2011年05月07日

悔しい引き分けだったのは確かだが

 ベガルタは敵地で終盤までリードしながら、94分にセレッソに追いつかれ同点に終わった。大変に悔しく残念な勝ち点2消失劇となった。
 落ち着いて考えれば、敵地で勝ち点1を確保したのだから、勝ち点感情的には上々。開幕から5試合(ホーム2試合、敵地3試合)で3勝2分け、勝ち点11なのだから、勝ち点勘定を考えれば満点近いのだし、不満を言うのは随分と贅沢のはわかっているのだが。
 昨日講釈を垂れたように、セレッソがACLで消耗していて終盤ガス切れするのではないかと期待?していたのだが、どうしてどうして。セレッソも終盤パワープレイで押し込んで来た。それでも、林と曹を軸にしっかりと守っていたのだが。
 ただ、終盤に同点に追いつかれた要因への反省は重要だ。同点になる直前に、関口が見事なドリブルから敵陣前で直接FKを得た。あれを松下が狙ったのはセオリーに完全に反している。あそこは、狙う振りをするのは重要だが(セレッソ選手のほとんどを自陣に下げる意味もあるので)、コーナフラッグ近傍でのキープを選択すべきだった。あそこで、時間稼ぎに入っていれば、同点にされる怖れはほぼゼロだったに違いない。このリアリズムの欠如により同点に追いつかれた事は、この試合の第1の反省点だろう。
 また文句を言っても詮無き事だが、どうしてアディショナルタイムが5分もあったのだろうか。負傷者もいなかったはずだし、大きなトラブルもなかった。89分頃には、あわよくばアディショナルタイムはゼロだったりして、と思って観ていたくらいだったので、正直釈然としないな。

 開始早々にCKから鎌田がすらしたボールを角田がヘディングシュートするがバーを直撃。その後前半半ばは、セレッソに攻勢を取られるも、落ち着いて守備を固めてしのぐ。そして、前半30分、ベガルタは見事な先制。右サイドで高橋義希が落としたボールを角田が前線にフィード、梁が競り勝ってボールを流すと、後方から義希よりも内側を長駆した菅井がそのボールを受けて右サイドをえぐりながらダイレクトでセンタリングを上げる、すると中央を固めていたDFの後方から飛び出した太田が敵DFの鼻先で強引なシュートでボールをねじ込んでくれた。
 以降、ベガルタはセレッソの攻め込みをしのぎながら、逆襲速攻を繰り出す展開となる。J2時代からなのだが、クルピ氏率いるセレッソと、手倉森氏率いるベガルタは、双方のやり方が噛み合い、結果お互いが好機をつかむ展開となって、面白い試合になる傾向があるようだ。セレッソはマルチネスの好展開を起点に、技巧レベルの高い選手達が人数をかけての崩しを狙う。だから、ベガルタが攻撃から守備への切り替えを素早く行って、後方に人数を揃えても破られるリスクも高くなる。一方でセレッソは攻撃に人数をかけているだけに、ベガルタのボールを奪ってからの得意の人数をかけた速攻は、非常に効果的になる。そして、その速攻を能力の高いセレッソCBが防ぐ。こう言った双方の特長が攻撃の長所を発揮しやすいために、セレッソとの試合は双方が好機を頻繁に掴む試合となる(まあ、当方の内容や作戦が極端に悪かった昨年後期の試合などは、サンドバックのように押し込まれ幸運に恵まれての0−0引き分けだったのだが)。
 また、ベガルタGK林も、セレッソGK金鎭鉉も、この対戦相手の試合では、いつも以上にファインプレイを連発するようにも思うが、これは考え過ぎか。

 この日はベガルタの速攻は非常に効果的で、先制以降も中島、梁、太田らが決定機を掴む。が、決められない。中でも、関口の左サイドの突破は、最後角度のないところから金鎭鉉と1対1になりニアを狙いポストに当たって逆サイドに抜けたが、実に見事なものだった。これらのシュートの僅かなズレで、ここで2点差にできなかった事は、この試合の第2の反省点だろう。
 ただし、セレッソも乾のポストに当たるシュートなど決定機をつかむが、次第に後半に入ると疲労からか精度を欠くようになる。すると70分過ぎ、クルピ氏はピンポンパンと乾に代えて、小松と永井龍を起用、上記した通りにパワープレイに来た。そしてベガルタは再三ピンチを向かえる事になるが、゙秉局と林を軸にかろうじてしのぐ時間帯が続いた。手倉森氏も、松下、斉藤を相次いで投入し、流れを変えようとはしたが、最後まで押し込まれたままだった。敵が無理攻めに来ているから危ない場面を作られるのは仕方がない部分もあるが、ちょっとやられ過ぎ。もう少し落ち着いたキープの時間帯を作ったり、敵に攻勢を許さない工夫が必要だったはずで、これはこの試合の第3の反省点だろう。

 まあ、色々愚痴も述べたが、文句を言ったら罰が当たりそうなくらい、順調に勝ち点が積み上がっているのが現状。それを「よし」とすべきなのは、理屈でもわかっている(感情は別と言う事はさておきね)。今日のところは、ベガルタ得意の人数をかけた湧き出す速攻が再三成功直前まで進んだ事、関口がすばらしい切れのドリブルを見せてくれた事など、ポジティブな現況を喜ぶ事とすべきなのだろう。武藤雄樹がベンチ入りした事含めて。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
武藤さん、お疲れさまでした
わがセレッソ大阪は実質的には負け試合でしたが勝ち点を拾いました
ハーフタイムでクルピが勝利への気持ちの差が点差に出ていると言ったそうですがスタンドでも感じました
まあセレッソも真夏のインドネシアから14時間かけて往復した後ですし仙台さんも気持ちが張り詰めている分疲れもあったと思います
的確な分析の通りいつも仙台とは噛み合う試合になります
終了後の岡山のビジョン映像ナイスでしたね
彼には苦労した分を後半の人生で生かして欲しいといつも思います
ツイストっていうんですか?仙台のチャント覚えました(笑)
Posted by ロベルトヤマ at 2011年05月10日 13:03
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