2010年05月01日

かろうじての引き分けだが、活路は見えてきている

 ベガルタはユアテックで、苦労に苦労を重ね、セレッソとかろうじて引き分けた。ホームと言う事、さらに後半に先制できた事を考えると残念な気もする。けれども、内容的には、マルチネス、香川、家長ら個人能力に優れた選手を揃えたセレッソに終始攻勢を取られながら、我慢を重ねて、かろうじて引き分けを確保したと言うもの。ここまでの3連敗を考えると、ここ4試合でようやく獲得した勝ち点1は、とても貴重なものと考えるべきなのだろう。

 開始早々から、セレッソが猛攻。マルチネスがよくボールを散らし、香川と家長がドリブルで仕掛けてくると、ベガルタ守備陣は腰が引けてしまい、ラインをズルズルと下げざるを得なくなる。10分過ぎに、香川が左サイドの家長に展開、フリーの家長が狙い済ましたクロスをアドリアーノがヘッド、バーに当たったボールを鎌田がクリアし切れずにアドリアーノに再び押し込まれ、林がかろうじてかき出す。ただ、映像で見た限りは林がかき出した際に、ボールは既にゴールラインを完全に超過していたように見えたが、審判団は得点を認めず、もちろん文句を言う筋合いではない。
 以降も、マルチネスの展開で再三両サイドバックの高橋、尾亦がフリーで拠点を作り、そこからよい体勢の香川、家長、さらにそれに加わる乾のドリブルに悩む。さらに、リーグ序盤はリズムを壊していたアドリアーノとアマラウがよく機能するようになっていて、ボールを奪ってもすぐに奪い返される。結果、ベガルタはボールも思うようにつなげず、ほとんど攻め込む事すらできず、かろうじてCKあるいはFKでしのぐ時間帯が継続する。
 ただし、前節からスタメン起用されている鎌田が、実に心憎いインタセプトを再三見せる。また、苦し紛れで後方から繰り出すロングボールを、相当の頻度で中原が収めてくれる。さらには太田が前後左右あちらこちらに精力的に顔を出し、再三攻撃の起点となる。そんなこんなで、何とか一息ついているうちに、次第にラインを上げられるようになってくる。30分過ぎに丁寧にボールを回し、フリーとなった朴のクロスを中原が落として太田が狙うも、セレッソGK金鎮鉉のファインセーブで防がれた場面は惜しかった。
 とは言え、ベガルタの好機はこのくらい、大胆な攻撃参加で劣勢打開に努力していた菅井までが負傷退場、「よくまあ、0点に押さえる事に成功した」と言う前半だった。

 後半も立ち上がりから、乾に切れ込まれるなど、劣勢は継続。アドリアーノに1対1抜け出されるが林の超ファインプレイでしのぐなど、苦しい時間が続く。ただし、序盤に投入された関口が再三左サイドを突破に成功するあたりから、押し込まれる時間帯は少しずつ減ってくる。この交代は当たった訳だが、前半に負傷で菅井を失っていたためにカードを1枚使った状態で、後半開始早々に2枚目の交代カードを切らなければならないのだから、いかに劣勢だったかわかろうと言うもの。
 そうこうしているうちに、ベガルタが先制するから、サッカーはおもしろい。幾度かの連続攻撃(特に千葉のミドルシュートが金鎮鉉に防がれた場面は惜しかった)からつかんだCK。梁の見事なボールが、ファーに流れたボールを関口が落とし、鎌田が強烈が一撃を決めたもの。鎌田は守備での活躍を含め、この日のマンオブザマッチだった事は間違いない。そして、勝負ところで本当に梁は頼りになる選手だと再確認。
 さすがにセレッソにも攻め疲れが見られ、ベガルタは有効なカウンタもできるようになる。ここで、マルチネスが負傷交代。「よし、一番厄介な選手がいなくなった」と喜んだのはぬか喜びとなる。
 セレッソはマルチネスに代えて、大型なストライカ小松を起用、家長がボランチに下がる。このボランチ家長が有効だった(そう言えば、昨期の終盤にトリニータでのボランチ家長がすばらしかったのを思い出した、今日だけは思い出したくなかったのだが)。
 そして、ベガルタの中途半端なカウンタのミス(切れ込んだ関口のミスパスも残念だったが、千葉は押し上げた以上は、あのパスを拾って欲しかったところだが)から、逆襲を許し(どちらかと言うと空中戦に猛威を発揮する)小松に、エリゼウが完全に抜かれ、グラウンダのセンタリングを許し、アドリアーノに押し込まれて同点になってしまう。
 その後ベガルタは、朴、千葉、梁の3人が相当しんどくなっていたにもかかわらず、フェルナンジーニョを(まだ動けていた)中島に代えて投入。セレッソの運動量も落ちていたので、それなりに攻め込めるようにはなっていたが、逆に当方のミスパスから危ない場面も多く、落ち着かない試合が継続。セレッソが交代枠を2枚残しながら、終盤の守備固めにしか、その2枠を使わなかった事もあり、大過なく試合終了(このあたりは敵地引き分けでよしと、クルピ氏が判断したのだろう)。1−1の引き分けで90分を終えた。

 マルチネス、家長、香川の3人はJ1でも屈指のタレント(香川に妙にファウルを誘うプレイが目立ち、突破が少ないのが気にはなったが)、この難敵とまともに戦って劣勢になるのは仕方のないところもある。だからこそ、勇気を持ってラインを上げて厳しい守備をする必要があったのだが。褒められた内容ではなかったが、鎌田が素晴らしかった事、太田が活動量を活かして活躍した事、そして控えに回っていた関口が光り輝いた事など、収穫もあった。丁寧に激しく戦う事で活路が見出せる事も再確認された試合だった。次節は敵地でFC東京、セレッソ以上に格段のタレントを揃えているチームだ。難しく苦しい戦いが続くが、やりようは見えて来ているのだから、粘り強く戦いたい。
posted by 武藤文雄 at 23:45| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
鎌田にアシストしたのは関口ではなく中島ですよ。
どぎまぎする試合が続きますけど、サポート楽しみましょう。
Posted by at 2010年05月02日 09:19
テレビ放送で見ましたが、両チームともカウンターの一つ目でミスが多かったかな。
せっかくいい形で奪っても一発目のパスでミスしてロストをお互いやりあっていた印象です。
武藤さんのこともあって仙台贔屓で見ていたので、あの劣勢から先制点取れた時は興奮しましたが、関口選手のパスミスの瞬間・・・拾える勝ちだったのに・・・というかんじでした。
セレッソから見れば押し込んだのに先制できなくてよく引き分けにできた。ベガルタから見ればあれだけ中盤で危ういロスト繰り返して1失点で済ましてよく引き分けにできた。ということで妥当なドローでしょうか。
見方によってはどっちも自分たち次第で勝ち試合にできたような気もするけど。
サポじゃない私が言ってるのが偉そうに見えたならすみません……。

アシストは中島だったと思いますよ。あの丁寧な落としは中島の真骨頂じゃないのかな?
Posted by kg at 2010年05月03日 01:41
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