開始早々から、中盤戦が継続する。予想通り、非常に重苦しい試合となった。両軍とも、中盤でのチェックが厳しく、そこを抜け出してもCBが強く、容易に点は入りそうにもない。それでも前半半ば過ぎあたりから、アントラーズはもっともフリーになりやすい内田と新井場の両サイドが前進して、好機の起点となる。
ところが、アントラーズは30分、信じがたい失点を喫する。敵の左サイドのスローインからの攻め込み、前に出ていた李正秀が戻っておらず、ボランチの両ベテラン中田浩二も小笠原も最終ラインにカバーに入っていない。そして、残る岩政がつり出され、最終ラインに斜めに進出して来たモッタにフリーで決められた。新井場と内田がよく絞って詰めたが間に合わず。センタバックが2人いなくなっては、失点もやむなし。それにしてもモッタと言う選手は忌々しいな。韓国におけるマルキーニョス的選手なのだろうか。
以降の60分間、アントラーズは苦労に苦労を重ね、強靭な浦項守備網をこじ開けるべく、努力を重ねる事となった。しかし、浦項の守備は固い。幾度か有効な攻め込みを見せ、好機をつかみかけるが崩し切れない。
疑問だったのは、攻撃が左にばかり寄っていた事。内田の前進が遅い事もあるのだが(体調が、まだ悪いのだろうか)、もっと内田を使う発想があってよかったとも思うのだが。さらにオリヴェイラ氏の采配も消極的だった。明らかにフェリペ・ガブリエル、野沢の疲労の色が濃いのに、交代が遅い。フェリペに代って入った遠藤は(ミスもあったが)いやらしいドリブルを幾度か見せていたが、野沢に代った大迫はなじむ事なく試合を終えてしまった。終盤、李正秀と岩政を前線に上げパワープレイを見せるが、浦項の高さも格段、空中戦がとれない。この時間帯は、双方とも疲労の極みと言う感じで、お互い行きも絶え絶え身体をぶつけあっていたが、アントラーズは3人目の交代を使い、元気な選手を入れるべきだったのではないか。
かくしてタイムアップ。またもアントラーズのアジア制覇の夢は消えた。
この試合そのものは、前半の失点に尽きる。守備に自信を持つ同格同士のシビアなタイトルマッチ。ミスで先制点を許してしまっては苦しい。また、一部の選手は相当タフな動きをしていて疲労していただけに、オリヴェイラ氏の交代の遅さも気になった。上記したが、終盤双方が疲労困憊していのだから、1人動き回れる選手を起用するだけで随分楽になったと思うのだが。
そう言う試合だったのだ。
ただし、この敗退は2つ重い命題を我々に突き付ける。
1つ目は「どうしてアントラーズはアジアで勝てないのか」と言う事。昨年敗退時にも講釈を垂れたが、運不運の要素が強いとは思う。ただし、今日の負け方を見ていると「今まで勝ててないが故」に「この試合に思い詰め過ぎたのではないか」とも感じた。特に、テレビのアナウンサも語っていたし、エルゴラッソにも掲載されていたのだが、オリヴェイラ氏はこの試合のために、相当量のミーティングを行ったと言う。何か、選手の疲れ方や終盤のギクシャクを見ると、「気負い過ぎ」も感じた。国内の試合であれだけ勝負強いアントラーズだけに、「未だ勝ち得ていないタイトル」と言う思いがマイナスに作用するのだろうか。
2つ目は「1/16ファイナルで日本勢全滅」と言う大事だ。これは結構ショックだよね。少なくとも我々は常に「アジア最強のサッカー国」と言う自惚れを持っている(もっとも、韓国、豪州、サウジ、イラン、そしてたぶんイラクのサッカー狂の方々も、同じ自惚れを持っているだろうけれど)。その我々からすれば、「ACLベスト8進出クラブなし」と言うこの事態は、全く受け入れ難い。受け入れ難いが、事実は事実として捉えなければなるまい。日本サッカー界全体を考慮しながら反省すべき点は何なのかと模索しなければなるまい。ただし、それと今までの蓄積を全否定するのも、これまたおかしな話。こう言う時こそ、「現状の日本サッカーの課題は何か」と言う、少々陳腐ながら悩ましい本質問題について、しっかりとした思索を行うべきだろう。
結果は不愉快だし、内容も守り合いで大変重苦しい試合だった。しかし、娯楽と言う見地からは、いかにも緊迫したタイトルマッチ、とても愉しめる試合でもあった。悔しさを噛み締めながら、重苦しくも愉しい娯楽を提供してくれた両軍関係者に多謝。
「ACLの改革・規模拡大に尽力した川渕氏…」
という話が出て来たことがあると思いますが、
いくら年間の試合数がこれ以上増やせなかったからとはいえ、
昨年からの『トーナメント初戦は一発勝負』というのは
中途半端な感は否めません…。
昨年も鹿島は1人退場者を出しながらも粘りましたが、
一発勝負故に結局PK戦になってしまい敗退しましたが、
総合力で勝負することの多い日本勢に対しては、
このヘンテコなレギュレーションは不利な面の方が
大きいような気がします。
あと1試合くらい、なんとかならなかったのでしょうかね…。
川渕さんはこのあたりは今回の日本勢のACLにおける不調をどんな風に見てるでしょうかね…。
あとは見る方の私としては、
2007、2008年のように、
CWCが日本開催だったことや、
それ以前がGL敗退続きだったこともあり、
かなりモチベーション高く見ていた気がしますが、
浦和、ガンバと2連覇したこともあり、
そしてCWCがUAEでの開催、
昨年からの「変な」レギュレーションであったりと、
見ていてもあまり力が入らないというか…、
「まぁいいか…」的な感覚に陥ってしまったことも確かです。
いつもGL対戦相手が東アジア勢ばかりなのも、
毎年見てると飽きがくるというか、
どうせならGLから地域ごとにブロックを分けない方が、
見るほうとしては面白いかなぁなんて思ったり…。
ただやってる選手たちは移動その他で
そんなのは迷惑なのは百も承知なんですけどね。
日本が3つ残る事があれば今年のように韓国が4つ残る
事もあるってだけの話。確率の揺らぎの範囲内で
解釈すべきことでしょう。確かに不愉快だけど、
一昨年は韓国のサッカーファンが我々と同じ思いを
していたわけで。
>たーちさん
インターナショナルマッチデーをこれ以上ACL用に
裂けないんですよ。本来ホーム&アウェーでやるべき
決勝戦を中立地一発勝負に変えて、1/16ファイナルの
日程をひねり出している。だから、1試合なんですね。
これ以上の日程改革はアジアカップやワールドカップ予選を
含めたAFC全体のカレンダーを調整しなければムリで、
ACL事務局ではちょっと。UEFAでは出来てるんだから
調整自体は可能でしょうが、アラブの王族たちはACLよりも
ガルフカップやアジアカップで代表チームが暴れまくる方が
大事そうだしなぁ。石油成金たちがウンと言ってくれんことには。
#ガルフカップや東アジア選手権みたいな地域大会が
#あるのがUEFAとの違いなんですね。その分だけ日程が
#タイトになっている。
島国の日本では、A代表での経験ってユース年代の代表とは別物と言えるくらいとても大事です。プレッシャーを受ける、海外の一流選手との対戦という貴重な経験を積める試合はJにはないし、ユース年代とは、また一味プレッシャーも注目度も違います。
中田英などの世代は10代や20代の前半から、もうすでに一国を背負うA代表の選手という大きなプレッシャーを経験しています。
そしてその中で、今の才能豊かな若手選手達が持っていない、経験という決して目に見えない大きな武器を隠し持っていたのではないかと。
家長、谷口、枝村などの世代もいい選手は沢山いました。しかし世界経験という大きな壁を、Jの経験だけでは乗り越えられずに、今に至るのではないでしょうか?
そして最終的には20代の最後にチャンスが来るのかどうか。今回のアテネ組の様に、次回W杯に選出される選手もいるかもしれませんが。サッカー選手という職業で、その年齢は明らかに遅いですよね。
韓国は緩やかに、でもしっかりと世代交代を進めています。
日本は若い選手達をJリーグやユース世代の代表で育てたいのでしょうか?また育つと思っているのでしょうか?個人的には、それは少し難しいと思います。
なんて思いつつ今年のACL戦線を見ておりましたが。
>>こう言う時こそ、「現状の日本サッカーの課題は何か」と言う、少々陳腐ながら悩ましい本質問題について、しっかりとした思索を行うべきだろう。
はい、全く通りだと思います。
さすがにこの結果では。
全力で落ち込んで悔しがる事とリベンジへの模索を怠ってはなりませんな・・・
1/2ファイナル=準決勝
1/4ファイナル=準々決勝
ですから、ノックアウトステージの1stラウンドは
1/8ファイナルですね。
残念と言えばメディアの論調特にエルゴラのものはちょっと違うんじゃねと思いました。