2011年03月09日

小野伸二と高原直泰

 J開幕戦。エスパルス柏スタジアムで、0−3とレイソルに惨敗。
 今期のエスパルスは、かなりのメンバが変っただけに、序盤戦相当苦しい戦いになる事はある程度は予想されていた。大差で負けた事自体は、後半半ばまでにセットプレイで2点差にされてしまった事もあるので、仕方がない部分もあった。
 ゴトビ氏も経験豊富な監督だし、大前の精力的なプレイや、太田の大胆な攻め上がりなど、よい要素も、いくつかあり、今後修正を重ねれば、例年通りよいチームに仕上がって行く可能性は十分あると思う。特にレイソルに守備の修正をされるまでの、前半の大前の激しく変幻自在な単独突破は魅力的。この動きが常時できれば、五輪代表の有力な定位置候補になりそうな勢いを感じさせてくれた。

 それはそれとして。
 過日私は、このクラブが小野伸二を主将として、さらに彼の同期生(もっとも小野は清水商、高原は清水東だが)の高原直泰を副主将にするような人事に否定的な予想をした。ここでのベテラン依存は、時計を巻き戻すような発想なので、不適切なのではないかと考えたからだ。しかし、私は間違えていた。レイソル戦を見た限り、このクラブの、この2人への過剰な期待は、時計を巻き戻す的な問題にとどまらず、このクラブにとって致命的な痛手になるように思えたからだ。

 若い頃の小野伸二、つまり98年シーズンにレッズでデビューし、一気にフランスワールドカップ代表まで駆け上がった頃。あるいはフェイエノールトに所属し、UEFAカップを制した頃。あるいは2005年や2006年に代表の中核を担っていた頃。たとえばこの試合この試合。その頃の小野は、正にフィールド上の王様だった。もちろん、正確なボール扱いでの着実なキープ、ベルベットパスとまで評されたグラウンダのタイミングの精度の高いラストパスも見事なものだった。しかし、何よりフィールド上のすべてを見通しているのではないかとすら思わせる見事な周囲視野の広さが最高だったのだ。この選手は、この周囲視野の広さを10代の頃から所有すると言う希有の才能を持っていた。
 けれども、その若い頃の才能を見る機会がなくなって久しい。この日のレイソル戦もそうだった。そして、さらに悪い事に、周囲が見えていない状態で味方からのパスを受けるために、レイソルの激しいプレスをまともに受ける事になる。もちろん、小野は見事な技巧を発揮して、何とかしのぐが、結局持ち直すには至らず、「逃げ」のパスを出し、そのパスの受け手が、さらに追いつめられてボールを奪われる事が再三あった。さらに小野は運動量も落ちているため、レイソルボランチへのプレスが甘くなる事も頻繁に見受けられた。

 後半から起用された高原。相変わらず、全くボールを引き出す動きが見られなかった。この選手は、若い頃から好不調の波が極点に激しかった。たとえばこの試合の不振振りは目を覆わされたが、この試合でのすばらしい得点は日本代表史にも残る程だった。しかし、ドイツからの帰国後、レッズでは不調が継続。「いつか戻るだろう」、「いつかかつての切れのあるプレイを見せてくれるだろう」と、期待されていたが、残念。
 昨年、韓国の水原三星でそれなりの活躍をしたと言う事で、今回のエスパルス入りにより、かつての鋭さを取り戻す事を期待されていたのだが。少なくとも初戦を見た限りでは、レッズ時代と同様に、動き出しが遅く、ほとんどボールを引き出す動きができなかった。さらに不運な事に守備に回っていた際に、クロスに他選手がかぶったのだろう、ボールを見失って敵にプレゼントボール、決定的な2点目のを誘因してしまった。

 小野と高原の共存を期待するのは、非常に危険に思うのだ。
 昨期のエスパルスのように、岡崎や本田拓也と言った質量ともに優れた運動量を誇る選手の横でアクセントをつける仕事ならば、現状の小野は最適だと思う。しかし現状の小野に、中盤のイニシアチブを取り、全軍を指揮する事を期待するのは、いかがかと思うのだ。
 昨期のエスパルスのように、市川、太田からよいクロスが上がり、ヨンセンがゴール前を制し、岡崎が幾度もゴール前に飛び出し好機を演出する。そのようなチームの中で、老獪に得点を狙う仕事ならば、現状の高原は最適かもしれない。しかし現状の高原に、最前線で幾度もボールを引き出し、攻撃の最前線となる事を期待するのは、いかがかと思うのだ。
 そして、小野と高原の組み合わせは、大変残念ながら、相互のよさを引き出すのではなく、相互の悪さを目立たせる事になってしまうのではないかと危惧するものである。

 私はこのまま2人には終わって欲しくない。「ごめんなさい、私の間違いでした」と謝罪して、ゴトビ氏に「恐れ入りました」と語る日が来るのを期待する。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(12) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>私はこのまま2人には終わって欲しくない。「ごめんなさい、私の間違いでした」と謝罪して、ゴトビ氏に「恐れ入りました」と語る日が来るのを期待する。

自分で好き勝手に予言し、的中すれば「どうだ、オレ様の見識は」とふんぞり返り、そしてたとえその予言が外れたとしても、まあこの人の奥底には、フットボールに対する深い愛情が感じられるから許してあげよう、と廻りに思ってもらうことを始めから狙っている、この「自分が間違えていることを自分から期待する」とかいう卑怯極まりないこのやり口。

どっちに転んでも一切の被害はないリスクヘッジを駆使する自分はさぞかし気が利いていて賢く思え、そんな自分に常日頃から惚れ惚れしているんだろうが、こっちは30年も前から散々目の当たりにしてきたこの姑息な言い回しに今更ながら本当にウンザリしている。
Posted by 真の名監督4.5枠 at 2011年03月10日 08:52
 こんにちは。清水エスパルスへの愛情は誰にも負けないと自負するものです。いつもブログを拝見させていただいております。

 柏戦に関しては、こっちとあっちの助っ人外国人の出来具合の差が大きかったなという思いもあります。

 昨年と今年の違いについては、ゲームをコントロールする選手、パスの出し手となる選手。昨年は、兵働、藤本、本田といましたが、今年は小野先生だけ。先日の柏戦でも、小野先生には2,3人必ず相手のプレッシャーがありましたよね。

 今の戦力で言えば、杉山浩太、小林大悟がその役を担えるのかなと思いつつも、どちらも怪我で長期離脱中。前途は多難でございます。

 プレッシャーが薄まるボランチで小野先生を起用したらどうかという気もしました。

 が、今回は岩下、枝村を起用しましたが、枝村のボランチ起用での特徴は、ステルス的な飛び出し。06年はそれで得点を量産しました。しかしそれは、相方にバランサーとして右に出るものはいない(と清水ファンは思っている)テルさんがいたからこそ。

 岩下は守備力も足元の技術もあるので、熟成すれば形になるのかもしれませんが、何せ慣れないポジションでバタバタし過ぎています。そもそもゴトビ監督は、枝村にあまり攻め上がるなということと、バランサーとしての役割を求めているようです。PSMの横浜戦では、それで素晴らしい働きを見せてくれたのですが。

 そうなると、小野先生をボランチにした場合、相方はどうなるのか?うーむ。本田の移籍、引いてはテルさんの流出が悔やまれます。フロントめ。

 次節、ボスナーが出場停止のため、そこに岩下を入れるのか、ボランチのまま起用するのか、監督がリアリストなのかロマンチストなのかの目安になりそうで楽しみです。

 武藤さんの今回の記事、イチ清水ファンとして、全く異論はございません。ただ、清水サポーターは、地元スター選手の加入、そのピッチ上での共存は心情的に歓迎しつつ、戦力として大いに期待しています!!という方は、あまり多くないようですよ。

 他人さまのコメントに長々と書きこんでしまい申し訳ありません。武藤さんに清水について触れていただいことが嬉しくて。
Posted by ビバエスパルス at 2011年03月10日 09:13
キャプテン、副キャプテンの人事と、選手個人の出来と何のつながりがあるのでしょうか。致命的な痛手、と、まで書いているのですからキャプテン論とかを展開するのかと思ったら単なるテレビ座敷の感想でしたね。
Posted by 変なの at 2011年03月10日 11:32
ニセの名監督とかってやつ、うんざりしてんなら読むなっつの。
いちいちいやみなコメントまで入れて、バカじゃねーの。
いいかげんキモ過ぎ。
Posted by at 2011年03月11日 02:47
>真の名監督

自分で好き勝手に人様のブログを読み、くだらないイチャモンをつけて「どうだ、オレ様の突っ込みは」とふんぞり返り、そしてたとえそのくだらない突っ込みを逆に突っ込み返されても、まあこの人の奥底には、フットボールに対する愛情さえもないから無視してあげよう、と廻りに思ってもらうことを始めから狙っている、この「自分が間違えていることを自分から期待する」とかいう卑怯極まりないこのやり口。

どっちに転んでも一切の被害はないリスクヘッジを駆使する自分はさぞかし気が利いていて賢く思え、そんな自分に常日頃から惚れ惚れしているんだろうが、あなた以外の全員は何年も前から散々目の当たりにしてきたこのアホらしい言い回しに今更ながら本当にウンザリしている。
Posted by 偽名監督 at 2011年03月11日 06:37
>偽名監督

正真正銘のバカ(爆笑)

相手の言い草を逆手にとって、パロディで切り返す手法は、ビシッと決まればそれはそれは痛快で機智に富んだ、イギリス人も真っ青の高度なユーモア感覚となるけど、このバカみたいに全く成立していない低能な切り返しはここ30年の間で初めてみた。
Posted by 真の名監督FIFAは中国をあきらめた4.5枠 at 2011年03月11日 08:27
>真の名監督

バカはどちらか皆に判断してもらおう(失笑)

自分への批判を根拠もなくバカと断定する手法は、自己満足と言う観点だけからみたら痛快でストレートな、金正日や中国共産党も真っ青なやりかたとなるけど、このアホらしいほど全く成立していない愉快な切り返しは、ここ数年あなたの書き込みにいつも見られることだね。
Posted by 偽名監督 at 2011年03月11日 12:08
>真の名監督FIFAは中国をあきらめた4.5枠 at 2011年03月11日 08:27

顔真っ赤にして即レスか。
くやしいのうw
Posted by 774 at 2011年03月11日 13:36

例えば「公開討論会」であったり
広く配布や販売されているメディアへの反論であれば
内容がどれだけ支離滅裂で自己中心的な戯言であっても
発言すること自体を咎められることはないだろうが
この基地外は、仲間内が集まって意見交換をしている場へ
わざわざ自分から入ってきて
「今更ながら本当にウンザリしている」とおっしゃっている。

ガキのころにいたでしょう?
我侭で手前勝手なるが故に仲間に加えてもらえず
「お前らみたいなバカと遊べるか」捨台詞を吐いて去り
それでも遊んでもらいたいから戻ってきても
遊んでる仲間の輪を遠巻きにしているだけで
反省することも、まして謝ることもできず
しまいには、仲間に石を投げるてしまい
墓穴を掘っていくバカガキが。

それでもガキのころは注意してくれる人がいるでしょうが
バカガキがそのまま成人してしまうと
大人同士の付き合いでは、直接相手を諌める人はまずいなく
どれだけ手前勝手な奴と話すことになっても
その場はニッコリ笑いながらスルーして
次からは絶対そいつとは話さない様にするだけなんで
当人は何ら気づくことなくスクスクと年齢を重ね
結果として周囲に親しい人はいないという状況になるんですね。

それでも当人は「誰も俺の考えを分かってくれない」と
自己を省みることなく、世の中を呪って生きていく。

自分の戯言を撒き散らすために
「今更ながら本当にウンザリしている」はずの
他人のブログをわざわざ見に来ているということを
(それも、たぶん毎日の様に見に来ているんじゃないだろうか?)
想像してみると、可哀想にも思えてきます。
Posted by ZICO at 2011年03月11日 13:56
武藤さんの判断で自由にコメントを削除する、となったはずです。でも今までコメントが削除された記憶がありません。

例の人をアクセス禁止にするなり、コメを削除するなりお願いします。ホントにコメ欄が荒れ放題になってしまいます。
(放置すると、不愉快なコメですし)

Posted by ロビン at 2011年03月12日 00:11

とにかく、ご無事で何より。

【 小野伸二と高原直泰 】

『 周囲が見えていない状態で 』 というお言葉だけど、『 周囲を見る余裕すらないダメダメ状態で 』 としたほうが、より正しいように思える。
それほど小野のプレイに寂しさを感じた。
無論、それは小野ひとりの責任ではないし、スペースを作ろうとする動きに欠けていたのは全員の所業のように思える。
誰かが動き出すことでマークをずらし、あるいはディフェンダーを引き連れて移動することによって走り込むスペースを作るというプレイの連続によって連動する生きたサッカーをやるにはチームがバルサじゃないんだから端から無理とあきらめているなら日本のサッカーレベルは永遠に変わらないのではあるまいか。それは何もエスパルスだけが抱えた問題ではないし、欧州に巣立った本田・香川・長友・岡崎・etc.etc.な面々にもまったくもって当てはまる、と個人的になら感じるのだけど。ともあれ、プレイヤーとしての小野は勿論のこと、地に足着かない仲間たちの意識もアイデアも何ら変えることが出来なかったキャプテンとしての小野がよっぽど心配だし問題である、とひと言。
ただし、これだけ盛大に初っ端から膿を出せたので、今後は大いにたのしみでもあるけど。

【 ベルマーレの英断 】

正当なツッコミを入れてくださってる御方が既におられるので割愛するけど、あえて付け加えるなら 『 サッカー批評50 』 の記事にある通り、ベルマーレというチームの立ち位置として苦肉の正論であろうが、賛同。

【 地震 】

イイトシこいて心拍数は上がりまくるし、正直、ちびりそうになるくらい怖かった。
まだ現在進行形で被害は続いているし、被害に遭われた方々には祈らせていただくことしか出来ないけど、願わくばいま必死に生き延びようとしている皆々様と救わんと尽力してくださっている皆々様と、そして信じてともに祈ってくださっている皆々様に幸多からんことを。

【 蛇足 】

『 踊る阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら踊らな損々 』
『 青取之於藍而青於藍冰水爲之而寒於水 』
『 Fair is foul, and foul is fair. Hover through the fog and filthy air. 』
『 0+0+0=1 』
『 ウナギイヌも歩けば狼の口の中へ 』

さて第29節のブレシア戦で喪章を着けた仲間たちとともにピッチに立った長友であったが、相変わらず飛び出しのタイミングは半テンポ遅いし、アイデアの引出は少ないし、パスの精度もこれまたいつも通りであったが、意地でもひとには負けず、これでもかと突貫しまくり3度のシュートを放ち、走り続けた勇姿に胸が熱く 萌 え た。
どうせ一緒に踊るなら一生懸命が美しい ( と、思う

Posted by かまどう魔 at 2011年03月13日 04:56
武藤文雄ってやつは、サッカー王国・静岡にコンプレックスがあるんだろうw




ベガルタ仙台みたいな地方の小さなクラブを応援している人だからしょうがないが・・・・・・



Posted by ワカチコ at 2011年04月20日 13:53
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック