ちょっと多忙なので(いや、本業が片付かない割りに、明日から忘年会が3連荘と言うだけなのですが)、簡単に。
バルセロナについて。
すごいのは毎週のスペインリーグを見ているから、ある程度は理解していたつもりだった。しかし、今回のサントスは、最近のブラジル経済の好調もあり、ほんのちょっと前だったら、欧州のクラブに移籍しているようなタレントがかなり所属している。トヨタカップの伝統にのっとり、しっかりと準備した南米の強豪に、バルセロナと言えども、相当苦戦する事も予想された。いや、正直言いますが、私はサントスが勝つと予想していたのですが。
バルセロナの強さには、秘密も何もない。全選手がまじめに位置取りを修正し、しっかりと周りを見て、自分が次にどうしたらよいかを考えてボールを受ける、そして状況によっては敵の対応を見て計画を修正し、精度の高いパスを丁寧に出し、すぐに最もよさそうな場所に移動する。もし、ボールを奪われたならば、すぐに切り換えてしつこく奪い返しに行く。ただ、ただ、それを繰り返すだけ。
いずれも、サッカーの基本である。ただし、この基本を徹底して繰り返せるだけの選手を11人+αだけ、並べた事がすばらしい。
5年前のバルセロナもすごかったが、当時はロナウジーニョとかデコとか、舶来物の高級酒が揃っていたのだが、今回のチームは自前の下部組織で育て上げたスペイン代表選手がズラリ。そして、彼らを軸とした代表チームが、欧州も世界も制しての登場だった(それも、スペイン代表がタイトルを獲得したのは初めてだった、彼らのグループが大変な事を成し遂げたのは、今さら言うまでもないだろう)。そして、なるほど、すべての面で「世界一」の妙技を堪能できた事になる。
もう1つ、バルセロナの長所の1つに、後方の守備の強さがあったのもまた確か。
ボールを思うように持てないサントスは、ネイマールを軸にした速攻に活路を見出そうとした。しかし、それをプジョルが、ブスケツが、ピケが、そしてマスケラーノが(このオッサンが控えにいるのだから、恐れ入るよな)、ことごとくつぶした。ハンマーのようにネイマールをつぶすプジョルを見て、5年前の彼の失態を思い出し、この月日で彼が積み上げた経験と、持ち上げたカップの、重要性を改めて感じ入った。
バルセロナがここまで見事なチームを作り上げた要因が、よい下部組織の所有にあるのは間違いないだろう。しかし、重要な事はよい下部組織の所有が、バルセロナクラスのチームの形成を約束しない事は言うまでもない。
陳腐な言い方だが、バルセロナ固有の下部組織のあり方、言わばその土壌に、大きなカギがあるのは間違いない。そして、先日も述べたが、そこで重要な事は、「教え方」や「メソッド」や「ポゼッションの哲学」などの各論ではなく、もっと本質的な「何か」なのだと思う。その「何か」を求めて、我々の模索は続くのだが。まあ、ゆるゆる勉強していきたいものだ。
最近はよくしたもので、本屋に行ってスポーツ本のコーナに行くと、無数の「バルセロナ本」を見つける事ができる。ただ、本屋で立ち読みしただけなのだが、それらの多くはどうも方法論しか言及していないように思える。もし、方法論ではなくて、土壌を説明したような本質論を書いてあるような書物をご存知の方があれば、推薦お願いします。まずは、そのあたりの勉強から始めてみたいので。
決勝の先制点直前。シャビが後方に流れた浮き球を、見事なヒール(あるいはアウトサイドの)トラップで収めた場面。通常、シャビもイニエスタもセスクもチアゴも、普段はあのような大技を見せる機会はなく、淡々と味方の正確なパスを処理して、味方にまた正確なパスを出す。ところが、あの場面だけはシャビは大技で正確なボールコントロールを見せた。シャビの凄みを改めて感じる事ができた。
2011年12月20日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック