オランダ戦、先日とは全く異なる視点での感想。あのオランダ戦の交代策の是非について講釈を垂れたい。
と言っても、先日も述べた具体的な選手起用の事ではなく、「攻めに出て追いつこうとした事」について。
試合前にも簡単に述べたが、このオランダ戦は「勝てれば万々歳、引き分けでも御の字、負けるにしても1点差に止めたい」と言う試合だった。もし2点差以上で負けた場合、2次トーナメント出場権を得るために、第3戦が結構苦しい状況になるからだ。
もちろん、0−1で負けるよりは、引き分けの方が格段によかったのも確か。この試合後に、デンマークがカメルーンに1点差で勝ったために、0−1敗戦と引き分けは大きな差がなくなってしまった。しかし、言うまでもなくこれは結果論。デンマークが引き分けたり、負けたりしていていれば、0−1の敗戦はもっと苦いものになっていた。
そして、日本は後半半ばまで0−1で負けていた。オランダは明らかにペースを落とし、後方を固めようとしていた。岡田氏は、まず中村俊輔を起用し、状況を打開しようとした。連続CKなどで攻め込んだものの追いつけない。そこで岡田氏は玉田、岡崎を投入し、一気に攻めに出た。俊輔の投入は、ある意味でわからなくはない。調子を崩していたものの実績と経験を最も持つエースの投入だったからだ(結果的には、この交代は失敗だったとは思うが、それは本日の本題ではない)。しかし、FW2人のの同時投入とは。しかも、交代される選手の1人は長谷部と言うではないか。明らかな前掛り策、つまり失点のリスクを負って同点に追いつこうと言う策である。
ここは極めて難しい判断が要求される場面だった。上記した通り、同点に追いつきたいところだが、2点差にされる事もまた避けたいところ。長谷部を外し、阿部と遠藤(2人とも少々お疲れだった)のドイスボランチ、さらにその前には機能しているとは言い難い中村俊輔。大きな決断である。
さらに追いつけずに時間が進むと、ついには岡田氏は闘莉王を最前線に上げ、無理攻めまで仕掛けた。テレビ画面に大映しになった岡田氏は、決然とした表情で「攻めろ!点を取りに行け!」と言わんばかりだった。
正直言って、私は岡崎らの交代以降、「そこまでリスクを負ってよいものだろうか」と事態を憂慮しながらテレビ桟敷で絶叫していた。まあ、私はいつもの小心者の守備的思考である。
以降はご承知の通り。
日本は岡崎の逸機とか、長友の転倒とか、幾つかの好機を掴む事ができた。一方で、ミスがらみから2回オランダに逆襲速攻を許し、川島の好機で事なきを得た。結果的にスコアは動かず、0−1で終了。
岡田氏の同点策は実らず、またこれ以上の破綻も呼ばなかった。しかし、デンマークが2−1でカメルーンに勝った事で、第3戦が「引き分けでよい」と言う悪くない結果も残った(「では、デンマークに引き分ける事ができるか」と言うのは別な話であるのは言うまでもないが)。あの場面、岡田氏が、同点狙いに行くべきだったか、安全策を採るべきだったか、正解はないだろう。
しかし、1つだけ言える事はある。あれだけ守備を固めてきたオランダに対し、無理攻めがある程度奏功し、攻めかける事ができた。これは選手達には相当な自信になったはずだ。この自信を持ってデンマーク戦に臨める事はとても重要なはずだ。
過去のワールドカップでは、「どうしても勝ちたい」と言う状況になっても、思うように攻められなかったり、空回りするばかりだった。
それが「攻めるべきか、無理をせぬべきか」と言う選択肢が与えられる状況となり、監督が「攻める!」と判断して、実際にかなり無理までして「攻め込む」事ができた。結果は出なかったが、これはこれで1つの進歩。大変結構な事ではないか。
ここまで来たのである。まずは何としても、2次ラウンドに進みたい。
2010年06月21日
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ついでに、このコメントを投稿するときに認証コードがいつも一緒なような気がするんですが。
日本はラインを下げて守っても守りきれない
↓
でも、中途半端だとオーストラリア戦と同じ轍
↓
一か八か攻めのメッセージで強引にラインを引っ張り上げてやる!
というバンザイアタックに近いものがあったのではないかと。アフェライは一対一が苦手というスカウティングに基づく緻密な戦術であれば脱帽ですがw
岡田氏は舞い上がってるようには見えなかったですし、日韓戦以降の氏の言動には、腹が据わってるとか、リアリズムとかいう以上の張り詰めた「ヤバさ」を感じます。W杯後の氏の著作が今から楽しみです。全てはデンマーク戦…
相手にとって意外すぎて、効果的だったという。
玉田と岡崎は守備戦術についても理解しているので
前から追う役割も兼ねていたでしょう。
しかし中沢のバテかたが酷かったですね。
3戦目が終わるまで保つのか?
FWを一人も入れない「ゼロトップ」なんて、小中学生がサッカーゲームをやるようなフォーメーションを思いついて喜んでるようなレベルでもここまでこれたのだから。
サッカーゲームなら、終盤には岩政入れて中沢、田中、岩政の3人が中央で跳ね返す5バックを是非。(笑)
駒野大活躍!
逆紳様。ありがとうございます。