2010年05月23日
続日韓戦前夜2010(+欧州チャンピオンズリーグ決勝)
4年前も講釈を垂れたのだが、ワールドカップ直前最後の国内国際試合と言うのは、やはり感慨深い。カメルーン戦まで、あと21日で迎える日韓戦。ワールドカップ後にどのような状況になるかは、想像しようがないが、複数のベテラン選手の日の丸姿を国内で見るのは、明日が最後になるかもしれないのだ。
あと21日と言うのは、12年前フランスでのアルゼンチン戦の21日前に、横浜国際でチェコと最後の国内試合を戦ったのと同じ日数と言う事になる。あの時は直前のパラグアイ戦と合わせて、岡田氏は3DFで戦う事を決断し、2試合で守備の調整を行う事ができた。果たして今回はどうなるか。
この時期に日韓戦をする事の是非が色々と議論されている。否定論はよく理解できるが、仕方がないのではないかと思う。この時期はある程度以上のレベルの相手と試合しなければ意味はない。そして、我々が地元(あるいは地元の近郊)で、戦える「ある程度以上レベルの相手」は、隣国くらいしかないのだ。
しかも、双方が海外クラブ所属選手を含め「ベスト」で試合をする事ができるのは、ここ最近ほとんど記憶がない。しいて言えば、あのフランス予選以来12年半振りではなかろうか(2000年4月、ソウルで河錫舟にやられた試合も、双方ほぼベストだったかな)。
もちろん、双方の意地が異様な状況を生み、つまらぬ負傷者が出るリスクがない訳ではない。また、出来の悪い試合、受け入れ難い結果の試合となれば、いずれも大騒ぎになる危険性もある。
しかし、そのリスクよりは、この時期の最終強化を優先すべきだろう。しかも、日本は2010年に入ってからはベストで戦う事ができたのは、アジアカップ予選のバーレーン戦のみ。東アジア選手権やセルビア戦の無様な試合振りは記憶に新しいゆえ、ここでベストに近いメンバでしっかりした試合をする必要がある。
難しい試合になるだろうが、しっかりと守備を整備した良好な組織的な試合を行い、勝利を期待したい。
さて、本日未明には、欧州チャンピオンズリーグ決勝をテレビ映像で堪能する事ができた。まずは何より、水曜日ではなく土曜日に決勝を行ったUEFAの英断を評価したい。気持ち早寝して、午前3時40分起き、モウリーニョ氏差配の陰々滅々をたっぷりと堪能した。これが水曜日だったら、その後シゴトなのだが、やはり土曜日開催はいい。
イタリア人が1人もいなくて、モウリーニョらしい今風の巧緻な守備ライン(エトーが中盤に引いて、4−2−3−1になる時と、エトーが前線やや後方に残りサネッティが1つ前に出る4−1−3−2の切り替えがおもしろかった)なんだけれど、やはりインテルはカテナチオとしか言いようがない。序盤から、バイエルンにボールを持たせるも有効な攻撃を許さず、完璧な守備。そして、ミリートを、スナイデルとエトーが巧みに活かして2人ずつで点を取ってしまって2−0で完勝。全く、恐れ入る見事な守備と悪魔のような逆襲速攻(特に2点目など、2対4だったのだよ、守備陣の方が2人も多かったのに)だった。
MVPはエトーだと思う。バイエルンの左サイドを封印し、攻め上がっては2点目の時が典型だが、巧みな位置取りでバイエルン守備ラインを外に広げる事に成功していた。反対のゴールに向かい、真っ正直に右サイド突破を繰り返したロッベンよりも、格段に利いていたと思う。この人は、あんなに嫌らしいプレイができるのだと、正直驚いた。
あのインテルの守備は、サネッティとカンビアッソがいて、モウリーニョの厳しい指導でエトー、パンデフ、ムンタリらが狡猾な守備をする事で初めてできる所業。大したものである。
とは言え、近々のワールドカップに向けて、我々はこの試合から何を学ぶか。言うまでもなく、インテルのあの完璧な守備。もちろん、サネッティやカンビアッソのような守備を、遠藤と長谷部にしてくれと言うのは無謀だが、あの全軍の忠実さ、几帳面さは、真似ができるはず。
また、逆襲への備えとしてバイエルン失点時のCBとボランチの距離が開く状況の回避も重要だろう。未明の試合に関しては、インテルの陽動動作が見事としか言いようがないのだが、あのような場面を作られない几帳面さも、また重要だろう。
少しずつ、世界のトップレベルが近づいたから、今日の試合を見たりすると、大きな差が具体的に見えてくる。そう、近づけば近づく程、はっきりと差が具体的に見えて来るものなのだ。しかし、それは当方のレベルが上がっているから、現実になってくる難しい問題。
簡単ではないが、ワールドカップに向けて、志を高くして、まずは完璧な組織守備を固めての、日韓戦勝利に期待したい。
この記事へのトラックバック
カテナチオっていう戦術はもうどこのチームも使ってないはずですよ。
恐るべきメンタリティを指すんじゃないですかね
今は、というか随分前からな気がしますが
1.センターバックの控え
2.右サイドの控え
3.ポストプレイヤーの不在
長友が頑張っていたのは分かるが、どうして右サイドなのか? 本番でも長友に右をやらせて、日本のサイド攻撃を放棄するつもりなのか?
本田がポストプレーをせざるを得ない状況で、矢野が入った時点で、ポストのボールをゴール正面でうけるべき本田がいない、中村がいない。
一体、何を考えて選手交代をしているのかまったく理解できない。
武藤さん、こんな監督をまだ擁護するつもりなのか!!!
いい加減にしてほしい。
でも仙台はJ1昇格したてで他のクラブとの戦力差があるから理解は出来るけど、
日本と韓国ってここまで何も出来ない試合になる位に
戦力差があるんだろうか?
もはやその程度の期待しかしてないってことですけど。。
あの二人をはずせば今日の韓国だったら何とかなったんだろうか・・
まあはるかに敵のグレードが上がる本番では何の意味もありませんが・・
パクチソン下がった後に駒野投入したのに左右変えなかったのは意味わからんけど。
今日の試合の講釈は楽しみです。
ていうか、それしかないでしょ。しかしねえ、
「本番でも右で使うつもりがあるんだろうな」
ということよ。その時左サイドをどうするつもりなんだ? 今までに今野にサイドやらせて成功したか?
何のためにこの試合があるんだ?
監督の「前の試合で負けたから」などという自己満足のために設定された試合なのか?
長友はすばらしく、良いプレーをした。
しかし、彼が左にいればより攻撃力をもったチームとなっていた。
まあ、「加地を追い出してまでレギュラーにした」例の「ディフェンスのできないディフェンダー!」が右サイドでは朴にボコボコにされていた可能性はあるな(笑)。いずれにせよ、日本の右サイドは弱点であり、そのために黄金の左サイドを崩してアブハチ取らず・・・。
本田がゴールを向いてプレーしていないと解説者が言っていたが、FWがポストプレーをしていれば、本田はゴールに向いてボールに絡んで行くだろう。その汚れ役をやらされて、落としたボールに絡む相手もいない本田は哀れに見えた。
チビ1トップの弊害、未だ修正されず。
(監督の存在から修正すべき問題だな)
武藤さん、みなさんはどう思われますか?
・キャプテンを事実上「飾り」にしておくのは果たして軽視出来る問題なのか?
もしかしたら、それに耐えられるだけの、あるいはリーダーシップをとるだけの器を持った人間がいないということなのでしょうか?
しかし僕には、重荷であろうと、ベクトルをピッチ上で同じ方向に向ける人間がいなければ、(全員が賢人でもないかぎり)バラバラになるのは明らかだと思えるのですが?
考え過ぎでしょうか?
個人的には、岡田監督にいまできる唯一の選択は、監督権限で、長谷部をゲームキャプテンにすることだと思います。
Jリーグでのコンディションがそのまま出ている(遠藤、俊輔)。
日本人にワントップは務まるのか。
カメルーン戦までに遠藤と俊輔のコンディションは上がるのか。
そして何より進退伺いを出したことを公の会見で言ってしまう考えられない事態。
これによる岡田監督の求心力低下はさけられないと思う。
私も同感です。TV画面で見た限りですが、今日の試合でリーダーシップの片鱗らしきものを出そうとしていたのは長谷部だけなのかな、という気がしました。個人的には、現代表のキーマンは長谷部のように感じます。
ただ、監督の指名如何にかかわりなく発揮できるのが、真のリーダーシップな気もします。現代表には良い意味での「出しゃばり」がいないのか?悪い意味でチームメイトをリスペクトしすぎてるのでしょうか?
選手を置き去りにして敵前逃亡ですか?
辞めさせられるわけない状況で責任転換ですか?
さすがリアリストw
史上最高に最低な監督でしょ
正直本田中心のチームなんて絶対無理だと思う
交代の意味もなんだかわからない
あとなんで1トップ?
ここと関係浅からぬ後藤健生氏は何を書くのでしょう? 「現実に目覚めた」は2月の妄言だった。
この時期に来て進退伺い?
せめて1年前に出して欲しかったですよね。
選手置き去りでこんな事をする監督に誰が付いていきますか?
クラブを応援してる人は今の代表には興味を持てない人が結構多いようですが、
特に特定のクラブを応援していない様な人にとって
日本代表はサッカーを見る大切な機会なんですよね。
そういうサッカーに触れる大切な時にこの無様な有様ではJにも影響出そうで心配ですね。
>せめて1年前に出して欲しかったですよね。
↑2名の方に同意。
自ら身を引くタイミングを大きく見誤っている。
まあ、選手交代のタイミングさえ分からない監督なんだから、自身の交代のタイミングなぞ理解できるはずもない。
>現代表には良い意味での「出しゃばり」がいないのか?(元横浜市民さん)
この状況はマリノス時代にも起こりました。
つまり、監督が「独裁者」として振る舞うため、選手が委縮するのです。そして、内部からガラガラと崩壊していくパターンです。
「キャプテンはいらない」と自ら公言して、試合を仕切ろうとはしますが、試合の流れも読めずに後手後手でボロボロになっていくのです。
そして、遺産は食いつぶされました。
私にはマリノスと現代表がまったく重なって見えます。
岡田の会見内容と、中村のそれとを比較すべし。
トルシエ時代の素早い攻守の切り替え。
オシムのリスクをかけて点を取りにいく凄味。
左右の大きな展開の切り替え。
あっという間に全員がゴールに向かって走り込んでいるあの醍醐味。すべて消えた・・・。
◆岡田の戦術を真っ向否定する中村のコメント↓
岡田:http://southafrica2010.yahoo.co.jp/news/cdetail/201005240014-spnavi
昨日の会見で話しましたように、うちはカウンターとロングボールからの失点が大半を占めるということで、カウンターに関しては今までは両サイドバックを上げていたのを今日は1人だけ逆サイドに残そうということでやっていました。それに関してカウンターを受けたときに最後、何とかカバーリングはできていたかなと思っています。ロングボールに関しては、今まで高いラインで駆け引きして、裏へ落とされて走り負けるということが結構多かったので、後ろのしぼりとボランチの(セカンドボールの)拾いを言っていましたが、今日はロングボールに対してボランチが競るところがあって、ボランチが下がりすぎていたので反省をしています。攻撃に関しては、クロスの狙い目、2列目の飛び出しというところだったんですけど、先ほども言いましたように、中に起点ができずに外からというのもなかなか難しくて、いいクロスも2本だけしか上がらなかったかなと。そういう意味では、クロスを狙いにいく前のところ、サイドバックが持ったところから、一度前で起点を作るというのが、クロスの狙い目自体よりも問題だったかなと思っています。
★中村:http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/headlines/20100525-00000007-spnavi-socc.html
「今まで積み上げてきたものがちょっとずつ消えてきている。カウンターが怖いからといって、サイドハーフとサイドバックが連動して上がる今までのスタイルが全くなくなってしまった。1回、ハセ(長谷部)とおれがダイレクトでやったようなプレーが、前はポンポンってあったんだけど。監督が言ったことがすべてじゃなくて、そこらへんは臨機応変に。オランダ戦の時もそうだけど、回せるのが自分たちの強みだった。サイドの連動だったり、FWとの連動とか。それプラス、カウンターに気をつけるってのがテーマだったのに、サイドバックも上がらなかったし、結局(DF)4枚で回しているだけっていう。
あとは1トップになったから、オカちゃん(岡崎)1人だから。2トップだと誰かが引いて誰かが裏とか、タマ(玉田)とかも引いてきてパス回しに参加したりしていたけど、できなくなってきている。出しどころがないから遅攻にならざるを得ない。なってもいいけど、今日の感じだと遅攻じゃ崩れない。(中盤で回す位置が低い?)向こうだってそうだけど、2トップがサイドバックの裏に出たりとかそういう動きがある。戦術は何が正解とかないけど、そこで(日本の)サイドバックとストッパーが引き付けられて、ルーズボールがボランチのところに落ちて2次攻撃されている感じ。
まあ、進退伺って、今頃気づいたのかという気がしてます。
昨日の試合の直前までは、選手が悔いなく戦ってくれればいいと思っていました。
しかし、指揮官が敵前逃亡をはかるようでは、しらけてしまいます。
前代未聞の記者会見でした。
思えば、1998年は高揚感があって3戦全敗でも次があると思って許したし、実際2002年はグループリーグを突破した充実感も味わえた。2006年は結果として期待を裏切られた怒りがあったけど、それでも送り出すときの気分は明るかった。ところが、今回は始まる前にしてこの喪失感ってのは、いったいどうしたもんでしょう。
幸か不幸か、2010年のチームは、これ以上失うものはないってとこから出発するわけだけど、それをハッピーエンドに終わらせて次につなげないと。
現代表の戦術は中盤をある程度自由にさせてくれる国には有効ですが、
韓国に対してはまったく通用しませんね。
日本の心臓である中盤にハイプレッシャーを掛けると自滅する弱点を
確実に何度も繰り返す韓国は世界で最も相性の悪い国になっていると思います。
今回も前回も同じ戦術でやられていますね。
岡田監督のコメントをみると、特別作戦を練って戦ったようにも思えず、
負けるべくして負けたということですか。
何はともあれ、協会のW杯への応援モード促進一発逆転の賭けは失敗に終わりました。
選手のモチベーションも気に掛かりますが、開き直ってイングランド戦で夢を見せて欲しいです。
選手交代のタイミングはとても妥当でしたよ。
大切な大駒が怪我をしたら、もともこうもないですからね。
韓国の選手は相変わらず足裏見せてタックルしてきて、
観ていてひやひやしてましたからね。