2010年11月28日

ガンバとアントラーズ

 Jもとうとうあと1節を残すのみ。最後の1節まで、たっぷりと堪能させてくれる愛する女に悩まされながらも、愉しかった1年を反芻する日々となってきた。
 今日はグランパスが早々に独走優勝を決めてしまった最大要因、ガンバとアントラーズの苦戦について、講釈を垂れる事にする。もちろん、他にも優勝を争う戦闘能力を持つクラブはいくつかあった。しかし、直近の実績から考えてグランパスに最も対抗し得る可能性を持っていたのが、Jリーグ、天皇杯それぞれを連覇してきたこの2クラブだった事を否定する人は少ないだろう。

 この両クラブの苦戦要因は、一言で済ませてしまえば「中核選手の高年齢化」と言う事になってしまう(まあ、そう言ってしまうと身も蓋もないのだけれど)。
 両軍とも、いわゆるシドニー五輪世代が、チームの中核を担っている。アントラーズは曽ヶ端、小笠原、中田浩二、本山、ガンバは遠藤、明神、加地、山口、ス!もちろん、新井場、橋本、二川と言ったあたりも同世代だ。
 そして、全員30を過ぎた彼らにとって、ACLや代表戦の異様日程を含み、まともにオフさえ取れない状況は、相当厳しいものだったはずだ。彼らが「衰えた」とは思わない。皆が厳しい節制を行い、豊富な経験を活かす味のある選手に成長してくれている。遠藤などは、南アフリカで過去なかった水準のプレイを見せてくれたのだし。しかし、これだけの年齢となると、負傷なり体調維持の問題で、どうしてもフル出場は難しくなってくるものなのだ。あるいはフル出場できても、夏場の連戦などの狂的日程下にあっては力が発揮しづらい事もあっただろう。そして、ここまで中軸に、30過ぎの選手が並んでしまうと、どうしてもそのようなコンディショニング面の問題が、リーグ戦を勝ち抜く上での障害となってしまったのだと思う。
 いずれのクラブも、相応にベストの布陣が組めれば、額面通りの戦闘能力を発揮する事はできていた。たとえば、長期離脱していた本山、ルーカスが復帰した時の好ゲームがその典型と言えよう。昨期にしても、終盤中田浩二が完全に定着した以降のアントラーズの安定感、天皇杯終盤で上記ベテラン達がそろい踏みした時のガンバの溜め息が出るようなパスワーク(ベガルタサポータとして準決勝でこのパスワークに蹂躙される快感を味わえた幸運で一層印象深いのだけれども)など、忘れ難いものがあった。

 もちろん、両クラブとも戦略的な対応に長けているだけに、今期もしっかりと補強を行い、さらには上記のベテランスタア選手の後継者達をレンタルに出し将来に備えていた。けれども、僅かに時間軸がずれていた。後継者達を「外部で」鍛えている今シーズン、上記のスタア達が微妙に「すり減った」事によりフル出場が叶わず、結果的に勝ち点積み上げに失敗して、グランパス独走を許してしまったと言う事ではなかろうか。要は僅かながら若返りが遅れてしまったのだ。
 一方で、高々今期のリーグタイトル争いで、グランパスに独走を許した事だけで、「若返り遅れ」と否定的に論じるのもいかがとは思う。実際問題、昨期までアントラーズはJリーグを3連覇、ガンバは天皇杯を2連覇し一昨期はアジアチャンピオンだったのだ。そして両クラブとも、まだ天皇杯を残しているし、現時点ではACL出場権獲得の可能性も高い。彼らの今期は「大成功」とは言えないかもしれないが、「失敗」と断じる事もまだできないのだ。
 そして両軍とも、戦略的に優秀な中堅選手をレンタル育成し、優秀な若手選手を多数抱えているのだから(あるいは獲得が明確になっているのだから)、来期以降も十分な戦闘能力を確保する事は間違いないだろう。そう言う意味では、過去見事なチーム作りの実績を残して来たオリヴェイラ氏、西野氏が、いかに老獪なベテラン選手と、一連の中堅、若手選手を組み合わせて、新たに強力なチームを作って来るのかと言う興味も尽きない。
 うまい日本語にならなくてもどかしいのだが、このような「チーム作りの流れ」を見ながらリーグ戦を堪能するのは、大いなる愉しみだと改めて思う。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(9) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
成績だけをみているとアントラーズとガンバは引き分けが多い。
グランパスは、中位や下位に対して、しっかり勝ちきることができた。
ここが大きな差だと思います。(なんせグランパスは引き分け3ですからね。)

勝ちきるということは非常に重要なことですが、
クラブの戦力にはそんなに差はなかったと思うので
逆に言えば、それができたか、できなかったか
のちがいだけのような気もします。
(とは言ってもそれは大きなちがいですけどね。)

勝ちきることができた要因…
高さのあるケネディやアタッカー陣が
しっかり力の差を見せつけることができたから。
トゥーリオ、楢崎等気持ちのある守備陣がいたから。
色々考えられると思いますね。
(多分、ケネディとトゥーリオがいなかったら
グランパスの状況はだいぶ変わったかも…)

アントラーズやガンバはおっしゃるとおり、
ACLや代表戦等の日程が過密だったこと。
若手選手の伸びとちょっと時期がずれてしまったこと。
こういったことが勝ち切れなかった、
優勝に至らなかった要因という感じがしますね。

アントラーズ、ガンバはクラブとしては非常に安定していると思いますが
ACLもありますし、グランパスはここからクラブとしての真価が問われるのではないかと思います。
Posted by kuma at 2010年11月29日 02:20
ちなみに…
グランパスはACL出たことないのかと
誤解してましたが、出場経験はありますね。

今年のACLは面白かったですが
日本のチームじゃないとちょっと寂しい。
アントラーズ、ガンバ、グランパスと
日本の代表として頑張ってほしいものです。
Posted by kuma at 2010年11月29日 02:46
両クラブとも若手が育たなかったら補強してるので
大きく崩れることはないけれど、サブが薄いですね。
どちらも高卒をメインに獲ってますが即戦力には
ならないので、スタメンの調子の上下に弱いのかも。
Posted by at 2010年11月29日 20:20
アントラーズ
'09 勝ち点66 得点51失点30 → '10 勝ち点59 得点50失点30(残り1試合)

ガンバ
'09 勝ち点60 得点62失点44 → '10 勝ち点59 得点62失点44(残り1試合)


順位は相対的なものですから、この2チームがというよりグランパスが伸びたということでしょうね。
まあグランパスは08年リーグ3位、09年ACLベスト4と、どちらかのステージでは
実は最高峰に迫る成績を挙げていたので順当といえば順当なのかも知れないけれど。

気になるのは、アントラーズやガンバと共にJ3強の一角を占めていたフロンターレ・・・。
Posted by at 2010年11月29日 21:59
>どちらも高卒をメインに獲ってますが即戦力には
ならないので、スタメンの調子の上下に弱いのかも。

知らないことを書こうとすると恥じかくからヤメときな
Posted by at 2010年11月30日 14:34
>知らないことを〜

からんでくんな、気持ち悪いから。
たまに取る大卒が全然役に立ってないだろ。
Posted by    at 2010年12月01日 03:02
アントラーズ・岩政(東京学芸大学)
ガンバ・武井(流通経済大学)
たまにしか取らないはずの大卒が普通に戦力化していますが・・・。

サブが薄いのは武藤さんがおっしゃるように「後継者達をレンタルに出し」てるからだね。
去年レンタル今年復帰ならちょうど良かったが「僅かに時間軸がずれていた」。
Posted by 恥の上塗り at 2010年12月01日 10:08
武藤さん、こんにちは。
関西では本日発売のエルゴラッソにガンバ大阪遠藤選手の素晴らしいインタビューが掲載されていました。
関東版にも載ってるのでしょうか?

ただのお知らせでした。
少々話題違いで申し訳ありませんでした。
Posted by とおりすがりのサッカーファン at 2010年12月02日 17:47
恥の上塗りはお前だ。
無知すぎて話にならない。
今年だけの話じゃないし。
Posted by at 2010年12月03日 11:59
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