いよいよワールドカップ予選がはじまる。もう愉しみで仕方がない。
自分自身が、実際にワールドカップを愉しんだのは1974年が最初だったから、11回目のワールドカップになるのか。そして、11回目にして、ついに明日は夢のような体験ができる。
敵に自分のクラブの大エースがいるのだ。
たとえ予選でも、こんな素晴らしい経験ができるなんて、若い頃想像した事すらなかった。いったい、梁勇基が赤い服を来て(もしかしたら白かな)入場した時にどんな想いに浸れるのだろうか。梁は一時の不調を脱し、また一回り大きなMFになりつつある。元々、長駆後のシュートやラストパスのうまさは、Jでもトップクラスだった。しかし、特にここ最近の試合では、チームがボールを奪った後に速攻するのか、無理をせずに遅攻するのかの選択が、非常にうまくなっている。繰り返そう、梁勇基はJリーグのトップレベルのMFの1人だ(しかし、悔しいかな最高のMFでない事は言うまでもないが、遠藤と憲剛との差はあまりに大きい)。この我々の英雄が、私の日本代表に立ち塞がるなんて。74年大会あるいは78年大会予選、アンデルテヒトのサポータは一体どう言う想いで、レンセンブリンクを観たのだろうか。
だいたい北朝鮮代表と言う存在は、若い頃の私にとって「ワールドカップ準々決勝進出」という圧倒的な実績で眩しい存在でしかなかった。代表ではないが、74年の平壌4.25の強さと言ったらなかったし。その北朝鮮を原博実の得点で打ち破った85年の歓喜も忘れ難い。この勝利は、日本がワールドカップあるいは五輪の予選で強豪国に本当に久しぶりに勝ったと言う意味でも重要な試合だった。また当時のエースで、89年には返り討ちを食らった際のエースのユン・ジョンスが、今回の監督かと思うと、何とも複雑な想いにとらわれる。
本田圭佑と中村憲剛の離脱は大変残念なニュースだった。長い予選だけに、このような選手の離脱は付き物なのだが、エース格の本田の久々の不在、そのような時のために呼び戻したベテラン憲剛まで負傷と聞くと、ちょっとつらくなる。
しかし、ここは前向きに捉えるべきだろう。実際、遠藤、長谷部、岡崎、本田、香川の5枚は完全固定であり、北朝鮮戦のような公式戦で他の選手を起用しづらかった。それがこの難しい試合で、別な選手を起用する機会に恵まれたのだ。しかも、(何とも不運にも)ベテランの憲剛以外の。
おそらくスタメンには柏木が使われると思う。考えてみれば、アジアカップのサウジ戦、同じく負傷離脱した本田の代わりに起用された柏木は、持ち味の素早いパス回しで勝利に貢献した。今期のJでは、序盤は誉められたできではなかったが、ここに来て調子を取り戻しよいプレイを見せている。そろそろ、代表での地位を確立して欲しいところだ。
もちろん清武にも期待がかかる。先日の日韓戦では、岡崎負傷により突然にチャンスが回って来た訳だが、もう1つ強引さに欠けるところはあったものの、持ち味の冷静さは遺憾なく発揮。2アシストと言う結果を出した。このような若手の勢いは重要だ。
スタメン起用は難しいだろうが、細貝も重要だ。ブンデスリーガでも定位置を掴みつつあるこのタレントは、過去どのようなチームでも起用されれば、必ず期待にこたえてきた。4年前に若くして拡大トヨタカップの準決勝でミランと戦った経験が活きているのかもしれない。また、日本中の少年達に、「PK時にキッカーでない選手は、動き出しを早くして詰めるべし」と言うサッカー常識を身を持って教育した実績もある。細貝の充実は、ブラジルに向けて本当に重要なのだ。
2人の離脱により、代わりに招集されたのがハーフナーと言うのも、何ともおもしろい。オーソドックスな技巧的本格派が不在ならば、飛び道具と言うのは納得できる招集だ。さすがザッケローニ氏。正直言って、彼が起用されるとしたら、よほど日本が困った状態か、大差をつけてシメシメ状態のいずれかだろうが。このような異才がチームにいるのはとても大事なはず。
もう1つ。本田不在は、李忠成の大化けにも重要だと思う。本田がいれば、最前線で本田が持ちこたえる仕事をする事になる。しかし、本田がいない以上は、李が相当な「受け、持ちこたえ」をしなければならない。この状況で、李が北朝鮮のセンタバック相手に、「受け、持ちこたえ」をしっかりしてくれれば、ブラジルに向けてこれほど明るい話題はない。もちろん、点を取るのは当然として。しかも、最大のライバル森本が今回はいないし。
いや、こう言い始めると、動き出しの質のよさと左足の一発を持つ田中順也も、左から自力で崩して点をとる「型」を確率しつつある原口も...となるのですが。
決して北朝鮮をあなどる気持ちはない。しかし、本田と憲剛が離脱したからと言って、オタオタする相手でもないはずだ。遠藤と長谷部を軸に、素早く丁寧にボールを回し、変化を加え続ける。今アジアの中で日本は圧倒的な存在なのだ。そして、我々は2014年ブラジルで、地元国、アルゼンチン、ドイツ、スペイン、オランダ、イタリアと互角以上の戦いをする事を目指しているのだ。今回の予選は、淡々と勝ち点を積み上げながら、そのようなチームになるための準備のために存在している。
まずは初戦だ。私の梁勇基を完璧に止め、完璧な成果を期待したい。そのために、私は日の丸を振り、声のかぎりに私のクラブの大エースにブーイングを送る。
2011年09月02日
この記事へのトラックバック
明日が楽しみですね。
憲剛の離脱は非常に残念ですが、
明日はおそらく出場機会があるだろう柏木に期待します。
ベガサポとしては、リャンの奮闘ぶりにも目が離せません。
ドキドキしますね。幸せです。
親バカならぬサポバカでしょうか?
しびれました。