2011年09月30日

ラグビーワールドカップ日本代表雑感

 高校生ラガーの横で、幾試合かを観ると、自然にラグビー用語が身に付いてくる。「フェーズを重ね、敵の守備を崩せ」とか、「体格では劣るが、接点では負けてない」とか、何となくもっともらしい言い回しができるようになった。サッカー仲間うちでは、似非ラグビー通として通用しそうだ。
 残念ながら、日本は1分け3敗で全日程を終了。目標としていた2勝はならなかった。けれども、素人目線からは、ニュージーランド戦を除けば、いずれも大変おもしろい試合で、すっかり娯楽として堪能させていただいた。巷では目標未達でもあり、厳しい評価が多いようだ。けれども、少なくとも私には、いずれの選手も己の能力をよく発揮し、見事に戦っていたように見えた。個人的には、田中、小野澤、そして大野がお気に入り。
 サッカー狂の立場からは、準々決勝を最初から目標としない理屈、ニュージーランド戦を捨てた発想などはよくわからないが、このあたりは家風の違いや、冷静な戦闘能力分析からの現実性なのだろう。異なる競技は、このような比較文化論(オーバか)的な愉しみ方もあると言う事だ。

 とは言え、素人目線から気になった事を2つ指摘してみる。

 まず、セットプレイの工夫のないように見えた事。
 先回も指摘したが、フランス戦、トンガ戦で、比較的簡単なペナルティキックやコンバージョンを外し、展開を苦しいものにした。また、トンガ戦の終盤など、幾度か敵陣間近のラインアウトからトライを狙ったが、いずれも奏功しなかった。キックオフにしても、カナダ戦の終盤に3点差に追いすがられた際、簡単に敵ボールにしてしまった。
 流れの中でのプレイは、敵の妨害も多く、思うに任せないことが多い。しかし、セットプレイだけは、事前の準備、計画でかなり優位に立つ事ができるはず。これはラグビーもサッカーも同じ事だと思う。けれども、今回の日本は(何となく、記憶をたどると、今回に限らないようにも思うが)、上記のようにセットプレイがうまく行かなかったように思えた。2、30年前の日本は、サインプレイを得意にしていた記憶があるのだが、少なくとも今大会はセットプレイの創意工夫を、あまり感じなかった。ちなみに、カナダ戦だが、アレジがペナルティもコンバージョンもすべて決めてくれたのに対し、一方カナダのキックの精度の悪さが目立った。このカナダ戦は唯一勝ち点を獲得できた試合だが、このプレースキックのよさで引き分けに持ち込めたとも言えると思う。
 ちなみに、トンガに敗れた際、「ボールを奪われるミスが多かったのがケシカラン」的な批判が多かったが、やや理解しづらい理屈だ。トンガだって必死なのだから、得意のコンタクトプレイに勝機を求め、日本がボールロストが増えたのは、言わば戦闘能力差の問題。ボールロストが多かったのは、要因ではなく、結果なのだ。「ボールを奪われるような試合展開にしたのが失敗」ならば理解できるのだが。だからこそ、素人としては、「そのような展開になった要因」を知りたいのだが、誰か教えて下さい。

 もっと気になったのは、報道の少なさ。
 初戦のフランス戦は、地上波で生中継が行われたが、他の試合の生中継はすべてJ Sportsのみ。一般のスポーツニュースでの取扱いも寂しいものだった。不思議だ。
 現状日本のボールゲームで、アジア最強と言える競技は、男女のサッカー、野球、ソフトボールを除くと、私が知る限りラグビーくらい(抜けがあったら指摘ください)。日本ラグビーは、かなり強いのだ。また、ラグビーワールドカップと言う大会そのものも、世界陸上あたりと同等の規模感で行われている大会。コンテンツとしての「素材の潜在性」は抜群のものがある。うまく宣伝すれば、相当な注目を集める事も可能だったのではないか。
 そして、上記したように、日本の試合は、実におもしろかった。あのフランス戦の4点差に迫った後の猛攻、トンガ戦終盤の必死の攻勢、カナダ戦前半の颯爽とした戦いぶり、同点後の仕掛けなど。あれを、結果を知らずに観れば、どんなへそ曲がりも「ラグビーおもしろい、日本もやるじゃない」と思ったはずだ。結果的に思うような成績が残せなかったとしても、あれだけのプレイを見せてくれれば、まともな人は皆感動する。結果だけで非難するのは、馬鹿マスコミとちゃんと観ていない輩だけだ(もちろん、ラグビーをじっくりと愛している方々からすれば、「結果」を出すべき大会なのだろうから、心底悔しいのはよく理解できる。そう言う方々は視点も浸り方も異なるのだから、当然評価点も異なってくるし、「結果」を残せなかったチームに厳しい評価を下すのは、当然の事だ)。
 そう考えると、今大会の日本の奮闘(今後、世界列強の虚々実々がはじまるのだが)の報道が非常に少なかったのが残念。マスコミ側から見ると、潜在性の非常に高いコンテンツを無駄にした損失は非常に大きいのではないか。一方、ラグビー界も、もっとうまく訴求していれば、絶対ラグビーの人気、それも浮ついた人気でなく、本質的な人気を高められたと思うのだが。

 そして、この「後ろにつないでいく」フットボールの兄弟が強い事、多くの国民がこのフットボールについて語る文化を持つ事は、将来我々がワールドカップを制覇するためにも、とても役に立つのではないかとも思うのだが。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(5) | TrackBack(0) | サッカー外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>現状日本のボールゲームで、アジア最強と言える>競技は、男女のサッカー、野球、ソフトボールを>除くと、私が知る限りラグビーくらい(抜けがあ>ったら指摘ください)。

アメリカンフットボールはどうでしょうか?
詳しくは分りませんが。
Posted by Hideo at 2011年10月01日 02:35
> 結果的に思うような成績が残せなかったとしても、あれだけのプレイを見せてくれれば、まともな人は皆感動する。

前回も前々回も今回と同様に面白い試合を見せてくれた
(そして、今回よりはずっと報道量が多かった)
けれど、視聴率面で爆死した過去がありますので。
テレビ局内部ではとっくの昔に失格コンテンツの
烙印が押されているんですよ。

女子サッカーも同じですね。5年前に女子アジアカップを
プライムタイムに放送したら視聴率が2%くらいしか
取れなかったから、民放は無視するようになった。
それで、女子W杯で準決勝に進出してから慌てて
放送した。結果を出さない限り、メディアは動かないです。

#女子アジアカップの時は放映権料が実質タダだったから
#2%でもテレビ朝日に迷惑はかけてないはずだけど、
#かつてのプロ野球ビジネスを反映して20%取れなきゃ
#儲からないような感じになっている。

コンテンツを育てる余力が無くなったテレビ局にも
問題はありますが、結局のところ、武藤師の言う
「まともな人」は日本にほとんどいないということだと
思いますよ。「まともな人」を相手にしたコンテンツは
視聴率2〜3%。Jの地上波中継もラグビーW杯もこんなものだものね。
それより上の視聴率を目指すには、「勝利」という
単純な結果と、スポーツに関心が無い人でも共感出来る
物語が重要。女子サッカーバブルは、W杯優勝という
結果と、高潔に20年間戦い続けた澤の物語が評価された
だけで、彼女たちのサッカーが評価されたわけではない。
それでも、「まともな人」が目を向けるきっかけには
なった(この間書かれていた「宮間の方がうまい」の女の子みたいにね)
から、有意義なバブルでありましょう。

……と考えていくと、女子バレーの煽り方は正しいって
事になっちゃうのだよなぁ。
Posted by masuda at 2011年10月01日 03:56
あとはアメフトですね。
W杯2回優勝、アメリカ&NFL抜きなら優勝候補。
Posted by at 2011年10月01日 10:40
 アメフトなんて、プロから指名のかからなかったアメリカの大学生の寄せ集めに、日本の代表チームが何とか善戦するのが精いっぱいのレベルの差がある。
 アメリカとのレベルが違いすぎて、「アジア一」だろうと、「世界一」だろうと、世間を煽れない。
 
Posted by あ at 2011年10月02日 06:28
アメフトとプロ野球って、
実はよく似てるんですね。
ただ一つ違うところは、
戦後何十年も、マスコミが徹底的に煽りに煽って
今の地位があるってことですかね。
野球はこの国最大級の「既得権益」ですからね。

masudaさんは何でいちいちラグビーの話の所で
女子サッカーの話長々としてんの?
ていうかmasudaさんて何年か前に
「党首」さんのとこのコメント欄に醜文ばかり書き込んで
他の常連さんに物凄く嫌がられてたあのmasudaさん?
いや名前といい嫌味な書き方といい
そんな臭いがしたものですからね…。
人違いだったらゴメンなさいね。
Posted by たーち at 2011年10月02日 13:22
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