2010年11月27日

ベガルタ仙台を堪能して

 もし、最終節で当方が敗戦し、ヴィッセルが勝利したとしても、得失点差は6。常識的には、よほどの大事件が起こらない限りは、J1残留は可能だろう。もちろん、油断禁物なのは言うまでもないからこそ、次節ベガルタはユアテックで「大事件」を起こさない試合を行うのが肝要となる。それがリアリズムと言うものだ。そして、上記条件だから、少々ノンビリとこのエントリを書く事ができるのも否定しない(やはりヴィッセルやFC東京関係者の方々と我々の立場、状況は随分と異なる)。
 しかし、そうは言っても「おいおい」としか言いようがないではないか。

 と、言う事で以下愚痴をお愉しみください。

 ベガルタはこの終盤戦の1週間の3試合悔しい思いを重ねてきた。この3試合でベガルタは勝ち点1しか取れなかった。結果論ではあるが、さらにもう「勝ち点1」さえ取っていれば、いまごろ左ウチワで一杯やりながら、「案外つまらないシーズンだった」とか「決まってしまえば残留って呆気ないな」とか「現地に行かなかった事を後悔」などと、偉そうに講釈を垂れていた訳だ。
 しかしねえ。
 しかも、この3連敗、そのいずれものキーワードが「終了間際」の失点。
 エスパルス戦は前半半ばの朴柱成退場後、巧みに守備を固めていながら、ヨンセンの巧みなキープを起点に崩され、前半終了間際に失点。
 アルビレックス戦は、後半終盤に先制しながら、終了間際にやや不運なバウンドのボールが敵FW前にこぼれ、後半終了間際に失点。
 そして今日のサンフレッチェ戦は、0−0でロスタイムを迎えながら、常識的なアーリークロスに、敵の小柄なMFにフリーでヘッドを許し、後半終了間際に失点。
 それまでの時間帯にもっと危うい場面があったものの、各選手の見事な粘りでしのいできた。ところが上記の3失点はいずれも、自陣前にはしっかりと人数を揃えており「これは大丈夫だろう」と言う状態にもかかわらず「魔が差した」ように穴が開いてしまったもの。

 でも、改めて考えるとある種必然にも思えてくる。
 今のチーム、手倉森が作り上げたチームには「試合のクローズ」と言う概念が非常に薄いのだ。
 たとえば...
 今日のサンフレッチェ戦、スピードがあり、敵の裏を突ける中島の終盤起用は納得できるものだ。しかし、中島は試合のクローズと言うよりは、自らの得点を意識したプレイをしていた。
 前節のアルビレックス戦、疲労困憊しているにもかかわらず大ベテランの千葉は、試合をクローズするのではなく前線につなぎを狙ったパスをカットされ、危機を招いてしまった。
 前々節のエスパルス戦。朴林成の退場後、1−1の同点ながら10人で戦わなければならないにもかかわらず、梁は結構ギリギリのパスで攻撃を狙い、結果的に苦しい場面を導いた事があった。
 千葉、梁、中島、相応の経験を積み、常に勝利に向かい献身する主軸選手達。その彼らが、真摯に「よりよい状態」を目指しながらも、不運もあって叶わず、結果的に「一層悪い状態」にチームを追い込んでしまう。そして、このような事態は今に始まった事ではない。今年のベガルタは、終盤まで「常に勝とうとする、得点を取ろうとする」プレイを継続、そうやっては痛い目にあってきたのだ。
 試合をクローズするために「当たり前に守る」事。それができていれば、おそらく今期もう勝ち点10は積み上がっていたと思う。上記した最近の3試合での勝ち点ロスだけでも相当なのだから。
 
 私は、監督としての手倉森氏を高く評価する。
 梁勇基と言う抜群の選手を中軸に、多数の選手が湧き出すような速攻ができるチームを作った事。
 渡辺広大と言うタレントを軸に、中盤から後方がしっかりとブロックを組んだ守備を作り上げた事。
 選手達を厳しく律したのだろう、いずれの試合も、粘り強く戦い大崩れしないチームを作り上げた事。
 しかし、手倉森氏に決定的に不足しているものがある。それは1試合1試合に拘泥し、勝ち点を積み上げ姿勢である。これは夏場の連敗時代にも随分指摘したものだった。そして、この3連戦の苦杯を通じても、同じ事が繰り返されているのだ。選手達は手倉森氏の指示に従って、終盤まで「常に勝とうとする、得点を取ろうとする」プレイを継続。結果的に、悔しくも微妙に勝ち点を失い続けて来たのだ。
 文句を語ればキリがない。しかし、一方で上記のように手倉森氏の下、ベガルタはJ1のいずれのチームにも対抗できる戦闘能力を確保する事ができたのだ。
 それが今のベガルタなのだと思う。そして、あと「勝ち点1」を積み上げられずに最終節を迎えるのだから、正にベガルタではないか。我々が惚れ切った女は、一筋縄ではいかないタマなのだ(女性のサポータは「女」を「男」に読み替えて下さいね)。だからこそ、我々はベガルタを愛し切ってきたのだ。
 ベガルタの未来は明るい。チームとしての根幹はできて来ている。そして補強についても相応に順調だ。後は、上記で散々愚痴を語った「試合のクローズ」が課題だが、これは来期に改善されるだろう。ここまでのチームを作ってくれた手倉森氏だ、来期必ずや「試合のクローズがうまいチーム」を作ってくれる事だろう。物事には順番があるのだ。そして、そうなれば、我々はJ1の中位に確実に行けるはずだ。

 だからこそ、今期のJ1残留に向けての七転八倒を「苦しむベガルタを堪能するのは、今期が最後」と前向きに捉えるべきだと想う。
 少年団の仲間達に無理をお願いして、来節は帰仙し、ユアテックに参戦します。次節のユアテックは、大変貴重な体験となるはずです。何故ならば、苦しむベガルタを楽しむ「最後の機会」になるのですから。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(11) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
来週、ユアスタでお待ちしてます。

しかし、甘いです。
本当に。
ベガルタらしいですけどね。
さすが神戸、大宮。
瀬戸際の強さが出ています。
これも、J1経験の差なのでしょうか。

昨日の試合ぶりを見ていると、逆転降格も有り得そうと思えてしまいました。

ちゃんと気を引き締めてほしいです。

Posted by @仙台 at 2010年11月28日 06:12
昨夜は、最後の最後まで・・・。
仙台は、勝ち点1を持って帰るかぁ・・・。
って、「相手を褒める言い訳を考えつつ」の
応援でした・・・。
やっぱり、仙台は良いライバルです。
降格はないでしょうねえ。
Posted by at 2010年11月28日 12:27
 
現地参戦してきました。
 
試合が始まるまでは、まさか、残留が確定しないとは夢にも思ってもいませんでしたが、試合では中途半端なパス、シュートチャンスでの不可解なパスなど、久しぶりに『グダグダ』な仙台(笑)を見せ付けられ、「こりゃやばいかな」と。
 
それでも終盤は耐えて忍んであと少しだったのですが、武藤さんが書かれているように「試合クローズ」がなっていないのは間違いない。
点を取って勝つ、それは正論ですが、現実を見据えて、チームとしての共通認識を持たないと。
少し前になりますが、名古屋戦でも同じ事が見られましたよね。

「オイオイ、引き分けで良いのだから無理に攻めるなー!」って、少年サッカーでも良くありますよね。
まさに、それを見ているみたい。
プロとして時間稼ぎという『マリーシア』をうまく活用して欲しい、と思うのは当然の事ですよね。

試合中は別にして、試合後は選手をヤジる声がなかったのは嬉しかったし、コールリーダーが
「今日は残念だったけど、来週こそは残留目指して俺たちも頑張るぞー」
というような前向きの発言を(選手にも聞こえるように)していた事は、まさにグッジョブ!

サポがどこまでできるか分からないけれど、サポあってこそのチームだし、チームがあるからこそサポも頑張れる訳で。

最終戦、一丸となって頑張りましょう。
 
Posted by Futoo12 at 2010年11月28日 12:58
残留は堅いと思ってはいますが、
ここ二戦の戦い方はどうなのか?

ベガルタというチームを愛していますが、
手倉森氏のチームを愛してるわけではありません。

成熟に時間がかかりすぎ、突出した個を阻む(ブラジル人を干す)
氏の傾向は、悪くなると打ち手がなくなる
悪循環を秘めています。
(使えない中間管理職にありがちな傾向です)

今は直樹退団のムーブメントもあり
雰囲気を壊すべきではないと考えますが、
氏を擁護することで、裕福ではないチームを
5年先苦しめる結果になるのではと危惧しております。

監督=チームではありませんし、
混同するような論調は、大本営だけで十分だと考えます。

最終戦、おそらく残留が決まって、直樹の退団セレモニーと
その夜まで、感涙に咽ぶ大団円になると思いますが
危機はすぐそこに来ていると思います。

戦時中ではないのですから、明るい未来と唱えるだけでなく、
梁の高齢化、関口の移籍の可能性など、氏のチームの性能は
おそらくここで「頭打ち」と見る必要もあるかと考えます。

弱いチームを応援し続ける層は、仙台に多くないことはご承知の通り。

怖いです。
Posted by 吉田@仙台 at 2010年11月28日 14:36
ベガルタは世界一の悪女です。
最後の最後まで喜びを与えてくれないのですから。
最終戦のチケットは随分前に購入していましたが、まさかここまでJ1残留がずれ込むとは、、、
なんにしても、魂込めて応援するだけですね、サポーターとしては。
千葉の引退セレモニーと合わせて当日は号泣予定です。
Posted by たろうの尻尾 at 2010年11月28日 16:19
週末は聖地でお待ちしておりますね。

最後まで喜怒哀楽させてくれる我がチーム
これだからベガルタ仙台なのです。
これだから、皆がスタジアムに足を運ぶんです。
ただ強いだけではない
ただ弱いだけではない
プロレスの様な愉しさを提供してくれるクラブは日本でベガルタだけです。
さあ、応援しましょう!
Posted by 武平 at 2010年11月29日 15:52
クローズは選手の質というか経験不足だと思うけどなあ。
露骨な時間稼ぎを毎試合やるのは鹿島くらいなものだし
清水だって今節無様に負けたじゃないですか。

監督を責めるより来季にもっと良い選手を与えてあげたいとか
思わないんですかね?武藤さんがサポの代表とは思いませんが
仙台が毎年監督を替えて失敗してもフロントが反省しなかったのは
武藤さんみたいな考えの人が多かったんでしょうね。
Posted by at 2010年11月29日 20:40
毎年監督を代えたのは勝てるチームを作れなかったフロントの責任だが、毎年監督を代えた事が失敗の原因ではないよ
論点のすり替えだね
Posted by at 2010年12月01日 01:08
原因を書け。
Posted by    at 2010年12月01日 03:05
自分は監督続投に賛成です。

ブラジル人でも使い続けて活躍すれば、他チームから引き抜かれるのは同じこと。

第二、第三のリャン・関口を育てあげていくしかベガルタに未来はないけど、今はその代わりがいないから、変えていないだけ。

危機はすぐそこになんて、今さらです。最初から分かっていたことでしょ。うちの営業規模とユース年代の未成熟ぶりでは。

主力選手を繋ぎ止めるには、出場機会の多さと監督の人心掌握術しかなく、J1にしがみつくには監督続投しか選択肢がないと思います。
Posted by at 2010年12月01日 15:05
↑の方に賛成です。
育成と並行して残留していくならなおさら今のコンセプトを継続すべきでしょ。
カップ戦のタイトルをまず目指すという手もある。
吉田仙台君の極端で好き嫌い優先の考えの方が、仙台にとって危機ではないかと。
Posted by Beep at 2010年12月01日 22:48
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