おもしろい試合だった。勝ち切れなかった事は悔しいけれど、これはワールドカップの準々決勝ではない。縁深いライバルでには常に勝ちたいものだが、先方も十分に強かったのだし、当方に足りないものがあったのも確かだし。これだけの娯楽を愉しめたのだから、ソウルに行かなかった己の愚かさを呪うのみだな。
よくいる自虐主義者が先方は朴智星がいなかったからと騒ぐかもしれないが、当方だって闘莉王も岡崎もいなかった。特に今日の試合については、日本はフィニッシュに課題があったのだから、国際試合で最も得点が期待できるこの2人がいれば、随分状況が違った筈だ。もちろん、朴智星がいれば、当方の守備陣はもっと大忙しだったろうけれど。
共にワールドカップで初勝利を上げ、初めて2次トーナメントに進出したのは8年前の地元大会(まあ、先方の進出には色々とあったけれど)。そして、共に06年大会は、適切な強化ができず思うような成績が挙げられなかった。けれども、今年の大会では共に国内の切り札的監督に采配を委ね、相応の成績(ベスト16)を挙げる事に成功した。そして、両国とも、ベスト16と言う結果のみならず、自信に満ち溢れた選手達と言う最高の財産を獲得できた。
その結果が、今日のこのすばらしい試合だったのだ。いや、おもしろかった。
守備については、ほぼ完璧だった。前線からの組織守備はますます充実。後方6人の距離感が抜群なのは相変わらず。アルゼンチンと異なり、韓国はそれなりに散らして来たがバランスは崩れなかった(サイドチェンジの精度がアルゼンチんや日本と比べて落ちるのはご愛嬌だが)。もちろん、内田や栗原が対応を過ったり、長谷部がドッキリのミスパスをしたり(自分で帳消しにしたのはさすがだったが)、長友が調子に乗り過ぎて入れ替わられたりと言ったミスもあったが、まあワールドカップではないのだ。甘いかもしれないが、小さなミスは仕方がないだろう。
ある意味この日最も注目だった栗原だが、ほぼ無難なプレイを見せていた。終盤、朴主永に競り負けて、枠に飛ぶヘディングを許した(ボールは西川の正面に飛び事なきを得た)のは残念だったが、まあ相手も相手である。よく反省し、次回につなげて欲しい。栗原の充実は、このシリーズ2試合の最大の発見と言えるだろう。いわゆる肉体能力には定評があるこの選手だが、安定感や集中面に相当の課題があったのだが、この難しい2試合無失点に堂々と貢献した。ホームアルゼンチン、敵地韓国に無失点で2試合乗り切ったと言うのは、これはこれで快記録だ。すばらしい。
駒野の負傷は、このすばらしかったシリーズ最大の瑕瑾。あの李青龍のプレイは極めて危ないもので、最低警告は出るべきものだったが、何と言う不運だろうか。既に代表での地位は完全に確保している選手なので、焦らず治療して欲しい。
駒野に代って入った内田は相変わらず玉虫色のでき。どうも、この選手は1つ前に中村俊輔とか小笠原とか、格段の使い手がいないと機能しないのだろうか。特に最近は本田も香川も野心たっぷり「俺様モード」に入っているので、せっかくよいフリーランをしても、以前ほど使ってもらえないので、何かリズムを崩している感がある。単純な守備においては、李青龍や崔相国らのドリブルを堂々と押さえていたが、一方で長谷部あたりが苦労してキープしたボールを淡白に失うなどの悪癖は相変わらず。
ザッケローニ氏はしたたかに交代を使い、チームを活性化すると共に、色々な選手を試した。香川に代えて細貝を入れて中盤を厚くして、やや押し込まれいたバランスを復旧させる(と、同時にアルゼンチン戦で使えなかった細貝を見る事ができる訳だ)。終盤、松井に代えて金崎を起用したのも、勝負と言うよりはザッケローニ氏が見たいからのように思えた。そして万を侍して、終盤憲剛を起用。憲剛が起点となった攻撃で、幾度か好機を掴むが決め切れなかったと言う事か。
本田の強引なプレイはすばらしかった。あれだけ、技巧を軸に強さが出てくれば、いつかは入るだろうから、ドンドン行って下さい。
一方、香川はちょっと苦しかったか。韓国の守備は執拗を極めていたし。ただ、この選手の場合は、とにかく厳しい経験を積み、あの抜群のボール扱いに磨きをかける事ではないか。たとえば、前半松井が右サイドをえぐって前田に合わせようとするも敵DFがクリアしたところを狙った時の胸トラップの僅かなミス。あれがしっかりできる選手になってくれれば...
松井は後半長谷部のスルーパスを受けながら、ボール扱いに失敗した場面(その後松井のセンタリングを敵DFがハンド疑惑)が今日の全てだろう。あそこで、しっかりとボールを止めて、見事な得点を決めてくれれば、大ヒーローだったのに。
月並みだが、結局この日の韓国のように、しっかりと守備を固めて来ているチームから点を取るとしたら、最後は攻撃ラインの選手の個人能力がモノを言う。本田なり香川が世界的に紛れもなくトップ選手、と言う成長をしてくれる事を期待したい。
長谷部はもう最高。序盤のミスパスにはヒヤリとさせられたが、後はすばらしかった。相変わらず、豊富な運動量と読みの良さの守備は抜群。そして、中盤から長駆して最前縁に上がる強引さ。特に後半、どうしても1点欲しくなった時間帯の強引ドリブル前進はすばらしかった。正に重要問題から絶対に逃げないキャプテンらしい姿勢の顕れだった。上記した松井の逸機がなければ、完全に1点ものアシストだったのだし。
そして、遠藤。とうとうA代表100試合出場を決めたと言う。井原正巳、川口能活、中澤佑二に次いで4人目の快挙である。うん、すごいな。あのワールドユース準優勝メンバの、とうとう出世頭になってしまった。この日も冷静極まりないゲームメークを見せてくれた、この老獪なオッサン選手、いつまで元気でいてくれるのだろうか。
何度でも繰り返すがよい試合だった。決着はアジアカップか。
2010年10月12日
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Tracked: 2010-10-24 12:53
そんな情けない選手はフル代表にはいない。
それが確認できただけでも嬉しいです。ホントに嬉しいです。
ダウト!
ただの臨時雇い。
内田ゴラァ〜!
少しは成長汁!
栗原・・・。
(すいません。中澤が叱りますから。すいません)
でも、無失点だよ、2試合も!(涙)
えらかったよ。栗原。(うんうん。涙)
それはメッシを完封したチームに対する侮辱に近いですね(笑)
前田は技術高くてボールはある程度収まる反面、
やはり裏に抜けるスピードには欠けますから
こういう相手では賛否両論なのは当然だと思います。
勝負に拘るならどこかで裏に強い森本を
投入すればかなり効いたと思いますが、
金崎を使ってみたいという気持ちもわかるので
親善試合ですし、これはこれでよいと思いました。
ちゃんとサッカーの試合になっててホッとしました。
数年後が怖いですけど。
わずか数か月前の、あの混乱ぶりとは見違えるようですな。
指揮官は錯乱して辞表だの、進退伺だのをW杯直前という時期を考えもせずに出して、「あれは冗談」なんて「冗談」を言い出すほど壊れていた。
「ザッケローニ監督になって、守りは組織的になったと思う。」(by松井)
今までのどん引き守備と比較する方がおこがましい。(キッパリ)
印象的だったのが解説の風間さんがいつもに増して饒舌だったこと。
守備も攻撃も明確なので、プレーの意図、ズレ、小さいミスを事細かに、楽しそうに解説。
半年前とはえらい違いw
頼もしいの一言に尽きる
と思いました。
それぞれの技術と戦術眼と闘志が、相乗効果を生み合っているいうか。。。
あとは勇蔵。
悪くはないよ。あとはこの2試合の経験をマリノスでどう生かすか。
マリノスでは見せないプレーを見せていたね。良い意味でも悪い意味でも。
このまま定着して、日本を代表するCBになってください。
というのを具体的に示す時期に来ているので、
それをフル代表で見せてほしい。
フル代表がすることを各年代別代表で継続してやればいい。
各世代でばらばらのことをやっていても日本としてチームになるわけがない。
勝ち負けなんてどうでもいい。それはワールドカップでわかったはずだから。
三ヶ月前とは ?
ナイジェリアでサンデーオリセーみたいなロングシュート決めたときは痺れたなあ。もうずいぶんと昔のことだ。
個人的には日本歴代最高の選手。
べた引き、どん引き守備。
哀れなFWが相手DFの間を援護もなく右往左往。
フォーメーションを勘でイジッテ、遠藤に言われてあわてて変更。
3ヵ月前の守備と同じに見えるならば、武藤さんか弁護士に相談すべきですね。ね、武藤さん♪w
ああ、間違い。訂正。
この部分、オ(ba)カダ監督にポイ捨てされた岡崎選手でしたね。
あれほど、無意味で、涙を誘うほどの恥ずかしいことをやらされたのにね。
言われたとおりに、必死に馬車馬のように走り回り、そのあげくにポイ捨てされた岡崎選手・・・。
公式記者会見でアフリカの歌を歌わされたFWよりましか?w
で,前の方で勝手に点を取って来いの立場でしたので何とも言えませんw
磯貝や金崎は冷や汗ものでしたが代表に続けて呼ばれるためには監督の意向をすぐに受け止めて周囲と連携できる能力が必要ですのでこれからも頑張って欲しいです
U-19の見苦しい試合の後でしたので余計力が入りました
松井の取ったハンドは主審は意図的に見逃しましたね
まあハングルで読めませんでしたが「歴史を忘れた民族に明日は無い」なんて書いてあったそうですので見逃したのでしょう
その意味ではソウルはアウェーのお手本みたいなところです
トルコに似てますね
こんなところで引き分けならシメシメぐらいに思わないといけないのかもしれません
でもこっちにも負けられない気持ちがありますがネ
次は関塚サンのお手並み拝見ですね
アジア杯1月7日開幕だから天皇杯組はどうなるんだ?
ベスト4が名古屋−FC東京−横浜−ガンバになったら国内組総とっかえじゃん。
練習してないけど召集してグループリーグでまとめるのか、他のメンバーで試すのか。
横浜がコロっと負けて、中澤復帰となるのか。
その後の明神や稲本の活躍で忘れられがちですが
遠藤が走り回って守備をしてたからこその準優勝。
でもやっぱあの時は黒子だったなーw
遠藤はオシムと西野に無理矢理覚醒させられなければ
100試合までは到達できなかったでしょう。
欲のない選手って成長させるのが難しいなあ、小野とか梶山とか。
「もうそろそろ武藤の怒りも納まったろ」と勘違いして粘着コメントを再開したらしい、文尾に「。w」のアホーも同様。
あ、同一か?w
醜い醜い。
ほんと選手は良くやりましたよね。
特に、本田なんかぶっつけ本番でよく賢くプレーしてくれました。
遠藤も、思いつきやら「勘」やらで変えられたフォーメーションを、きっちりアイツと話をつけて元に戻させました。
ほんと、「選手は」良くやりましたよ。あの環境で。
自信をつけたのは確かですね。
三か月前もw
(ソースは中央日報ですが本記事は同社による日本語訳が提供されてないので2chスレッドですが御容赦)
> 1970年代ゴールキーパーで活躍したイ・セヨンは空中でボールを争ったとき、球ではなく
> 日本の攻撃選手の顔に拳を飛ばしたことがある。ミッドフィルダーだったイ・チャマンは
> 試合場にクギを持って入り、体当たりする日本選手たちをクギの先で素早く刺す反則をした。
> 主審に見つかりそうになると、すばやくクギを捨てて完全犯罪に終わったという裏話だ。
>
> ミッドフィルダーだったイ・ヨンジン(ヒョン・テグ監督)は自分がマークする日本選手の
> 顔に唾を吐いたこともある。「前半が終るまで無条件に日本選手の顔に唾を吐け」と先輩
> から強く圧力をかけられたからだった。1998フランス・ワールドカップ・アジア最終予選
> 当時、日本のストライカー三浦知良専門担当守備選手チェ・ヨンイルが唾を吐く場面が
> テレビ画面に捕えられている。
李青龍に壊された駒野はアジア杯にも間に合いそうもないそうですが、小倉会長は日韓戦の
定期戦化する方向で調整中とのことです。
しかし昔のこととは言え上記のような内容を韓国三大紙に数えられる中央日報が悪びれも
せず恥とも思わずまるで武勇伝でも語るように記事にするような国と定期戦なんか行って
本当に大丈夫でしょうか?
駒野の負傷に関しても韓国ではまるで勝手に体勢崩した本人が悪いと言わんばかりの論調
だそうです。
確かに日韓戦は盛り上がるし親善試合では得られない緊張感の中でできるメリットも大きい
と思いますが、(ほぼ一方的にこちら側だけが)負傷するリスクを考えるとディメリットが
上回るのではないでしょうか?
私としては韓国との定期戦化には反対です。
1.韓国に連敗して監督が錯乱
2.「進退伺」
3.いさめられて「冗談」だと言い訳
4.冗談じゃないと世間からブーイング
なんて、ぶざまな様子はもう見たくないわな。
ボク座禅してます〜!(PR)
なんて全然効果なし、意味無しだったな。w
岡田氏への粘着ぶりが病気レベルですね
ここでブツブツと恨み言を呟き続けても何になりもしないのに
粘着とか、病気とか、恨みとか・・・。
なんか怖い。
いずれにせよ、ホームでボコボコにされた韓国に、相手の土俵であそこまでやれるなレベルにまでは上がってきましたね。
あのひどい試合から見れば、大した進歩。