しかし、次期日本代表監督の人事の噂も流れ始めている。実際の決定は大会終了後となろうが、この手の話は遅れをとるとタイミングを逸する。と言う事で大会中ではあるが、私なりの現状意見を、少しずつ述べていきたい。
とりあえず、今日は「ワールドカップの目標」はどうあるべきかについて述べたい。
約1年前にこんな文章を書いた。一部を要約する。
「ベスト4を目指す、そのためにいかに全員で努力を行えるか」と言う岡田氏の発言は、(過去と異なりワールドカップ本大会に出場するだけでは満足感が得られず、日程が破綻により代表チームに選手達が集中しづらい現況において)代表選手たちを鼓舞し、厳しい鍛錬を要求し、共の高みを目指そうと言う視点からは、真っ当なものにも思えるのだ(いや、「それにしても」と言う否定しませんが)。正直言って、私は当時「高い目標は結構ではないか」と書きつつも、「それにしても」と思っていた。
しかし、岡田氏は正しかった。それはデンマーク戦以降にしみじみ思った事だ。もし岡田氏が執拗に「ベスト4」と繰り返していなければ、我々はあの時点で「お腹いっぱい」気分になってしまったのではないか。苦労を重ねて、しかし堂々と、ベスト16にたどり着いてもなお、我々は「さらに上へ」と言う意識を継続する事ができた。
もっとも、私は全く別な心配もしていたのだが。パラグアイに勝つ。そして、スペインかポルトガルに勝つ。目標のベスト4に到達する。おそらく、選手達は全てを出し尽くす戦いをしてくれるから、その可能性は低くない(さすがに高いとは思っていませんでしたが)。そうなると、目標を達成した我々は、全てを出し尽くし疲労困憊の選手達と共に、決勝進出を賭けてアルゼンチンかドイツと戦う。
ワールドカップ史上初めて、準決勝における0−6くらいの大差完敗と言う記録を作るのではないかと懸念したものである。こう言う余計な事を考える輩が、一番悪いのかもしれない。
では今大会の1/16をどう評価するか。岡田氏も長谷部達も、この結果に満足していないだろう。現場で戦ってくれた彼らが満足していない以上失敗なのだろうか。いや、この結末は悔しくて悔しくて仕方がないが、あのすばらしかった戦いのまとめとして「失敗」と言う日本語を使うのもいかがと思う。
同じエントリで、私はこうも述べた。
そして、私は結果以上に、岡田氏と中澤達に望みたい事がある。それは、チームが「日本サッカーの全てを出し尽くした」と言う試合をする事だ。(中略)最後の試合(それが1次リーグの最終戦なのか、準決勝なのか、その中間なのかはさておき)で、「もうこれ以上は俺達には無理だよ」と、笑い泣きするような言う試合をワールドカップで見たい。
ワールドカップとは必ず負ける大会である。そして、いかに負けるかが大事な大会である。ここまではわかっていた。
しかし、私は間違えていたのだ。いかに負けるかは大事だが、満足する負けなどはあり得ないのだ。今回の日本代表の戦いぶりは素晴らしかったと思う。ただ、「もうこれ以上に俺たちは無理」だったかと言うと、それは違った。「完璧な試合」だったからこそ「もっと行けた」と言う戦いだった。そう、パラグアイ戦の経験でわかったのだ。「これ以上俺達には無理だよ」と、笑い泣きする負けなどあり得ないのだ。
今大会は「うまく負ける事に成功した、しかし悔しくて悔しくて仕方がない」大会だったのだ。そして、それは我々にとって初めての経験だった。でも、これを1度経験する事に成功したのだ。
次回ワールドカップの我々の目標は「前回以上にうまく負けて、前回以上に悔しくて悔しくて仕方がない試合でブラジルを去る」事である。
以前から武藤さんのこのブログを拝見していましたが、「いかに負けるか」について書かれた文章を開戦前に読んだこともあり、日本代表が敗退する時には私自身が納得できるのかを個人的な関心の一つにしてきました。
結果は、やはり負けると残念な気持ちになりますが、パラグアイ戦の途中からは、このままだと得点は出来ないだろうけど失点しなければチームとしては実力を出し切ったと言えるのではないか、と思うようになりました。
ブラジル大会では、また成績としては「未達」かもしれないけれど、観客として達成感を感じるような試合をしてくれればと願います。
次も冬の大会なので、とても期待してしまいます。
しかし、長谷部、阿部、長友、松井はスポーツニュース番組に出ずっぱりですね。
こうやってサッカーファンの拡大に努めているのかと思うと、
本当に頭が下がると同時に、誇らしく思います。
「日本人、かくあるべき」という姿を見せてくれた日本代表でした。
引き分けどまりだった。
「これ以上
今日の
俺達には無理だよ」
そう思って帰ってきました。
明日の俺達はどうすべきか、
武藤さんの仰るとおり、
明日への希望に満ちた絶望でしたね。