いよいよ明日はカメルーン戦だ。とてもとても重要な試合だ。
そして、とてもとても重要な試合だが、一部報道の「負けたらおしまい」的な報道ほど危険なものはない。もちろん、勝ちたいし、最悪でも引き分けに持ち込みたいところだ。したがい、選手達が「そのような気持ち」でカメルーン戦に臨む事は大切な事だ。岡田氏以下のスタッフ達も、そのような準備をしている事だろう。さらに、もし負けてしまえば、オランダ、デンマークに最悪でも1勝1分けと言う、相当難しい状況に追い込まれる。
けれども、重要なのは「カメルーンに負けても終わりではない」と言う事だ。カメルーン戦は、トーナメントの試合でも、リーグ戦の最終戦でもない。オランダの強さは相当だし、デンマークも大崩れするチームではないだろう。上記した通り、負けたら相当苦しくなる。しかし、「負けたら相当苦しくなる」と「負けたらおしまい」は決定的に異なる。そして「負けたら相当苦しくなる」試合と「負けたらおしまい」の試合の戦い方は、異なったものとなる。4年前の豪州戦、あれが2点差ではなくて1点差負けで止められていれば、あの後はあの状況よりは格段にラクだったのだ。
と言う当たり前の前提の上で、いかな障害があろうが、勝ちを目指す戦いをしなければならない。
おそらくカメルーンは、最終ラインの守備に少々の不安をかかえて大会に臨む事になっている。ただし、日本の攻撃力が決定的でないとも認識しているだろう。一方で、個人能力、特に日本陣前の高さ、あるいは長い疾走時のスピード差をうまく使えば、90分で最低でも1、2点を取れると見ているのではないか。そして、一番厄介なのは、日本のプレスにはまって自陣近くでボールを奪われる頻度が増えたり、人数をかけた速攻を許す事だとも、認識しているだろう。
そう考えると、「日本のプレスをかいくぐりながら、スローテンポで自軍ペースで試合を進め、できれば先制し、日本に無理に前に来させて疲労を呼び、終盤逆襲から追加点を取る」が理想のパタン。もし、プレスが厳しくてスローテンポにできないならば、「前半はロングボールを使って日本の守備ラインを下げさせて、プレスをゆるくさせて、後半日本のプレスが甘くなったところで押し込んでパワーで殲滅を狙う」あたりが狙いとなってくるだろう。もちろん、序盤から「押し込んでパワーで殲滅する」策をとりたいのは山々だろうが、先方としても「負けたら相当苦しくなる」試合ゆえ、不安な守備を抱えながら強引に前掛りを狙ってくる時間帯はそう多くはないのではないか。
とすれば日本としては、「プレスをかいくぐられないようにする」、「ロングボールを蹴らさない」、「ロングボールを蹴られても勇気を持ってラインを上げる」と言うあたりが重要になる。そして、それらの鍵を握っているのは、やはり遠藤と中澤と言う事になると思う。マイボールになった時にチーム全体で落ちついたボール保持する時間が長い程、質の高いプレスがかけやすくなる。そうすれば、カメルーンも容易に正確なロングボールが蹴りづらくなる。そこでポイントになるのは、いかに遠藤が日本ペースのボール保持をしてくれるかと言うところになる。もちろん、質の高いプレスがかかったとしても、ロングボールを蹴りやすい状況はあり得る。特にルーズボールが流れて、敵のゴールキーパなりサイドバックがよい体勢でボールを獲得したケースを防ぐのは難しい。そして、そのような状況でロングボールを入れられても、勇気を持ってラインを高めに保持できるかどうかは、言うまでもなく中澤の知性にかかっている。この2人の統率の下、起用された全選手が相互の距離をしっかりと意識して、敵に食い付き続ければ、好機は増え、押し切る事ができるはずだ。
もちろん、時間帯によっては、カメルーンが人数をかけて、「押し込んでパワーで殲滅する」事をねらってくるだろう。日本としては、長時間最終ラインの勝負にさらされる事は避けたい。したがい、そのような苦しい時間帯をできるだけ短くするためにも、質の高いプレス、ラインの高めの保持が重要となる。ここでも遠藤と中澤を軸に、全選手が知的に食い付く事が重要となる。
もちろん得点を狙う必要がある。何より大切なのは、勝負どころで人数をかけて攻め切ろうとする勇気だろう。強引に力任せで前進しても、やれる事には限りがある。食い付いてボールを奪い、ここぞというところで人数をかけて前進し、最後に変化を狙う。遠藤の指揮の下、全員がいかに食い付き、敵陣前で知性と技術を発揮できるか。最後点を取るためには、全員の共通理解で人数をかけた攻め込みを基盤に、個々の選手のひらめきが必要なのだ。
リードして終盤を迎える事ができて、終盤に無理攻めを仕掛けられた時に、どうしのぐかも問題となる。局面によっては、岩政、矢野と言う飛び道具を使う事もありだろう。ただ、私はそのような状況の時にポイントとなるのは稲本だと思っている。昨日の韓国の鮮やかな勝利、一番感心したのはギリシャが無理攻めを仕掛けて来たときに起用された金南一の見事な試合のクローズ振りだった。私は稲本に、金と同様の判断力を期待したい。日本の守備の基本は、やはり最終ラインの勝負をいかに避けるかにあると思う。苦しい時間帯に、稲本の抜群の能力と、豊富な経験に期待したいのだ。稲本が自らの完成を遠い南アフリカで見せてくれる事を期待してもバチは当たるまい。
そして、終盤の苦しい時間帯は、人数をかけた守りがやりずらくなってくる事が考えられる。その時、頼りになるのは個々の選手の技術だ。たとえ、敵が足が長く体重が重くとも、サッカーでは身体さえいれて正確にボールを止めれば、そう容易にはボールは奪われない。そうやって、技術を基盤に粘り強く食い付く事で、勝利が見えてくるはずだ。
陳腐な言い方になるが、経験豊富なベテランを軸に、全員が敵に食い付く事だ。もちろん、そこには技術も判断力も大前提にあるのは言うまでもない。精神論ではなく、各選手が自らの能力の上で、敵が嫌気がさすまで戦い抜く。敵は強いのだから、決して楽な道ではない。しかし、そうやって、食い付くところに活路は見出され、歓喜が待っているはずだ。
長谷部とその仲間達を信じる。
2010年06月13日
この記事へのトラックバック
カメルーンとの一戦、同じ応援するにしても、最後まであがこうじゃないか
Excerpt: 岡田監督への批判が激しかった一方で、ある時点から、「どんなに岡田監督を批判しても
Weblog: 神戸っ子の“目指せ!道楽の達人”
Tracked: 2010-06-14 17:49
それは、ちょっと希望的観測に過ぎるのではないかと愚考します。
日本の属するこのグループ内では、ダントツで弱いのは日本です。
カメルーンは得失点差による一次リーグ突破の可能性に賭け、開戦劈頭から後先考えない捨て身の攻撃を仕掛けてくるものと思われます。
カメルーンは、オランダとデンマークの2チームが日本からどれだけ点を取るか分からないと思っているでしょうから。
日本としては、その最初の猛攻を凌ぎ切れるかどうかで今回のW杯の成否が分かれるのではないでしょうか。
相手が息切れするまでに、せめて一失点で切り抜けて欲しいものですが……。
「アレ」がないと気合いが入りませんw
とにかくオランダに勝つのだ!
というあの時の状況だけは避けたいですねw
今思い返すとある意味愉しい思い出ではあるのですがw
急造の本田1トップなど、最後までボールの様にブレまくる岡田監督に色々不満はありますが、ここまで来てしまった以上、とにかく明日は選手を信じるしかありませんね。
岡田氏に土下座する状況になってほしいわ
日本代表についての記述が支離滅裂の様相を深めていくようですね。
>「プレスをかいくぐられないようにする」、「ロングボールを蹴らさない」、「ロングボールを蹴られても勇気を持ってラインを上げる」と言うあたりが重要になる。
これはもう仰る通りなのですが,そのためには遠藤やら何やらに期待する前に,1トップではプレスがかからないという現実を直視すべきではないでしょうかね?
そもそも,DFラインからのロングボールに対処するためには2トップもしくは3トップで,DFへの圧力を高めるのが戦術として常套なわけです。
ところが,意地なのか何なのか知りませんが,1トップに固執し続けているのは,他ならぬ岡田氏で,だとすれば,希望的観測を語るよりも,まずはその矛盾(体現しようとするフットボールとフォーメーションの矛盾)をこそ批判すべきですよね。
批判ばかりというのも問題ですが,しかし,批判できなくなるというのは,本当に恐ろしいことです。
「ロングボールを蹴らさない」なんてことを目標にサッカーをするなんて、現状の代表チームに可能だと思っているのでしょうか???w
チビの1トップが、左右に大きく開いたDFの間を、哀れにも右往左往させられたは、ついこの間の試合でしたよね。武藤氏はちゃんとあの惨めな試合を見ましたよね?
さて、ではあの「哀れな右往左往」をやって、どうやって「ロングポールを蹴らさない」などという芸当ができるのでしょうか??? コート全面でマンツーマンディフェンスでもしますか?(笑)
過去の本大会では、日本は押し込まれ、クリアーしたボールがことごとく相手に取られ、波状攻撃を繰り返えされ、守備が崩壊するパターンです。
前戦にチビが一人しかいない現状では、そのパターンが特に顕著に表れるのもまた最近の試合で見ましたよね? つまり、ボールが「前線」で収まるかどうかが日本の課題なのです。
岡田監督もそれに気付き、そのために、本田が1トップをさせられるという頓珍漢な話になっているのです。前線でボールを収めることは絶対に必要で、それは攻守両方の為に必要となります。「FWに相手ボールを追わせる」補充的なことを重視し、ボールを収めるという基本が抜け落ちた状態にあるのが日本の現状ですね。
監督擁護という主観のあまり、客観や論理性が欠如した「講釈」が繰り返されているようです。
FWを一人も使わない!なんて馬鹿を見返してやれ!
そんな「屈辱的」な「非人道的」な「失礼」な青メガネの、センスのない「ひどい仕打ち」にも耐え抜け!
森本ガンバレ!
オマエが代表に呼ばれないのも当然と公言したブログ主を見返せ!(ジンクス成立だ!喜べw)
オマエはセリエAで今の地位を自力で獲得したFWだっ!
出場しないのに点が取れるか?
いくら馬鹿でもオマエを出さないほど馬鹿じゃない!(たぶん)
そんな馬鹿なら一発ブン殴って帰ってこい!
森本ガンバレ!
オマエはFWだっ!
本田の能力は認めるのですが急造でポストプレーが出来るのでしょうか?
まあそれでも日本サッカーの歴史ですから岡ちゃんに頑張ってもらうしかないです
個人的には森本の爆発を予感しています
さてどうなりますやら
僕もアレがないと気合が入りません(笑)。
ただ、あれはカメルーンに敗北したときですよね。
四年前のクロアチア戦前は、すんごい気合が入りました。
僕は岡田監督をずっと批判する側でしたが、それでも、ここまで来たら応援するのみです。
そんなときに前向きなことを書いて下さる武藤さんに、心から感謝いたします。
この侯爵を読むと、前向きな気持ちで応援することができるようになります。
どうせ負けるんだろ?なんて思いながら、代表戦を観たくない。
今日こそが本番なのですから。
昔からこうなった時にカバーしきれずピンチを招いちゃう。これが日本の実力。
だからFWを一枚削ってでも中盤にアンカーを置いて強固なブロックを作る必要があると
考えれば、監督の考えが理解できると思うんですが。
ターゲットが少ない云々なんて百も承知!
ただ、簡単にバックパスするのはどうかと思いますが。
とにかくおもいっきり戦って欲しいですね!
あと、細かくやってきたコンディション作りが成功しますよ〜に!
今まで言い訳ばかりしていた岡田さんももう言い訳(冗談はもってのほか)は出来ない。真剣に闘って欲しい!試合後にまた後悔や申し訳ないと言うようでは即辞めていただいて、残った闘える選手、監督、スタッフでWCを戦って欲しいです。
「負けたら終わり」的な煽りですが、これはマスコミ次第でしょうね。むしろ、これまでの経緯からいって『試合内容』や試合後の岡田さんの対応次第!
自分としては良い試合をやってさえもらえれば何も問題ないと思ってます
縦に急ぎたがる若人たちを遠藤がのらりくらりしながら操ってくれることを期待します!
ついに遠藤がワールドカップのピッチに立つときが来たと思うと、実に感慨深い…
僕としてはアテネのガーナ戦やコンフェデのカメルーン戦みたいに逆にこっちがロングボールで裏とって一発でしとめる感じいいなって思ってます。
まずは精神的に負けないことを望む
今は日本の勝利を願うのみ
武藤氏が何も対応をしないから調子に乗って、誹謗中傷など好き放題書いているように思います。
匿名だと高をくくって迷惑行為を繰り返すのは、本人のためにもよくありません。
他の人から諭されないとそのことが理解できないのかもしれません。
また、私としてもこれ以上気持ちの悪いコメント見るのは辟易します。
次に同一人物からコメントがあった場合、しかるべき対処をして頂きたいです。
接近・展開・連続とはなんだったのか?
土下座させてくれよ岡田
久しぶりに感動したよ。
やはり松井の個人技は先発じゃないと活きない。
本田もよくやった。
長谷部、中澤もよく頑張った!
4年間待ち望んだ勝利をやっと得られましたね。
とにかく選手たちの戦う気持ちが見られました。
終盤の矢野の投入、以前のエントリーでイチャモンつけていた方に
解説して差し上げましたが
http://hsyf610muto.seesaa.net/article/149488757.html
まさにこの通りの展開でしっかりと試合を終わらせられましたね。
良くボールをキーポした。収めた。落ち着いて打った!!!
やはり、前線にボールが収まると攻守で楽になる。
インタビューに出てきた中で一人余計な奴がいたが(辞退しろ)、選手はみんなよくやった!
勝ってノコノコでてくる恥ずかしさ。(笑)
この結果は逆に危ない気が。勘違いして過度の期待をするのも(笑)
この結果は松井が牽引したと思う。オランダ戦が本当の決戦、日本の実力が見れる!楽しみです
いや〜、南ア、行きたかったですねぇ
うん、代表でキレてる松井は初めて見た気がする。
相手選手を二人ターンで抜いていったときには勝ったとおもったよ。うん。
>カメルーン予想外に調子が悪いというかバラバラでしたね。
ひどかったね、カメルーンは。
南アフリカのような高速サイドで抜けてくる攻撃が全然なかった。
裏を取られたのもなかったしね。
選手は岡田の仕打ちに良く耐えたよ。
初めての実戦でのポジションで、本田がボールをキープしてくれたのが大だったね。
コンディション調整が上手くいってる印象ですね。
ロングボールの精度を狂わせるボール+高地、間に合わせの本田1トップ、審判の判定基準
そういった要素全てが日本に味方した感じですね
それにしてもこれだけメンバーと戦術いじって難しい初戦で勝てるとは。
でもまあ、メンバー発表前からこの路線でやってたら、FWには本職のポストプレーヤーを選んでいたはずで
本田の1トップも、恐らくゴールもなかったと考えると、サッカーって分からないもんだなーと思いますね。
今日の試合を見れば、誰でも本田を潰しに来る。
ましてや本田の古巣オランダ。
するとどうしても、ターゲットがもう一枚必要。
そこで、森本・・・。だが相手は例の青メガネ。
前田という本職FWの無いものねだりはあきらめ、せめて森本入れて欲しい。(だが相手は例の青メガネw)
しかし、前田と森本の2トップに、本田のトップ下があれば(夢想、願望、切望、妄想)。
えっ?守備? そこは352で許して・・・(むにゃむにゃ)。w
しかし、相手は例の青メガネ・・・。(ため息)
本田、一枚でガンバ。
岡田監督ゴメンナサイ!
代表戦士の皆様よく戦ってくれた!
お疲れ様!
今後の試合もがんばれ!
裏を取られたのもなかったしね
向う側にはリンクマンが不在で、こちらにとっては危険な攻撃が少なかったことは確かだと思いますが、ここはまず、両サイドへの早い展開を完璧に抑えたわが代表の守備を褒めるべきでは?
大久保ー長友、松井ー駒野の縦ラインはよくがんばりました!
グラシアス…までは、まだまだ
……と、書いてみるテスト。
ワールドカップで勝ったんですよ
今日はバカみたいに喜べば良いんじゃないですか?
なんでこんなに評論家ばっかりなんでしょうね
なんのためのワールドカップ?
次はヤバイぞなんて、明日酒が抜けてから考えればいいのに
我々「シロウト」は
正直サッカーのゲームとしてはつまらない試合だったけど、この一戦は勝つことが最大のタスクだったからこれでいいのだ。
さて、こうなるとオランダ戦はどう出るか楽しみ。ここは負けて元々と攻撃的にいってくれれば個人的には楽しいんだけど。
バカみたいに喜べば良いんじゃね?と否定するのもなんか無粋かと。
オランダ戦にどう臨むかをシロウト評論家達があーでもないこーでもないと
講釈垂れる、最高の茶飲み話じゃないですか!
やっぱり素直に嬉しいです。
二戦目、三戦目も心から応援しようと思います。
いや、まったくその通りだと思います
某所コメント欄を見たら、ヒドイことになっていたので、「何で喜ばないの?」と思ってしまいましたが…
今朝のニュースでは、日本中あちこちで浮かれていたようで、安心しました
喜んだり、がっくりしたり、眉間にしわ寄せて語ったり…
ワールドカップ、楽しくなってきました!