2011年02月04日

今野の定位置確保

 実は本業都合で、月曜晩から昨晩まで異国に滞在、今朝帰国した。異国でも、ホテルのテレビで、海外向けのNHKもアルジャジーラを見る事ができる。毎朝、現地版の日経新聞が部屋に届く。そしてインタネット。長友の大出世、エジプトの争乱、かつてのJSLの名門とアントラーズの親会社の合併、混迷する相撲界(もっとも、皆がわかっていた事が明らかになってしまっただけなのだが)、など様々なニュースを遅滞無く知る事ができるのだから、すごい時代になったものだと思う。
 考えてみれば、アジアカップを制覇してまだ1週間も経っていない。自分が異国をウロウロしていた事もあり、随分と昔の事のように思えたりするのだが、まだ語り足りないことが無数にある。一方で、アジアカップにかまけていた事もあり、他にも講釈を垂れたい事も随分とたまってしまった。ベガルタの新戦力、多くの選手の海外流出、昨期のJについても...(そう言い出すと、昨年のワールドカップに関してだって、まだ幾らでも講釈を垂れたい事はあるのだが)
 ともあれ、時機を逸した感もあるが、もう少しアジアカップについて語っていきたい。

 で、今日のお題は今野泰幸。このアジアカップは、我が故郷出身のこの選手が、はじめて代表で定位置を確保し活躍した大会だったのだ。
 東北高校卒業時にベガルタが獲得を見送り、当時コンサドーレの監督だった岡田氏に拾われたのはよく知られた話だ。以降はトントン拍子で偉くなって行った事で、ベガルタのフロントを揶揄する向きも多い。もっとも私は、今野は高校選手権でベスト8に自チームを導く戦いを通じて大化けした事もあり、若手選手の将来性を見抜く事の難しさを示す典型的なエピソードだと捉えているのだが。
 コンサドーレで活躍する今野は、アルゼンチンワールドユースこそ負傷で棒に振ったが、UAEワールドユースでは主将を務める(1/16ファイナルで韓国と世界レベルの大会で公式戦を戦い、打ち破ったと言う意味で貴重な大会だった)。その後、FC東京に移籍しすぐに中心選手となった今野は五輪代表に当然のように選考される。監督の優柔不断で惨敗したアテネ五輪だったが中軸を担った今野のプレイは見事だった。そいて、翌年、A代表にも選考される。
 しかし、独自の序列方式を採用するジーコ氏の下では、海外選手不在時の穴埋め要員としてしか使われず。オシム爺さん就任後は、最初のメンバ選考(わずか10人ちょっとしか選ばない、あの爺さん方式の最初)でメンバ入りし、当然チームの中核を担うと思われた。しかし、最初のトリニダードトバコ戦を負傷で辞退、代わりに起用された鈴木啓太が完全に爺さんの信頼を得た事もあり、定位置確保には至らず。3DF時の右DFで定着しかけたが、一時代表を辞退していた中澤の復活と共に、爺さんが4DFに切り換えたため、再び控えに。
 かつてコンサドーレで今野を抜擢した岡田氏が監督に就任した時は、いよいよ定位置確保かと期待された。しかし、岡田氏は遠藤を本来のボランチに戻し、代表では確固とした実績がなかった長谷部を抜擢。結果的に今野はまた後方選手のバックアップとなってしまった。しかし、南アフリカ直前、調子を落とした内田の代わりに右サイドバックに定着、とうとう南アフリカは今野の活躍が見られるかと思われたが、直前のコートジボワール戦で負傷。南アフリカでも僅かの出場にとどまった。

 そして、今大会。中澤と闘莉王の負傷離脱もあり、今野は最終ラインの中核として起用された。ペアを組んだ吉田あるいは岩政が少々怪しいプレイ振りだった事もあり、八面六臂の大活躍。決勝後半のザッケローニ氏采配も、ある意味で今野のすばらしさを示すものだった。CBとしての今野の唯一の欠点は高さの不足(昨年のワールドカップ直後のJで、終了間際に闘莉王にやられたのは、その唯一の欠点を突かれたものだった)。豪州戦は、それで苦戦していたのだが、逆に敵がそう来るならば岩政に真ん中を固めてもらい、今野は違う仕事をすればよい(もちろん、オジェク氏が日本の修正後、別な仕掛けをしてくれば、また日本は修正が必要になったろうが、そうなればそうなったで、今野の多様性が重要となった事だろう)。また、あの後半の頭まで、今野がキューエルとケーヒルの高さに必死に対抗してくれたからこそ、あの采配が活きたのだ。

 20歳そこそこの頃、今野は当然代表に定着し、日本代表の中心選手になってくれるものだと思い込んでいた。そして、今野は順調に成長し、05年の東アジア選手権で代表に選ばれ、代表試合数はこの決勝の豪州戦で46試合を積み上げた。しかし、代表で定位置を確保するのに、初代表から5年半かかった。そしてようやく定位置をつかんだ今野は、今大会中に誕生日を迎え28歳になっている。
 今後の今野の代表キャリアもわからない。中澤も闘莉王も復活してくるだろう。ブラジルで日本が上位進出するためには、欧州の列強に高さで完全に対抗できるCBが必要で、上記した今野の唯一の欠点が問題になってくる。吉田をはじめ、気鋭のセンタバックの開発が、ザッケローニ氏の最重要課題なのだし。また、サイドバックには大出世した長友と、潜在力を誇る内田がいる(内田が今大会守備で相当機能した事は、日本代表には極めて明るい話題であり、今野には厳しい状況である事を示す)。そして、今野本来のポジションである拾いまくるボランチには、日本の大黒柱であり既に歴史的な主将と言われ始めている長谷部がいる。長谷部は今野より1歳若いのだ。今野のこれからはわからない。
 でも、私は同郷の英雄今野が大好きだし、大いに代表での活躍を期待している。今野も代表で一層の地位確保を狙ってくれるに違いない。

 今野が定位置を確保し、アジアを制覇した大会だったのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今野は能力は高いのですがポジショニングがいまいちなんです。
啓太に負けてしまったのも、その辺が大きかったと思います。
山瀬が代表に定着できなかったのもそれだと見ています。
CBも強いライバルがいるので、安泰とはいきませんし
ヘッドの競り合いも強くありません。
本当はやはり中盤をやって欲しい。

厳しく書いてしまうのも、能力が高くて若い頃から期待していたからです。
FC東京には能力が高いのにおとなしくてイマイチ
潜在能力を引き出せていない選手が多いと思います。
そんな中で自分を高めるのは難しいでしょう。
それができる加地や長友は自分から出ていってしまいました。

今回もミーティングで自発的に発言できなかったようだし
美談になっていますが最後もボランチを拒否してSBをやりました。
性格というのは個々のパーソナリティなのでしょうがないと思いますが
今野がもし長谷部のような激しさを持っていたら
全然違った選手になっていたでしょう。

俊輔がハジのような激しさを持っていたら、というツイートを見て
今野や梶山や平山がそうだったら、と書かずにはいられませんでした。
Posted by at 2011年02月05日 02:56
内田の守備はもっと評価されても良いと
思う一人です。
言及していただいて心強い限りです。

シャルケでレギュラー張ってるのは伊達じゃ
無いのですが、どうも色眼鏡で見る向きが多い
のが残念でなりません。

Posted by 吉田@仙台 at 2011年02月05日 09:21
今野に関してはコンサドーレで3バックのストッパーで仕事を限定しながら出場機会を得られたのが大きかったですね。あのころのベガルタでは出場機会を与えてる余裕はなかったですし。むしろこの件は選手側にもちゃんと自分にあったチームを選べという事例な気がします。だけどこれからJ2でやっていってどうなるんでしょうね。
Posted by たわし at 2011年02月05日 14:59
「今野は本来は中盤の選手」とよく言われますが、決勝でボランチ起用を
「ムリ!」と言って断ったあたり、本人の認識ではもう完全にディフェンス
の選手なんですね。なんか面白い

性格の話でいうと、阿部なんかもそうですねー
Posted by at 2011年02月05日 18:11
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック