2010年09月29日

女子ワールドジュニアユース準優勝を称えつつ

 女子ワールドジュニアユース準優勝、正に快挙である。選手達、選手を育成してきた指導者や周辺の方々、そして日本協会スタッフに、大いなる賞賛をすると共に、感謝したい。
 私事ながら、監督の吉田弘氏とは大昔の事だが面識もある。現役時代すばらしいストライカだった吉田氏が、指導者としても堂々とした実績を残した事も、非常に嬉しいことだ。

 それにしても、日本の女子サッカーの成長の速さと度合いには、本当に驚かされる。ついほんの昔のアテネ五輪では、苦闘の末かろうじてアジア予選を突破したものの、本大会で1次リーグ敗退を喫した。あの時点では、選手達の見事な精神的な充実にもかかわらず本大会で苦杯を喫した事で、「その上に行く」ための壁は相当高いのではないかとも予想された。
 けれども、女子代表はその後も堂々と進歩を継続。2年前の北京五輪では、長年戦闘能力では優位に立てなかった中国を(敵のホームだと言うのに)完勝で撃破(もっとも、予選段階から中国より戦闘能力が優位だったのだが)。惜しくも4位に終わったものの、紛れもなく世界で上位をめざせるだけの戦闘能力がある事を見せてくれた。
 そして、今回の快挙。トップの代表チームのみならず、トータルで日本の女子サッカーが世界のトップレベルにある事を、改めて示すものだと言えよう。

 ところが、日本の女子サッカー界がが抱える構造的で本質的な問題は、何ら解決されていないのが現実なのだ。
 まず、女子サッカー選手が職業人として、完全に自立し豊かな生活ができる環境が作られていない。男が日本のトッププレイヤになれれば、巨額の富も、多くの人から尊敬される名誉も、受け取る事が可能である。南アフリカで上々の戦果を挙げてくれた男達を思い起こせばよい。しかし、残念ながら日本の女子代表選手は、世界トップレベルではあるものの、そのようなプレゼンスはもちろん、経済的恩恵も得ていない。
 また、特に中学生年代で女性がサッカーを継続する環境も恵まれたものではない。現実的に、ほとんどの中学校に女子サッカー部がないため、プレイをしたいと思っても「場」そのものがないのだ。そして、これは長年「女子の球技にサッカーは含まれない」と言う伝統的な思いこみによるもの。これを解決しようとしても、少子化によりただでさえ生徒数が減少している中学校で、既存のバレー部やらバスケット部代わりサッカー部を作っていく事は不可能に近い難事。少年指導をする身としても、せっかく小学生年代でサッカーをやる喜びを見い出してくれた選手に、中学以降プレイする環境をいかに提供するかは、常に大問題であり、有効な解決策が見い出せていない。

 抽象的で漠然とした対応が思いつかない訳でもない。
 前者に対しては、サッカー界全体のキャッシュの一部を配分するやり方だ(現実的に、この方法でトップ選手を集中強化できるから、最近の女子は強くなったと言う仮説を立てる事が可能なのだが)。強化費用のみならず、トップ選手に対するボーナスを、男のサッカーで儲けたキャッシュから回す事で、少しでも女子選手の懐を豊にできないかと言う考え方である。たとえば、ここ2回の五輪は、(若手とは言え)トッププロが出場している割りには男は冴えない内容と結果に終わっている。「だったら、よほど颯爽としたプレイで結果を残している女子代表にボーナスを弾もう!」と言いたくなったは私だけではあるまい。ただ、この発想は、あくまでも限られた一部の選手に一時金がある程度入るだけであり、抜本的な解決策とはならないのがつらい。
 後者に対しては、近年幅広く普及している大人の(フットサルを含む)サッカーとの融合ができないかと言う手段があるやに思う。日本中各地にフットサルコートができ、多くの女性がプレイを愉しんでいるのだから、そこに中学生年代でプレイを継続したい少女達を組み合わせる事ができないかと言う考え方だ。ただし、現実的には、生活時間の相違や移動を考えると、中々現実には落ちて来ない発想だ。
 やはり、繰り返すが問題は構造的で本質的であり、解決は容易ではない。

 女子サッカー選手達の颯爽とした活躍を見て愉しませてもらう度に、全くgiveなくtakeばかりの己の情けなさを嘆き、何とかならぬかと思うばかりなのです。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
くだらない素人の思い付きですが、女子も男子と同じ部活に所属すれば日常的にサッカーを楽しむことは出来るかもしれませんね。女子の大会に出場するには人数の問題が残りますが。
Posted by at 2010年10月01日 22:53
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック