フィリップの反対側のベンチに水沼貴史が座っていたが、ちょっと違うよね。ここは、岡田武史か木村和司のいずれかでなければダメだったのだが、それぞれお2人に別々の事情があって...松田とは、ほとんど縁がなかったはずのカズが全軍を仕切るのは、スタアの所以だろうが。
試合に戻ろう。
中田英寿を起点に、カズが前線でがんばり、藤田俊哉が後方から進出する攻撃。中澤佑二が前に出て押さえて、井原が微妙にラインを上下する。この微妙な上下動、動き出しのタイミングも、修正の細やかさも、往時の井原ではなかった。でも、中澤を動かしてから、自らがそのカバーに入る動きそのものは、80年代後半から2000年代前半まで20年近くに渡って堪能させてもらった動きと、何ら違っていなかった。行くべきだった。
こうやって40歳を越えた井原のプレイを愉しむ事ができた要因を思い起こすと、やはり胸が痛むのだが。
そして、テレビ映像を見ているうちに、異なる意味で、むしょうに悔しさを感じて来た。井原と中澤の、センタバックを見ているうちに。
この2人は、一緒にプレイをした事はないはずだ。そして、この2人をつなぐ存在として、松田直樹がいた事は言うまでもない。いや、それはよい。井原と松田が、松田と中澤が、それぞれ見せてくれた連携を思い起こせばよい事だ。いずれも美しい思い出だ。
でも悔しかったのだ。
井原も中澤も、松田と共にワールドカップを戦う事が叶わなかった事に。
98年、井原と組むべきは、松田だったのだ。2006年、中澤と組むべきは、松田だったのだ。いや、2010年だって、松田と闘莉王の定位置争いを見たかったではないか。あるいはベンチで待機する松田を、延長終盤前線の選手に代えて起用して、長友を前進させるとか(結局、松田と闘莉王が上がって行き、長友が後方待機になりそうだが)。
ああ、どうして、君はたった1回しかワールドカップに出てくれなかったのか。
お願いがあります。彼が倒れたときに武藤さんがブログにあげていた「君については書きたいことがある」旨、ずっと気になっていました。
これを機に書きあげてはいただけませんか?
あれ以来、ずっと楽しみにしていました。
でもろくさんのコメントにもうんうんと頷いてしまいました。直樹について話すとみんないろんな意見が出てきますね。あんなに人の感情を引っ掻きまわしてくれる人ってなかなかいないです。直樹に会いたい。