レイソルは拡大トヨタカップ準決勝でサントスと対戦。
言うまでもなく、サントスと言うクラブは、我々の世代にとって、他に代わりなき「夢のクラブ」だ。
バルセロナもクライフがいたので、相当な憧憬の対象である事は間違いない。そう言う意味ではアヤックスは当然の事として、ユナイテッドもバイエルンもボルシアMGもインテルもミランも、それに続く存在だ。
しかし、やはりサントスは、そのようなクラブと比較しても、やはり特別な存在なのだ。
そのサントスと、レイソルが、日本のトップクラブが、公式戦で対戦する。世界最強クラブを決める決勝戦への出場権を賭けて。
すごい。
どうでもよい蘊蓄。
72年にサントスが来日した時に、ペレをマークしたのは、山口芳忠だった。言うまでもなく、スッポンマーカとして、メキシコ五輪の栄光にも大貢献した、レイソルの前身、日立所属の日本サッカー史に残る名サイドバックだ。当時、「40年後に日立が公式戦でサントスと対戦する」と予言しても、誰も相手にしてはくれなかっただろう。まあ「35年後に日本がワールドカップでブラジルと対戦する」と予言しても、同じだったかもしれないが。
ついでに言うと、今大会レイソルが来ているパンツも黄色のユニフォームは、正に日立の全盛期の70年代前半に来ていたものだな。
それにしても、11日のモンテレイ戦はすばらしかった。
立ち上がりにモンテレイが猛攻を仕掛けてくるが、菅野の冷静な対応と、ほんのちょっとの幸運で何とかしのぐ。以降は、凄絶な、しかし双方が創意工夫を凝らした、中盤戦をすっかり堪能させていただいた。
この試合のMVPは、何と言っても大谷だろう。元々、中盤での読みがよくボールを奪うのがうまく、落ち着いた展開が魅力の選手。この日は、その読みのよさが冴えまくった。モンテレイは立ち上がりの猛攻にしても、この日唯一の得点にしても、FWの大きな動きに合わせて比較的深いところからボールを出す攻撃が強力だった。大谷が、その出所を120分間ほとんどの時間帯でうまく押さえたのが、この勝利のポイントとなった。27歳の大谷だが、ここまで中盤で敵攻撃の芽を摘む能力を見せられると、代表入りも視野に入ってくるはず。細貝とは(角田も比較に入れたいのだが)、また違う魅力を持ったタレントだ。
もちろん、レアンドロ・ドミンゲスをめぐる攻防、モンテレイのエースのスアソをめぐる攻防にも興奮させられた。モンテレイの中盤タレント達が、執拗にレアンドロ・ドミンゲスに絡み自由なプレイを許さない。一方、大谷、栗澤、田中、工藤らが手変え品変え、変化をつけて、レアンドロ・ドミンゲスをフリーにしようとする創意工夫の攻防。あの先制弾は、その典型的成功例だった。もちろん、増嶋と近藤が全知全霊を振り絞ったラインコントロールと、スアソに得点をとらせるためのモンテレイ攻撃陣の攻防も、また絶妙。デルガドやカルドソのような抜群の個人能力を誇る選手達が、自らの技巧をチームプレイに活かす献身もまた感動的だった。上記同点弾は、正にその典型。いや、おもしろかった。
期待の酒井宏樹は若さを露呈。モンテレイが、酒井の横パスを奪ってそこからの速攻を狙っていたのが明らかだったのだが、とうとう120分間、対応できなかった。これは負傷は関係ないはず。よいクロスを頻繁に挙げていたのは確かだが、大いに不満の残るでき。ネルシーニョ氏は、そこまでわかって、我慢しているようにも思うのだが。
メキシコと日本のトップクラブが、お互いの長所をつぶされながらも、敵の僅かな隙を見つけて、その長所を発揮しようと言う攻防。最後のPK戦の歓喜を含め、最高級の娯楽を3時間、じっくりと堪能させていただいた。ああ、羨ましい。
サントス戦。
中2日で2試合を戦った後ゆえに、状況は非常に厳しい。けれども、そんな事を気にしても仕方あるまい。先方はバルセロナ戦にターゲットを合わせているだろうし、突ける隙はあるはずだ。茨田も北嶋は完調だろうし、ネルシーニョ氏はまだまだ策を持っているだろう。もっともっと、レイソルサポータの友人を羨望する機会がサントス戦にとどまらない事を期待しよう。
2011年12月14日
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柏サポに転向しそうになりました。
「ちくしょう何でココで重要なゴール決めるんだぁ!?ボルジェスぅコノヤロ〜」
の言葉しか浮かびません。
柏さんスイマセンでした・・・。
中終盤の苦悩に満ちたあのシーズンから5年、
あっ!そういえば、サンタナさんどうしてるかな?
何とも虚しい「予言」の実現でしたなぁwww