2011年09月09日

女子代表、やれやれ

 女子代表五輪予選北朝鮮戦だが、本業都合もあり、情報遮断して6時間時差で堪能した。ロスタイムの絶望感をたっぷりと堪能したが、すぐにネットを見て中国の苦杯による出場権獲得を知り、歓喜してしまった。落胆をたったの5分しか感じられなかったのだから、やはり完全に負け組でした。ここは中国−豪州戦も録画して観戦し、2時間たっぷりと不安感を持ちながら興奮すべきだったな。

 立ち上がり早々に、うまいパス回しから決定機を作り、大野が外してしまう。そして、それ以降は、完全に北朝鮮にペースをつかまれてしまった。いずれの選手も動き出しが遅く、球際の反応も鈍い。北朝鮮の各選手は技巧もしっかりしているが、1対1の対応もしつこいだけに、日本も相当厳しい対応が必要なのだが粘り切れない。ただし、最後の突破については、宮間や大野のような「驚き」を作れる選手がいなく、強引に仕掛けてくるだけなので、岩清水の読みで何とか決定機を許さずに試合は進んだ。
 予選前から懸念した通り、体調面での準備が十分でなかったのだろう。そして、ここまでの3連勝でほとんどの選手がいっぱいになってしまっていた。だったら、控えの選手を起用したいところだが、初戦のタイ戦で思うように機能しなかったためか、佐々木監督は韓国戦、豪州戦も、ベストメンバの継続にこだわってきた(この、こだわりは、ワールドカップよりも頑迷に見えた)。結果、全選手が疲労困憊状態、北朝鮮に中盤を蹂躙される事となった。そのため、上記した通り、岩清水を軸に、全選手が最終ラインで守る知的能力が格段な事を再認識できたが。宮間はきっと「押し込まれてはいるが、合衆国ほど攻撃は鋭くない」と考えていたに違いない。
 対して北朝鮮は、ワールドカップ終了後、この大会に向けて合わせてきたのだろう。ドーピングで5人が出場停止にはなったものの、非常によいチームだった。なるほど豪州と韓国にキッチリと勝ってくる訳だ。いや、むしろ不思議なのは中国と引き分けた事か。

 かくして、80分間しのぎ続けたこの試合。さすがに、ここまで煮詰まってくると、北朝鮮のプレスも緩くなってきた。そして、川端を軸に右サイドに起点を作り、後方から押し上げた岩清水が精度の高いロングボール、北朝鮮のCBはトップの永里を抑え切れず、日本が冗談のような先制点を決めてしまった。もちろん、この得点は偶然ではない。我慢に我慢を重ねて、イタリアっていた選手達の、不屈の闘志と知性が生み出した一撃だった。
 北朝鮮の選手たちの衝撃は相当のものだったようだ(そりゃそうだ、あそこまで押し込んだ試合をして、80分に点をとられて、まだ「これからだ!」と戦える不屈の闘志を持っているのは、日本女子代表くらいのものだ)。以降は、日本が落ち着いて、ボールキープができるようになった。

 そこで、佐々木監督の采配についての議論となる。
 85分あたりのコーナキックに佐々木氏がボールキープを指示した是非が話題になっているようだが、私はそう間違っているとは思わない。意気消沈した北朝鮮に対して、イニシアチブをとって、落ち着いてボールを保持して、時計を進めてしまうのは、1つの作戦である。
 しかし、そうだとしたら、選手達に、不用意に自陣内でボールを回させず、セーフティファーストのクリアを指示し、かつそのクリアを追い回す事ができる元気な選手を交代で投入するべきだろう。そもそも、選手交代そのものが時間稼ぎにもなるのだし。
 ところが、選手たちは非常に中途半端なプレイに終始。あの最後の失点場面、もちろん近賀のミスも残念だったが、そこに至る各選手からは、「とにかく安全にミスをしないように」と言う意識が感じられなかった。彼女たちほどの経験を積んでいても、ヘマをする時はヘマをするという事だろうか。もちろん、最大の問題は、佐々木氏の采配意図が不徹底だった事にあるのだが

 いずれにしても、佐々木氏の中途半端な指示と、優柔不断の交代策で、最後は同点に追いつかれてしまったこの試合。それでも、中国がヘマをして、日本の五輪代表が確定した。以前から何度も述べている通り、このようなレギュレーションでは、相互に星を食い合う事で、結果的に戦闘能力の高いチームが生き残るものだ。
 そういう意味では、ここまでの3試合で、キッチリと勝ち点9を確保していたのが、ここにきて効いてきた事になる。
 めでたし、めでたし。まずは素直に五輪出場を喜ぶ事にするか。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(5) | TrackBack(1) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この試合のWOM(ウーマンオブザマッチ?)は岩清水ですよね?守備も素晴らしかったですけどあのキックはほんと見事でした。世界で戦っている選手のキックだったですね!

とにかく五輪出場おめでとーー!
Posted by coffee at 2011年09月10日 05:11
ワールドカップ決勝とは別のチームのように思えるほど、身体が動いてなかったですね。
タイ戦でも、ルーズボールを取られることも多かったですし。
そんなチーム状態でも出場を決めたのは凄いことだと、喜びたいです。


Posted by 渡辺 at 2011年09月10日 10:24
>ベストメンバの継続にこだわってきた

佐々木監督が控えを信用出来ないのはある程度仕方ないかと
思います。とにかくなでしこリーグって緩いですから。
男子だったら、マイクが甲府で結果を出したぞ→じゃあ使ってみよう
でそこそこの成果を期待できますが、女子だとなでしこリーグ
で活躍したくらいじゃ信用出来ない。やる前から
勝敗が分かってしまうカードが多すぎる。

登録選手数が男子の30分の1しかいないのに、1部リーグの
チーム数は男子の半分強もあるんですから、なでしこリーグの
競争が緩くなるのも当たり前。突き詰めると、
「やってる人が少なすぎる」のが最大の問題に
なっているかと思います。男子同様ピラミッドの下から
選手を引っ張り上げてくるシステムで強化している以上、
底辺の狭さはそのまま選手層の薄さに直結しています。

ワールドカップ後のBS特番で佐々木監督が目標に
挙げられていましたが、「競技者人口を現在の10倍にする」
のが唯一無二の解決策かと。

なでしこリーグの緩さって魅力でもあると個人的には
思うんですけどね。「ベレーザの代表選手&代表候補を
相手に孤軍奮闘する宮間あや」なんて面白かったものなぁ。
ただ、強化という一点で考えると問題だよね。
Posted by masuda at 2011年09月10日 11:24
W杯でのドーピング検査の詳細が伝えられていませんが,北朝鮮はどのような違反があったのでしょうか.今回はちゃんと対策したのでしょうかね.
大会後に失格になる可能性がないとは言えないので,3位争いにも意味があるかも知れません.
Posted by 若さま at 2011年09月10日 20:29
佐々木監督が、控え選手を信用できないというのは同意なのですが、矢野、安藤、丸山にタイ戦で活躍した上尾野辺あたりは、戦力として計算できたと思うのですが・・・。

スタメン、控え選手を上手くシャッフルして使って欲しかったなぁ。

ジーコ時代と同じで、違うチームのように起用していますと、チームの完成度が低すぎて、能力を発揮するのが難しいし、引けチームで活躍しても、選手層の拡充とオプションの構築に結び付かないので・・・。
Posted by デュース at 2011年09月11日 22:40
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