2010年05月08日

ワールドカップメンバ選考と言うもの

 梁勇基のワールドカップ北朝鮮代表の可能性が高まって来たと言う報道が相次いでいる。1次情報が不明瞭だが、どうやらこちらの記事に述べられているように、在日朝鮮人協会筋からの情報の模様。この情報を真実だとすると、北朝鮮は25人の代表候補を最後に絞る魂胆らしい。梁がワールドカップメンバに入り、試合に出場するとしたら、ベガルタサポータとしては、本当に誇らしいし、嬉しい事だ。けれども、上記情報が正確だとしたら、まだメンバ入りが決定した訳ではないようだ。梁のメンバ入りについては、あまりに多くの想いが錯綜する.その想いについて講釈を垂れるのは「正式に選考された時」まで、とっておこうと思う。

 で、日本代表。

 「Jリーグは代表選考のためにだけ存在するのではない!」と言う正論を言いたいのは山々だ。けれども、「できるだけ多くの方々にサッカーに感心を持っていただくためには仕方がない」と、ここは大人になるべきなのだろう。ワールドカップがあろうがなかろうが、Jリーグは着実にこの国に定着し、多くの人々がJリーグを愉しんでいる事そのものは間違いないのだから、文句を言う必要もないのかもしれないし。そして、ワールドカップメンバ選考をあれこれ考えるのは、あまりに刺激的なのだし。

 5月10日に最終メンバを発表するとの事。(今回の北朝鮮のように)若干多めの人数を選び強化合宿を共にして最後にフィルタをかけるべきか、早い段階で最終メンバを確定発表すべきか、今回にせよ、4年前にせよ、日本は後者を選択したと言う事になる。
 言うまでもなく、前者の最大の問題は「最後の最後に離脱する選手がいる」事。これにより、強化合宿に一種の疑心暗鬼が生まれるし、さらに最後のメンバ落ちが大会近い分(多くの関係者に対して)ショッキングな事態になる怖れもある。その典型例が12年前に訪れたのは、まだ記憶に新しい。当時の岡田氏の判断に対する是非は本題ではないから詳細は述べない(岡田氏びいきの私だが、あの件は正直今だに飲み込めていない...もちろん氏は「勝つため」に判断をしたのだから、それはそれで十分に敬意を表するものではあるが)。しかし、現実問題として、あの発表直後の井原の重傷(幸い大会には問題なく間に合ったが)は偶然ではないと考えるのが妥当だろう。
 一方で後者についても苦い思い出がある。02年は発表後に小野が盲腸炎となったが、それが予想できていれば(そんな予想は誰にだって不可能なのだが)、トルシェ氏は中村をメンバからは外しはしなかっただろう。06年は強化合宿中に田中誠が離脱したが、代わりに呼ばれた茂庭のコンディションは十分とは言えなかった(まあ、あの休暇から東京に戻って来た時の茂庭のファッションは、中々おもしろかったけれどね)。
 上記は過去の日本の例だが、日本に限らずそのような悲喜劇は世界中で展開されていた訳だ。前者後者のいずれが正しいかどうか解はない。ただし、多くの国が今回の日本同様「早期決定」を選択している模様で、それが世界の主流と言うものなのだろう。おそらく、最後の強化合宿に集中する事を選択しているからだろう。

 日本代表の23人だが、流動的な部分はあると思う。
 まずCB。岡田氏は中澤と闘莉王の控えとしては阿部と今野を考えているのは明らか(そして、現実問題としてJリーグを見れば、この2人を凌駕するCBを見つけるのは難しいのだが)だが、デンマークあたりが終盤にパワープレイをしかけてきた場合の空中戦要員として、長身のCBの選考はあるのか。
 中村俊輔のバックアップ。年齢的なものか、体調不良かどうかは不明だが、現状の中村のプレイを見る限り、タフな3試合以上のフル出場は難しいのではないかと心配になる。その場合、小野か小笠原を入れるかどうか。この2人の能力に疑いはないし、その経験は日本の助けになるとは思う。しかし、ナイジェリアワールドユースの遠藤の同期生のこの2人が今チームに加わる影響の大きさを、どう見るか。
 田中達也の復調。負傷以前はこのチームの攻撃の中核だった達也が、負傷からほぼ完全に復調した。ただ、岡田氏は理由は不明だが先日のセルビア戦に呼ばなかった。これは2通りの邪推が可能、選ぶ事を決めているので無理させなかった(その割に遠藤や俊輔に無理をさせていたが)、あるいは選ぶ気が毛頭なかった。たぶん前者だと思うのだが。
 前線に「強さ」のある選手を選ぶのか。個人的には前田遼一(もっともこの選手の武器は「強さ」ではなく、体重がありながらも優雅なターンができる技術にあるのだが)をもっと試して欲しかった。また残念ながら平山は現状ではダメだろう。後は、自クラブでほとんど出場機会を失っている森本をどう考えるか。あるいは、そのようなFWを選ばないか。
 あと第3GK。冴えている時は抜群だが、ACLでミスを連発した西川をどう見るか。
 そんな事を考えて、私の主観的(あくまでも主観的ですよ)予想。
 楢崎、川島、内田、長友、駒野、中澤、闘莉王、今野、阿部、遠藤、長谷部、稲本、俊輔、憲剛、石川、岡崎、本田、達也。この18人までは一気に書ける。
 これに、前線で色々な事ができる大久保。それに第3GKはやはり西川か(ここのところの安定感と将来経験を含め権田もあるだろうが、GKは息が長い、ここで急ぐ必要はなかろう)。それに、上記した理由で、「パワープレイ対策」+「チームを明るくする」事から槙野(望んではいないが闘莉王を最前線に起用する選択肢のためにも)。
 あとの2枚。終盤点を取りたい時に、当方はパワープレイと言う選択肢はない(闘莉王を上げるにしても外をえぐらなければ)が、相手がサイドに蓋をした場合に、国際経験豊富で異様なドリブルができる松井を選ぶか、日本人には稀な縦突破を狙える森本(彼の国際経験をどう見るかが難しい)を選ぶか、とにかくシュートの巧い前田を選ぶか。私はこの3人から松井を選ぶ。松井の能力は最も他国にない特長に思うから。
 そして、最後の1人。中澤と遠藤の補佐ができるベテランとして、小笠原を。小野もすばらしいが、小野では補佐ではなく主役になってしまう。私の旧作をお読みの方ならばご存知の通り、私は小野も大好き。でも、今小野をチームに入れてバランスを取り直す時間はないと思う。もちろん、明神と言いたいところだが。
 まとめます。楢崎、川島、西川、内田、長友、駒野、中澤、闘莉王、槙野、今野、阿部、遠藤、長谷部、稲本、俊輔、憲剛、石川、小笠原、松井、大久保、岡崎、本田、達也

 と、メンバを予想するのは愉しい。そして、発表以降、選考メンバに対して「ああでもない、こうでもない」と語るのもまた愉しい。冒頭に最近の報道にイヤミを語ったが、ワールドカップメンバ選考とは、そう言うもの。そして、カズ、北澤、俊輔、波戸、中澤、久保、さらに他の選手達の悲嘆は、メンバに入る事の重みがあまりに大きいが故に劇的なものとなる。梁が北朝鮮代表に選考されると言う事は、他の北朝鮮選手が1人メンバ入りを逃すと言う事なのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(2) | TrackBack(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
個人的にJリーグ某チームのサポですし、Jリーグは好きですがW杯で戦うのは当然の事ながら海外のチームなのでとりわけ攻撃的な選手にはそれ程Jでの調子にこだわらずに、国際試合に強い選手、勝負強い選手を岡田氏には選んで欲しいです。かつての鈴木隆行のような。

一方北京では機能しなかったので国際舞台での勝負強さの話とは矛盾するようですが、森本のイタリアでの成長、経験、決定力、捨てるには惜しすぎると思います。

とにもかくにも今日の午後の発表が楽しみです。
Posted by T部長 at 2010年05月10日 01:32
セレッソサポなので当たり前かもしれませんが香川と大久保を是非行かせたいです
ここ数試合の2人はキレキレです

まあ岡田さんの理詰めの詰将棋だけど最後の王手が甘い戦術に合うかどうかわかりませんが・・・

いずれにせよ選出されたメンバーを見ての戦術論を楽しみにしています
Posted by ロベルトヤマ at 2010年05月10日 11:39
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