2010年08月22日

素直に勝利を喜びましょう

 ベガルタはアルディージャに3ー0で快勝。リーグ戦としては、実にアントラーズ戦の勝利(開始0分に交通事故で先制、直後に敵エースのマルキーニョスが退場、と幸運に満ちあふれた試合だったな)以来15試合、141日ぶり、ナビスコを含めると、同じNACK5スタジアムでのこの試合以来75日ぶりの、勝利、勝ち点3の獲得となった。久々に現地参戦できた事を含め、素直に喜びたい。やはり勝ち点3はいいよ、本当にうれしい。ただねえ。

 開始早々、ベガルタ後方からのロングボールの処理をアルディージャ守備陣が処理をもたつく、こぼれ球を拾ったところから、うまくつなぎ斉藤が冷静に左サイドフリーの梁に落とし、梁が落ち着いた切り返しからファーサイドに正確なクロス、大外から飛び込んだフェルナンジーニョがダイレクトでたたき込み先制。
 その後もアルディージャの韓国人ボランチ李浩の不振を突き、ベガルタは再三よい場所でボールを奪い速攻を仕掛ける。ここのところ、好調だったはずのアルディージャだが、李浩の不振に加え、青木にも冴えが見られず、一番怖い藤本も右サイドに貼り付きプレイ関与が少なかった。結果的にベガルタの中盤選手は自在にプレイができた。
 さらにベガルタに幸運が訪れる。CBの坪内が赤嶺と交錯して負傷退場、代わってマトが起用される。マトと深谷のCBコンビは、上記のナビスコでの対決で、フェルナンジーニョが見事なステップワークでチンチンにする事に成功しており、とても相性がよいのだ。
 そして34分。ベガルタのゴールキック、赤嶺が左サイドに開き、マークを小柄な渡部にする事に成功。林のボールが精度よくそこに飛び、そのこぼれ球をうまく拾った梁が巧みに中央に流し斉藤が強引にシュート、中央に回り込んでいた赤嶺が、巧みに方向を変えて押し込み、2点差に。ベガルタにとっては、貴重な貴重な赤嶺の初得点である。
 落ち着いて振り返ると、2得点はどちらも後方からのロングボールの処理を、アルディージャの守備陣がミスをした所をついた得点。ベガルタのよいプレスの賜とも言えるが、やはり幸運だった事も確かだな。
 先制の2点は、やや幸運だったが、以降ベガルタは次々に中盤の刈り取りに成功、フェルナンジーニョ、赤嶺、関口、梁らが次々に決定機をつかむ。そして、幾度も決定機を逃し続けた65分、富田(たぶん)のボール奪取からのショートカウンタ、抜け出したフェルナンジーニョが、深谷を抜き去り、GK北野と1対1となり、角度のない所から決めて、3点差として勝負を決めた。
 以降、強引に出てきたアルディージャに幾度か決定機を掴まれたが、しのぎ切り3−0で完勝となった。いや、よかった。

 しかし、上記した通り、アルディージャのできが悪かった事をまず感謝すべきだろう。考えてみると、当方は火曜日にレッズとの敵地戦、一方先方は水曜日にサンフレッチェとの敵地戦(見事に、我がベガルタOBの村上の2得点で勝利したとの事だが)。当方は試合終了後、深夜になったが仙台に戻る事が可能で完全に中4日の調整が可能だった。一方先方は広島に一泊して、木曜日に飛行機で戻り、事実上の調整は金、土の2日半しかできなかったはず。この差は大きかった。さらに、上記した坪内の負傷退場は痛かっただろう。ただし、全く不振の李浩を起用し、引っ張ったのは、鈴木淳監督の致命的なミスだったのは間違いないが。

 ただ、3点差となった後の手倉森氏采配は、相変わらず相対的な発想に欠け、厳しい言い方をすれば能天気だったのにはガッカリ。
 顔面を骨折したものの、フェイスガードを付けて久々にリザーブに入った中原を赤嶺に代えて試すのは理解できた(中原は試合勘が不足していたのか今一歩のでき、とにかくこの男には得点をねらって欲しいのだが)。
 以降手倉森氏は、相変わらず「動かない」。ホームのアルディージャが「何とかして1点を」と無理攻めしてくるのに対し、無策を繰り返す。65分過ぎで3ー0でリード。ここは徹底したリアリズムで、確実にノーピンチで時計を進め、チームとして「守れる!」と言う自信をつける絶好機だったのだが。たとえば、梁に代えて高橋義希を起用して中盤を厚くして、しっかりボールをキープして時計を進めてもよい。エリゼウをボランチに起用し、守備を固めてもよい。けれども、いつものように手倉森氏はそのようなクローズをせず、いつものように「成り行きの采配」を継続した。
 そして行われた交代策は、80分斉藤に代えて義希を起用し中盤の運動量を確保した事(好意的に見れば、富田と義希のドイスボランチを試したとは言えるか)、直後恒例の朴柱成のエネルギー切れ対応に留まった(90分持たない可能性が高い朴を起用する事そのものが、いかがと言わざるを得ない)。
 選手たちも圧倒的なリードを活かすべく、テンポを落として後方でボールを回して敵を前掛かりにしてみるとか、敵が無理に前進してくる隙を突いてサイドチェンジを多用して敵のさらなる疲労を誘うとかの工夫は一切なし。最後の最後まで、律儀に攻撃を繰り返した。

 この日は敵のできが非常に悪く、3点差をつける事ができた。さすがに、こうなれば勝てる。しかし、言い換えると「3点差をつけないと、終盤敵につけ込まれ、勝てないのではないか」と言う印象も感じた。今後を考えると、何の楽観もできない試合だったのだ。
 もちろん、この日再三見せた鋭い攻撃や粘り強い守備そのものは、ここまで手倉森氏がしっかりと築き上げてきた鍛錬の賜だ。以前から述べてきたが、手倉森氏がよいチームを作れる指導者である事は間違いない。しかし、それに加えて、うまく試合をまとめ上げてくれないと、勝ち点は積み上がらないのだ。
 まあ、いいでしょう。ベガルタの今後と手倉森氏への注文は、別に述べる事としよう。今日のところは、景気のよい完勝にドンチャン騒ぎする事としようか。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>CBの坪内が赤嶺と交錯して負傷退場、代わってマトが起用される。

交錯してないですよ。坪内が着地ミスったのか,ジャンプの時に痛めたのか,とにかくそんな感じでまともに着地できず,そのまま赤峰に衝突しただけだと思います。ご確認ください。
Posted by とおりすがり at 2010年08月24日 11:09
訂正ついでに、赤嶺ではなく関口です。
ボールに注目してて、後ろで着地ミスしてバランス崩してるのに気づかないまま慣性で動いてぶつかっちゃった感じですかね。
坪内は着地の瞬間に膝を伸ばしたような足の着き方してるので、この時点で傷めたように見えました。
Posted by 通り at 2010年08月24日 17:00
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