2011年01月28日

アジアカップ決勝2011を前に

 決勝戦前夜と言うのは何とも言えない高調感がある。
 過去幾度も語った事があるが、「今後、再びアジアのベスト2に残れる日が来るだろうか、アジア屈指の強豪のサウジに勝てるだろうか」と、友人と語り合ったのは、92年広島で行われたアジアカップ決勝前夜。僅か18年前の事。全ては変った。我々はアジアで優勝する事が当然と信じている。そして、それを当然として、ありとあらゆる七難八苦を乗り越える「精神力」を持つ選手を獲得している。
 そう、何があっても勝利以外は考えられない幸せな前夜なのだ。もちろん、試合後はもっと大きな歓喜に飲んだくれるのだが。そして、ついつい生きているうちに、ワールドカップでも同じような思いを抱けるのではないかと錯覚するのがまた愉しい。

 散々愚痴を垂れているが、ワールドカップから僅か半年で行われるアジアカップ。当方は、中核選手を除いてはかなり大胆に若返ったメンバを連れてきた。一方の豪州は、従来のメンバを並べて来た。まあ、豪州協会のコンセプトと言うよりは、オジェク氏の嗜好だろうな。
 試合そのものは、わかりやすい展開になるだろう。両国とも丹念なビルドアップで攻め込もうとする。
 ただし、豪州のビルドアップの目的は、日本ゴールにできるだけ近い所までボールを運ぶ事まで。最後の突破までは考えず、セットプレイの獲得を狙う。あるいは、それほど深くない場所でもクロスを上げられるならば上げてくる。中盤で変化をつけるタレントの不在もあるが、高さ強さに自信があるから、最後は基本的には放り込むか、当ててくるかと言う事になる。ここ最近の豪州戦、ドイツワールドカップでの失点はチームとしての組織機能不全によるものだったが、以降のアジアカップ、ワールドカップ予選の失点はいずれもセットプレイから。上記の高さ、強さへの対処を誤り、ケーヒル、アロイージに突かれたものだ。さらに悪い事に、韓国戦ではCBとGKの連携がやや怪しかった故に、豪州はますます力攻めを狙ってくるに違いない。最終ラインの奮闘は当然だが、まずは中盤から簡単に精度あるボールを入れさせない几帳面な組織守備が鍵になる。
 一方我々のビルドアップは点を取るのが目的。それが故に、どうしても最後ギリギリを狙うから、相当な運動量と連携が必要。そして、ここまでの5試合で、運動量も確保され、連動も充実してきた。中でも、岡崎の動き出しと瞬発力は、ニールやオグネノフスキには悪夢としか言いようがないだろう。彼らはイラクやウズベクのFWにも難儀していたのだ。これで香川もいれば...言っても詮無き事だな。確かに豪州の最終ラインはGKを含めて強いが、老齢化も進んでおり、スピードに難がある。間違いなく崩す事はできるだろう。特に期待したいのは内田だ。今大会も随分とその期待を裏切れて来ているが、朴智星に苦戦し李榮杓にやられたのは許すが、カーニーやマッカイくらいならば完勝しなければいけない。長友と内田の両翼が機能すれば、おもしろいように崩せるはずだ。

 香川離脱で誰を起用するか。細貝を中盤に入れて後方を厚くする、柏木を入れて中盤を組み分ける、藤本をそのまま香川の位置に入れる(左利きながら右サイドが得意の藤本を右に回し、岡崎を左に入れる事を含め)など、色々な方策が考えられる。個人的には、細貝をスタメンで起用し交通事故のリスクを最小にするのが、ベストと思うが、ザッケローニ氏はどう判断するか。誰を起用して、どのようなやり方をしたとしても、重要な事は丁寧に素早いパスをつないで豪州の足下を狙う事、ボールを奪われた直後の切り替えの早さを90分間(120分間になるやもしれないが)維持し続ける事につきる。そうすれば、そうはやられない。韓国戦にしても、危うい場面が多々あったが、今野を軸に丹念に守り切っていたのだ。主審の異様なPK判定がなければ、90分では日本が勝っていた。本田拓也のナニがなければ120分でも日本は勝っていたのだ。
 残念ながら日本は、元々この大会に向けた調整ができなかった事、準決勝がPK戦まで行ってしまった疲労などマイナス面も少なくない。一方で豪州は、年齢的にも明らかにピークを過ぎた選手が多く、攻撃に変化が乏しく(ケーヒルとキューエルを軽視する気はさらさらないが、彼らとて往時の運動量はない)、さらにアジアタイトルへの渇望と言う意味でも日本より劣っていると見る。
カタールで戦ってみて、ピッチも環境も素晴らしいところだと思った。2022年は11年後なので、選手として戻ってきたい。
 そして、我々にはこのような主将もいる。優勝するのは我々である。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(9) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
普段菅井レベルの選手しか見ていないかのだら仕方ないが、もう少しサイドバックの見方を学ぶか、もしくはわからないなら黙っていたらどうだ。相手はチャンピオンズリーグ16強の不動のレギュラーだぞ。
Posted by at 2011年01月29日 15:05
長谷部のコメントは本当に泣ける。

いいキャプテンをもてた(になった)ものだ。

彼がトロフィーを掲げる姿を思い浮かべただけで涙が溢れそうだよ。
Posted by ラスタマン at 2011年01月29日 15:10
素晴らしいキャプテンに率いられた、
素晴らしい日本代表を持てることが
こんなにも幸せなことだとは。

そして、この講釈を呼んで、
いつも以上にわくわくさせて頂きました。

勝利を願って、ひたすら祈るのみです。

>ラスタマンさま

自分も、彼がトロフィーを掲げる姿を思い浮かべただけで
涙が出そうになります。我々は本当に幸せ者ですね。
Posted by 通りすがりのサッカーファン at 2011年01月29日 15:48
カーニーは今プレミアのブラックプールだけど?
Posted by at 2011年01月29日 16:15
わけあって、
今晩の放送見ることができません。
どうかたっぷりと講釈を垂れて下さい。
ここを覗きに来ることが、
日本アジアカップ優勝後
わたしが最初に遂行する
サッカーに関する行為となるでしょう。
Posted by ジョルジュ at 2011年01月29日 22:48
>もう少しサイドバックの見方を学ぶか、もしくはわからないなら黙っていたらどうだ。

出直してきたほうがイイとオレは思うなwww
Posted by at 2011年01月29日 23:36
今大会の一般の盛り上がりは正直想像してなかったです。
生中継の時間帯が良かったのかもしれません。

今日はこれで仕事を切り上げて、ビール飲みながら観戦します。
Posted by あら at 2011年01月29日 23:48
いや〜〜良かった、良かった。
本当におめでとう。
本当にありがとう。

すばらしかったと思いつつ、ちょっとケチをつけると。

李さん、良かったですね。でもまだあの時間からの出場でしかないのですから、これから精進してください。
前田さんは好きな選手なのだけど、でももう少しプレーの幅を広げるか、周りに自分を活かさせるほどに存在感を持ってほしいですね。
岡崎さん、どうしちゃったの。こんなに頼もしくなっちゃって。なんだかたどたどしかったあの頃から見違えるように成長して。貴方が活きる相方に巡り会えすことを願っています。
本田さん、名波さんほどではないですが、頑張りましたね。ですが確かに守備にも攻撃にも活躍したとは思いますし、チームに徹したというならそうなのかもしれませんが、さりとてまだ物足りなさを感じます。本当にチームの屋台骨としての安定感を出していかないと、3年の間に次の誰かに抜かれそうな気もします。ロシアに縛られるうちに少々巡り合わせに狂いが生じているのか。俊介さんのように浮かないためにも早めに移籍が決まって、チームで活躍できるようになればいいのですが。
藤本さん、今日いましたっけ?。そんな風に思われてしまう今日の貴方。貴方は海外に出て厳しい環境で少々メンタルを磨いた方がいいかもしれません。何が出来る人なのかはその後なのかもしれません。
今野さんはCBでは可哀想な気がする。さりとて遠藤や長谷部に変るとは思えないのがつらい。どうしても長谷部が足を吊った時にここで今野に返ると安定する、とか思ってしまう。
長谷部さんはいいキャプテンになりましたね。本当にキャプテンな感じ。
遠藤さんやはりたいした人だと思います。ただやはり3年後には難しいと思ってしまうので、この後を次ぐ人材の発掘、育成が急務かと。
内田さんは何かたより無い感じで、しかもあのしレットした感じがなんともはや。でもドイツで3年もまれて変ることができればもしかしたら。
長友さん、よくもまぁあんなに・・・。後ろが安定すると、この人はもっと活躍するのでしょうね。あと10センチ・・・。いえでも体力が続く限りはリスクを分かった上でも期待しちゃいます。
吉田さんはまだまだこれからなのかもしれませんが、何となく頭の良さやセンスを感じられない。体だけでなく頭を磨いてほしい。
岩政さんも朴訥な感じは好きですが、それだけではちょっと辛い。強いだけでは事故の元。やはり巧いも追い求めてほしい。
川島さん、貴方のような人、好きです。ただもう少し安心感が欲しいですね。もっともこれは後ろの人たちとの関係をつくっていけばということなのかもしれませんが。

余談。
セルジオさん。要所要所的を射ていて好き。
名波さん、さすがに見えている物が確かな感じのこめんと。すばらしい。
松木さん。基本的にはちょっとサッカーが詳しいイパンサポーターと見るようには思っているのですが。それでも藤本に替えて岩まさを入れたときの反応が・・・。私でさえ10人でサッカーしてるような感じだったので、藤本だろうと思ったほどなのに、ポジションの枠にとらわれて・・・。ベルディーって当時はよっぽど選手が良かったのですね。まぁ私も左に入れて長友を前にだすとは思わなく、遠藤や長谷部を出やすくするのかと思っていたのですが。なるほどザックさんすばらしい。
今日の試合は李の交代以上に、あの交代が鍵だったと思います。

でもサッカーは不思議。
あんなに低迷していた代表を応援する雰囲気が監督が変って一変。
監督がかっこいいからなのか、選手に魅力的なタレントが出てきたからなのか。

私はザッケローニという監督は好き。
少なくとも采配や選手の交代にもなるほどと思える思考を感じられるから。
自身が自身を頑に信じようとする意識を感じられるから。

本当に気持ちのよい大会でした。

次は南米で・・・・悔しい思いも味わった方がいいのかなぁ。
Posted by クマパパ at 2011年01月30日 13:31
2022年には、戻ってくるだけでなく、再び優勝したりして、などと考えるのはあまりにも早計でしょうか。
Posted by KN at 2011年01月30日 19:43
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