2010年09月23日

ロンドン五輪代表始動

 ロンドン五輪代表チームが始動した。Jで実績を挙げた関塚隆氏が、A代表のコーチ兼任で監督に就任。まずアジア大会のメンバが発表された。

 五輪は前々回にトルシェ氏率いるチームが堂々とベスト8に進出し、合衆国に悔しいPK負けを演じた以降、アテネも北京も1次リーグで芳しい成績を挙げられずにいる。正直なところ、いずれの大会も、「選手は上々だったにもかかわらず、やり方がまずかった」と言う印象が非常に強い。
 アテネの失敗については散々愚痴を述べたが、「強化機会に恵まれ過ぎると、代表チームはかえって弱くなる」と言う不思議な現象を経験する事となった。当時の監督の山本昌邦氏の強化のやり方は、大量の選手を招集し「ラージグループ」を作り上げると言うもの。これは山本氏がコーチとして仕えていたトルシェ氏の強化方法に則ったものだったが、本大会までにベストメンバを絞る事ができず、完全な失敗に終わった。さらには、山本氏は類似の失敗をジュビロでも演じているのも、注目されてよいだろう。一方で、山本氏は、ここまでJFAの各種年代の指導を務めており、監督としても97年ワールドユースベスト8(中村俊輔、明神、柳沢、宮本ら)と言う実績があった。これらを含めて、アテネの失敗は、日本サッカーにおける1つの経験とも、1つの学習材料とも言えるだろう。
 北京の失敗も興味深い。監督を務めた反町康治氏は、アルビレックスで格段の実績を残し、就任当時は日本屈指の若手指導者と評価は非常に高かった。しかし、これまた再三愚痴を述べる事になるのだが、就任中「ただの1度も颯爽とした試合を見せる事なく、北京で惨敗」すると言う無様な結果に終わってしまった。一方で、反町氏はその後ベルマーレの監督に就任、見事な采配でこの名門クラブをJ1昇格させた手腕は記憶に新しい(現在反町ベルマーレはJ1で苦闘しているが、これは(ベルマーレには失礼な言い方になるが)選手の個人能力の問題も大きく、必ずしも反町監督の手腕の問題のみではなかろう)。なぜ、これだけの名監督が五輪代表でかくも失敗したのかと言う事も、やはり日本サッカーにおける1つの経験とも、1つの学習材料とも言えるだろう。
 さらに言うと、山本氏、反町氏の失敗により、「やはり日本人の監督では、世界で勝てないのか」とすら思う事もあった。その不安を、先日岡田氏が完全に払拭してくれた事は、我々にとってはとても大きな事だ。

 ここで、関塚氏である。
 フロンターレでの実績は言うまでもない。タイトルこそ獲得できなかったものの、フロンターレをアジア屈指のクラブまで成長させ、さらには中村憲剛と言うスタアを作り出したのは、関塚氏の手腕だ。反町氏は「戦闘能力が十分でないクラブをそこそこ勝たせた」が、関塚氏は「戦闘能力が十分でないクラブを戦闘能力が十分なクラブにした」ところが違う(もっとも、関塚氏も反町氏も、共に高校サッカーの大スタアであり、浪人して志望大学に入り、トップリーグでも活躍するなど共通点も多いのだが...大学入学時の浪人と言うと、もちろん岡田氏もなのだが)。
 また、反町氏は当初オシム氏の代表コーチングスタッフに入っていたが(たとえばアジアカップのベンチにいて、同時開催されているカナダのワールドユースの視察にいかないなど不可思議な行動もあったが)、岡田氏の就任と共にA代表からは消えてしまい、不思議な思いをしたのものだった。関塚氏は、ザッケローニ氏の数少ない日本人スタッフとなるのだろうから、最後までA代表に帯同するのだろうか。そして、ここのA代表との連携はとても重要なものになるはずだ。
 また関塚氏の出身大学により、大学閥の選考と揶揄する向きがあるが(この大学のサッカー界における大学閥が、過去色々に本サッカー界をゆがめていた事も否定しないが)、少なくともそれが関塚氏の実績をゆがめるものではない。関塚氏は国内屈指の実績ある監督の1人なのだ。

 アジアカップがJリーグ最中に開催されるため、今回のアジアカップメンバはJでレギュラ格の選手は少なくベストとは言えない陣容となっている。権田、村松、酒井(おっとこの選手はユース代表には選ばれているな)、椋原、高橋、金崎(これはエースだ)、青木、山本、大津、原口、宇佐美、大迫、もちろん香川(これは大エースか)と言った選手が選考されていない。もちろん、負傷離脱中の米本と山田も不在。今回のメンバでJでそこそこ実績あるのは(と言うか私が映像を含めて見た事があるのはだが)薗田、登里、鎌田、東、工藤、それに水沼くらいか(どうでもよいが、水沼親父と関塚氏は同年齢)。ワールドカップサポートメンバの山村と永井を含め大学生が比較的多いのは最近の傾向と言うものだろう。
 そもそも五輪代表と言うのは、10代後半から20代前半の年齢層。若者が精神的にも完全に大人に自立する年代であり、中心選手は皆トップレベルのJリーガとして活躍する。つまり、選手によっては五輪代表よりも格段に過酷な試合をJで戦っている事になる。さらに選手はこの年代、一気に成長する。昨日までユースで子供っぽかった選手が、一夜で堂々とした大人の選手になる事も珍しくない。
 しかし、A代表とは異なり、五輪代表は「全てのサッカー選手の代表」と言うプレゼンスがある訳でもない。つまり「代表に行く事が、質の高いサッカーを要求されるとは限らない」と言う非常に難しい代表チームなのだ(もちろん、ユース代表でも同じ事が言えるが、ユース代表でJに出ているようなタレントは、ユースでは王様であり、別な体験ができる)。
 そのような難しい年代のエリート達を束ねて、関塚氏がどのようなチームを作ってくれるのか、大いに期待したいところだ。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(9) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アジア大会が後半ではアジアカップになってます.
読まれたあと抹消して下さい.
Posted by KI at 2010年09月24日 01:27
宇佐美はU-19に選ばれてます。
高橋や原口のような出場時間の少ない選手を挙げて
清武や丸橋や中村や横竹や今京都のレギュラGKの守田を挙げないのはどうかと。
2人ともJで結果出してるわけでもありませんし
特に高橋に関しては彼より出場時間の多い選手は多くいます。
大学生ならまだしもプロの選手を挙げるなら名前ありきじゃなくて実績で挙げるべきでしょう。
Posted by at 2010年09月25日 21:47
他の監督はけなして、
自分の好きな監督は擁護。

サッカー音痴レベルですね。
Posted by at 2010年09月26日 12:50
いやー、この記事に対するコメントを含めて、日本のサッカーはここまで来たんですねぇ。最期のパラグラフになりますが、アンダーエージの代表にJで活躍している選手が選ばれていないが、彼らの大事な仕事は、U-23/U-20でどうのこうのじゃなくて、大人相手の日々のリーグ戦なのだ、と言う事を暗示するこのエントリ。そのエントリに対して、ネームバリューで名前をあげるな、もっとこんな選手もいるぞと言う、皆さんからのコメント。。。豊かな日本サッカーの実りを実感して感無量でございます。
Posted by 湘南蹴鞠屋 at 2010年09月26日 17:29
>ネームバリューで名前をあげるな、もっとこんな選手もいるぞと言う、皆さんからのコメント。。。

単にサッカー知らないでしょ、って馬鹿にされているような気が・・・。w
Posted by at 2010年09月26日 17:53
武藤さんがー前岡田監督を誉めるたび、イラッとします。「なら、読むな」ハイ、そうしますー
Posted by at 2010年09月27日 13:23
セキさん就任前から今日までずっと川崎を応援してきているけど、セキさんのJでの実績は、「作戦ジュニ+ケンゴ」と正比例。良くも悪くもジュニーニョとケンゴの調子次第(それはセキさんがいない今日でも同じ)。どんな苦境もジュニとケンゴが救ってきた。五輪代表にジュニーニョはいない。無論、ケンゴもいない。正直、セキさん、難しいだろうね。「ブラジル行って若いの発掘してきて日本人に帰化させろ」とか言いそう。でもそれ、アリなんじゃないの?セルジオのオヤジも言ってるし。A代表の強化策にも直結するしね。
Posted by 狂信的川崎サポ at 2010年09月27日 14:32
17:53
武藤さんは忙しくて最近のJリーグを見てないだけ
サッカー知らないのはおまえ
Posted by at 2010年09月27日 23:36
ブログ主にうだうだ言って、自分の知識をひけらかしてもしょうがないとは思いますが、、、
丸橋はいいですよね!個人的に尾亦好きだったんですけど、丸橋はさらに良い。
Posted by げる at 2010年09月28日 23:09
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