悔しい試合だった。特に残念だったのは、前半。
ベガルタは前節アントラーズ戦の3失点を振り返り、まず前半は守備的に入ろうとしたのだろう。各選手は、不用意な前進を自重していた。それは理解できる策だが、前進の自重のためか、体調が悪いのかは不明だが、パスコースを広げる動きが少ない。結果的にアルディージャに圧倒される展開。特に酷かったのは松下、運動量が少ない事も問題だが、トップ下で、赤嶺と2人で一発で敵を崩すプレイばかりを狙っている。しかし、好調時に一発で敵を崩すカウンタは非常に効果的だっただけに、敵はそれを読み研究しているのだ。松下が特にひどかったが、梁も富田も敵陣突破の最短コースばかりを選択。豊富な活動量で動き回る青木に次々とボールを拾われてしまった。
アルディージャの中盤選手たち、青木と上田と東と藤本の前後左右のバランスがよかったのは確かだ。上田がアンカーの位置に立ち、東と青木(この2人はロンドンを目指す意欲的な若者だ)が精力的にあちらこちらに飛び出す。主将の藤本は、若者達のサポートを受け、嫌らしい位置取りで効果的な動きを見せる。前半を無失点で終える事ができたのは、アルディージャのラファエル、李天秀の2トップの判断が今一歩だったからに思えた。
何とか前半をしのげたのだから、後半当然修正が期待された。菅井が負傷退場した事もあり(鼻骨骨折との事だが...早期回復を祈りたい)、メンバ交代は難しいが、各選手に積極性を吹き込む事ができたはずだ。しかし、ベガルタは前半同様フラフラと試合に入ってしまった。そして、後半立ち上がり、ショートコーナから崩され、敢えなく失点。前半から上田のCKには苦しんできたが、何か工夫ないままやられてしまった。
さすがに先制を許してからは、ベガルタも攻勢をかける。ただ、前半同様、最短距離への選択が多い。アルディージャは、金英權がゴール前を固め、GK北野も守備範囲が広いのだから、アーリークロスでは簡単には崩せない。サイドに人をかけてえぐる、ちょっと溜めてテンポを落とすなど、工夫が必要なはずなのだが。さらに3枚くらい敵陣に飛び込むのは悪くないが、その後方への押し上げがないから、第2波の攻撃ができない。本来であれば富田の仕事なのだが、やや疲労気味なのか。
幾度か好機をつかみかけるも、完全に崩す場面は訪れず、久々にホームでの苦杯となった。
ベガルタの速攻への対策は、エスパルスに今期初黒星を喫したあたりから、完全に各チームに定着している。それにもかかわらず、どうしてああもシンプルな速攻にこだわるのか。テンポを落とす工夫が垣間見えたのは、関口くらい。梁までも、「前へ、前へ」となってしまっては。
レイソル相手に「首位攻防」にふさわしい、「ベガルタ史上最高ではないか」と言う試合を演じ、ロスタイムに酒井宏樹にやられた。ホームにエスパルスを迎え、よい攻撃を見せたが、敵GK碓井(この選手のお父上については、1回書かなければいけないな)の好捕を崩し切れなかった。これだけ充実した試合ができていたのは、ほんの10日前なのだ。
敵がベガルタ独特の速攻への対処を行って来ているのは間違いから、ちょっとそこの裏を突くだけで、随分と楽になると思うのだが。
まあ、敵の出方を気にせず、己の都合のみを考えてしまうのは、手倉森氏がよくやるチョンボ、いかにも氏らしいなあ、とも思うのだが。
だから、フィールドの戦いには、私はそう悲観はしていない。
このアルディージャ戦に限って言えば、選手の選択、交代起用など、疑問は幾多もあった。ただ、手倉森氏はそう言う監督だし「こう言う残念な試合をしてしまう事だってある」と、割り切るべきだろう。手倉森氏は、総合的にチーム作りする能力は見事な実績があるものの、采配でヘマする実績も結構あるのだから。
もう少し、疲弊していない選手を使うなりする、梁の疲労を回復させるなどすれば、勝ち点は戻ってくるはずだ。昨期までとは戦闘能力が違うのだし、連携も一層磨かれている。
しかし、心底心配な事がある。
観客動員だ。夏休みに入って、最初の土曜日のナイトゲーム。それなのに、観客動員は僅かに12,000人。前節のエスパルス戦よりは、やや回復したものの、少な過ぎる事には変わりない。勝った負けたについては、相手もある事だし、一喜一憂そのものはサポータの特権でもあり、仕方がない事でもある。
けれども、ここまで有料入場者数が減った事は、クラブ経営にとっても大問題のはずだ。ベガルタ仙台としては、まずこの問題に取り組むべきではないか。
震災の影響を経済的に酷くかぶった生存世帯の把握が急務だと思います。
命は助かったけど、食べていくだけで精一杯という方は予想以上の規模ではないか、と。
非常事態なので、例えば外国からクラブへの直接の資金援助を特例的に認めるなどの措置を協会側には求めたいです。
世帯への支援は行政や政治の役割ですが、歯がゆいですね。
大宮には悪いけど。