2012年01月24日

松田直樹さん追悼試合

 少年団の練習もあり、ちょっと疲労気味だったので、生観戦はやめておく事にした。テレビから流れてくる映像を見て、「行けばよかった」いや「行くべきだった」と後悔した。井原正巳が元気なプレイ姿を見せていたからだ。しかも、そこに攻め込んでくるのはカズ。
 フィリップの反対側のベンチに水沼貴史が座っていたが、ちょっと違うよね。ここは、岡田武史か木村和司のいずれかでなければダメだったのだが、それぞれお2人に別々の事情があって...松田とは、ほとんど縁がなかったはずのカズが全軍を仕切るのは、スタアの所以だろうが。
 
 試合に戻ろう。
 中田英寿を起点に、カズが前線でがんばり、藤田俊哉が後方から進出する攻撃。中澤佑二が前に出て押さえて、井原が微妙にラインを上下する。この微妙な上下動、動き出しのタイミングも、修正の細やかさも、往時の井原ではなかった。でも、中澤を動かしてから、自らがそのカバーに入る動きそのものは、80年代後半から2000年代前半まで20年近くに渡って堪能させてもらった動きと、何ら違っていなかった。行くべきだった。
 こうやって40歳を越えた井原のプレイを愉しむ事ができた要因を思い起こすと、やはり胸が痛むのだが。

 そして、テレビ映像を見ているうちに、異なる意味で、むしょうに悔しさを感じて来た。井原と中澤の、センタバックを見ているうちに。
 この2人は、一緒にプレイをした事はないはずだ。そして、この2人をつなぐ存在として、松田直樹がいた事は言うまでもない。いや、それはよい。井原と松田が、松田と中澤が、それぞれ見せてくれた連携を思い起こせばよい事だ。いずれも美しい思い出だ。

 でも悔しかったのだ。

 井原も中澤も、松田と共にワールドカップを戦う事が叶わなかった事に。
 98年、井原と組むべきは、松田だったのだ。2006年、中澤と組むべきは、松田だったのだ。いや、2010年だって、松田と闘莉王の定位置争いを見たかったではないか。あるいはベンチで待機する松田を、延長終盤前線の選手に代えて起用して、長友を前進させるとか(結局、松田と闘莉王が上がって行き、長友が後方待機になりそうだが)。
 ああ、どうして、君はたった1回しかワールドカップに出てくれなかったのか。
posted by 武藤文雄 at 00:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
どうしてなのか…それが松田直樹なのかもしれませんね。

お願いがあります。彼が倒れたときに武藤さんがブログにあげていた「君については書きたいことがある」旨、ずっと気になっていました。

これを機に書きあげてはいただけませんか?

あれ以来、ずっと楽しみにしていました。
Posted by ろく at 2012年01月24日 20:13
最後の一行、うんうん、と頷いてしまいました。
でもろくさんのコメントにもうんうんと頷いてしまいました。直樹について話すとみんないろんな意見が出てきますね。あんなに人の感情を引っ掻きまわしてくれる人ってなかなかいないです。直樹に会いたい。
Posted by まり at 2012年01月24日 21:19
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック