関係ないですね at 2010年05月01日 09:40
出場人数が減ると言う欠点は、1団体複数チーム登録を可能にすれば補えるように思えるのです。
8人制は、フルコートの半分ぐらいですから、フルコートを取れるグラウンドなら、2つのピッチを同時に活用できると言う単純な考えです。

現実的かどうかわかりませんが。

私は、だれもがいつもピッチに立てる状況作りこそが育成の成功に繋がると思っています。
Posted by シャルツ1993 at 2010年05月01日 11:32
8人制のルール、審判方法に関しては、どうお考えですか?

現行の審判方法はかなり厳しいっすよ。(おっさんの体力的に)
Posted by naname at 2010年05月01日 12:33
レベル差がある選手同士が8人でやると相当差がついてしまうことが多いのですが。
11人だとカバーできたことがまず無理になるのは、よりうまくない選手を際立たせると感じます。
底辺の底辺の子供が同じレベル同士でできる仕組みがあれば、多分楽しいです。実際はレベル差がある対戦になることが多くて、親は泣きそうになります。
Posted by むろい at 2010年05月02日 17:53
いつもながら、愛のある興味深い講釈ありがとうございます。案外というかかなりこのトピックは日本サッカー界の未来にとって重要な問題と可能性を含んでいる気がします。
現場の指導者とプロ選手と海外の事情に詳しいジャーナリストたちを集めて、どこぞの組織が鐘を鳴らしてカネ出して、ラウンドテーブルでもしてほしい。この手の議論をしっかり盛り上げかつ深められることができれば、代表チームの浮き沈みなんぞなんとかなるのでは、と腹をくくって(現実逃避?)みたくもなりますね。
Posted by 多士蟹 at 2010年05月03日 12:51
シャルツ1993さんの意見に同意です
チーム数を増やして、より多くの子どもが(というよりすべてのプレーヤーが)ピッチに立ちサッカーを楽しむ機会を増やすべきですね

当たり前のことですがサッカーって楽しむためにするものですからね
Posted by Dortmund06 at 2010年05月05日 12:07
 ボールに触れる機会が増える。ゴール前のチャンスも増える。ゲームの中でシビアな局面が増えることは大いに結構なことだと思います。

 シャルツ1993さんが言われているように複数登録を可能にすればより多くの子どもたちがプレーの機会を持てるものだと思います。

 そこに定期的なリーグ戦を絡ませればより良いと思うのですが・・・運営等々、かなり大変だとは思われますが。

 ともかく、サッカー(試合)を楽しめるということが一番ですよね。
Posted by カタヤマン at 2010年05月06日 11:05
8人制はよいですね。良い点はおいておいて笑)

2点考えました。

一つ目は、一クラブからの複数参加を可能とする大会とする。ということです。
シャルツ1993さんと同じです。

二つ目は、移籍に関する文化を根付かせたい。です。

特にこの2点目については、チームの勝敗に遠慮する子を生み出す現状ではなく、大会・ゲームに出られることが当たり前。という意味合いです。

移籍するという事で、自身が思う〔強い思い〕を持つといった現象もありますが、それよりも、移籍する事を理解し見守る環境が地域に根付くといいな。と、考えています。
Posted by まるこう at 2010年05月06日 19:00
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/148362608

この記事へのトラックバック