2010年05月11日

これは終わりの始まりなのか

 ガンバが、ACL1/16ファイナルで敗退した。
 前半序盤こそ好機を掴んだが、半ばから城南の激しいプレスを中々抜け出せなかったガンバ。後半立ち上がりから負傷癒えた平井を高木に代えて投入。3−5−2から、本来の4−4−2に切り替え攻勢をかけた。映像で見る限り、必ずしも足下がよくないようだったが、改めてストロングポイントを強調して仕掛ける西野氏に敬服した。遠藤が緩やかに配球し、ルーカスと二川が縦にテンポを上げ、宇佐美がもう1つ変化をつけ、平井が抜け出そうとする。かろうじて城南がボールをクリアすると、明神が鮮やかな読みと出足でボールを奪取。それが繰り返され、城南の守備陣が青息吐息ではね返す時間が約20分間継続した。正に、ガンバサッカーが出た猛攻。
 ただし、この日は両サイドバックが不発。加地は1人明らかに不調でミスパスを連発。自分でも、それがわかっているのか、いつになく消極的で前に強引に出て行かない。一方安田が、上がろうとすると宇佐美がマークを引き連れて前方に入って来るため、これまた中々上がれない。結果的に中央突破への拘泥が目立ってくる。しかも、加地も安田も上がれないならば、せめてサイドチェンジを意識すればよいのだが、そのような発想が出てこない。さらに、橋本がいないために遠藤が上下動するスペースはないため、遠藤が敵陣近くで変化を付けられない。そのため、押し込んでいるのだが、分厚く守る城南を崩すに至らない。
 そうこうしているうちに、ガンバが受け入れがたい失点を喫する。やや、攻め疲れた感がでてきた後半30分。幾度か城南に攻勢を許した後の場面、自陣で加地が何とも淡白な守備でサイドチェンジを許し、右サイドフリーの敵FWが好センタリング。逆サイドに抜けたボール、「やられた!」と言う場面で、明神がすばらしいスライディングで防いだ。と、思ったのだが、主審はPKを宣告した。抜け出したボールに敵も明神も足を出し、それぞれがボールに触って転倒して、ファウルだとさ。
 西野氏は佐々木を投入し、局面打開を図る。しかし、二川もルーカスも疲労が目立ち遠藤もパスの出しどころがなくなり、攻めあぐむ。そうこうしているうちに、佐々木がラドンチッチと交錯して倒れるも主審がファウルを取らず、そこからペナルティエリアあたりでスイッチバックした敵の攻撃に、山口と加地が対処できず決定的な2点目を奪われた。さらに見事な直接FKを決められ0−3の敗戦。
 結果だけを見ると、完敗に見えるが、典型的に「押し込みながら、決め切れず、逆襲でやられた試合」だった。ただし、中盤でのパス回しは美しかったが、決定機は少なかった。元々、ガンバの遅攻のすごみは、敵ががっちり守っていても穴を開けてしまうところにあったのだが。今日は上記した諸事情で、穴が開いてしまったのは自軍の守備網だった。

 この早期敗退をどう捉えるか。
 無数に購入した外国人FWが機能しなかった補強のミスか?確かに、バレーやレアンドロのように、遠藤たちが作った好機をハンマのように叩き込むストライカは欲しかっただろう。けれども、平井も復帰し、宇佐美もいたのだ。これ以上望むのは贅沢と言うものだろう。
 橋本の負傷離脱か?確かに、橋本のしたたかな位置取りがあれば、局面は打開できたかもしれない。けれども、佐々木を含めたこの日のメンバが、橋本不在で決定的に劣るようには見えなかった。

 身も蓋もないが、問題は老齢化にあるのではないか。遠藤、明神、ルーカス、二川、橋本、加地、そして山口。それぞれ異なる個性、豊富な経験、長年の連携。けれども、皆29歳から32歳、1人1人は実績を積み、毎年毎年個人的な戦闘能力は成長させるに成功しているかもしれない。しかし、脚力は着実に落ちて行く。
 先制された直後に、佐々木投入。交代したのは宇佐美。あの苦しい場面で、経験豊富なルーカスなり二川を代えるのは確かにリスキー、妥当な交代策だとは思った。けれども、まだ十分走れるはずの宇佐美を外し、息が上がりかけたルーカスと二川を残す事になったのも確かなのだ。
 このように攻めながら、崩し切れない試合では、中盤に活動量が豊富で飛び出せる選手を起用したいところ。しかし、中軸の中盤戦士たちが、あまりに経験豊富なので、代えづらい。さらに言うと、ここでベテラン達に代って起用されるべき家長昭博はセレッソ大阪に、寺田紳一は横浜FC、倉田秋はジェフの中軸をになっている。遠藤らのベテランの分厚い選手層をどうしても破れないできた、この3人の有為なMFは、それぞれ上記のクラブにレンタルされているのだ(家長の経歴は微妙に異なるが)。かくして、適切なバックアッパーを欠く上記のトップスター達は、疲労が前面に出ながらも、ギリギリまで戦うしかない。結果的に、運動量や身体の利きに問題があっても、最後の最後までご奉公が必要になる。
 私は(西野氏は嫌いだけれども)、西野氏が作り上げたスキルフルなガンバのサッカーは大好きだった。この日の敗戦要因が、単純に「年齢」から来るものではない事を切に願っているのだが。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ボール回してるだけで決定的なチャンスもなくカウンターでやれれる。
まるで日本代表みたいな試合。
遠藤ってまったくミドルシュート打たないですね。いい位置でボール持ってもパスしかしないから、引かれて周りの運動量の落ちてるあの状況なら遠藤との交代もありだったのでは?
Posted by at 2010年05月12日 07:19
遠藤と言えばユース時代の弾丸ミドルのイメージだったけど、プレイスタイルかなり変わりましたね。その契機は興味あるなぁ。
Posted by kg at 2010年05月12日 09:39
50人前後(4チーム半も作れる人数)も韓国人選手を引き抜いていて
なんでアジアの大会で残ってるのが鹿島のみという結果になるんだろう
以前と違ってJリーグチームはACLに力入れてるはずなのに
今年だけならたまたまといえるんで、
来年以降も日本チームがどれだけ勝ち残っていけるか見守りたい
Posted by 鯉 at 2010年05月12日 13:02
Jリーグで有能な選手であると認められるための必須条件は
・ミドルシュートを打ちまくるよりも外人FWにパスを出しまくる
・ドリブルで自分から仕掛けるよりも、適当にパスを散らす
この2点に集約されると考えられますので、遠藤選手ほか優秀とされる選手の特徴となっているのではないかと思います。
Posted by よしお at 2010年05月12日 15:38
平井も宇佐美も倉田もいるから
楽しみはこれからですがな
Posted by at 2010年05月12日 17:22
開幕当初は確かにパスが回ってるだけでまったく点がとれなかった。ただ、意外と早めに若手FWへの切り替えがうまくいって、それなりに最近は点がとれてると思います。問題は前線中盤が少しでもペースダウンすると失点してしまうところ。前半3バックにしていたのも対応力に不安があるから。

平井や宇佐美や星原の次は菅沼や内田でしょうか。
Posted by at 2010年05月12日 21:54
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