2012年02月06日

まずは関塚氏更迭から

 試合が1対1のまま進む。
 ラスト5分になり、当然のようにシリアは猛攻をしかける。したがい、日本としては分厚く守って、落ち着いて時間を使いたいところだ。駆け引きや判断に不満山積のこのチームだし、この日もここに至るまでの試合運びには嘆息だらけだったが、敵地クウェート戦の終盤はちゃんと試合をクローズした実績もある。
 実際敵エースのアルスマに対しては、粘り強くマークしていたし、こぼれ球も落ち着いて拾えていた。「山田直輝と東と永井の3人が、いつも無理せずに、もう少し時間を稼いでくれればよいのに」と言うあたりが、不満ではあったが。
 日本のクリアに対し、シリア2番の主将でセンタバックの大黒柱アルサリフが挙動を開始する。ある意味では最も恐ろしい選手だ。ところが、そばにいる山田直輝の対応が遅い、イヤな予感がした。アルサリフは、山田が遅れた寄せに対し、強引なシュート。ドライブのかかったシュートに権田は的確に反応したように見えたが、ボールに触れず、ネットを揺らしてしまった。
 不運と言えば不運な失点だが、ある意味必然的な失点でもあった。勝負どころで、アルサリフが前進してくるのは当然の事で、国立でのプレイ振りを思い起こせば「最も警戒する事態」である。それに対して、山田と権田の準備不足は、衝撃的だった。あの無防備さでは、必然的な失点と言うしかない。

 このチームは「シリアをリスペクトしていなかった」から負けたのだ。

 負けた事そのものは仕方がない。相手も強かったし、アルサリフとアルスマはすばらしい選手だったし。
 けれども、そのような厄介なチームと戦うにあたり、少しでも敵のよさを消し、少しでも自軍のよさを出す努力が、このチームには全く見えない。以前から、それが見えない事に、大いなる危惧をいだいてきた訳だが、やはりダメだった。

 負けた事は仕方がないが、やり方が間違っているのだ。関塚氏を更迭すべきだろう。

 前半、特にリードされた以降の愚かしいロングボール戦法。ここまで知性のない試合を見せられると絶望的になる。前半終了間際に、大迫と永井の個人能力で追いつく事ができたのは超幸運だった。それにもかかわらず、その直後に一斉に前進する事で背後をとられ、シリアに好機を許す、呆れる程の稚拙な時間の使い方(これは、国立での試合でもそうだった)。
 後半、無理攻めしていたシリアに疲労が見られ、だいぶボールがキープできるようにはなってきた。しかし、最終ラインでボールを奪うや、常に強引な速攻を狙ってはボールを奪われる事の繰り返し。アルサリフに厳しくマークされている大迫に単純なアーリークロスを入れる(もっとも、大迫は国立で完敗したこの厄介なCBを相当研究したのだろう、同点弾の入れ代わりを含め、相応に戦ってはいた)。相変わらず、酒井宏樹の右足を活かそうと言う工夫の1つも見えない。
 「ああ、相変わらずだなあ」と溜息をつきながら迎えた、後半終了間際だった。
 そして、あそこまで敵の大黒柱の攻撃参加に無神経だったのは、正に監督の責任以外何ものでもない。繰り返すが、チーム全体が、この難敵をリスペクトしていなかったのだから。

 試合終了後、テレビのインタビューで、関塚氏は「後半はプラン通りに進んでいたのだが」と言う趣旨の事を語っていた。あの稚拙な試合が、彼の「プラン通り」と言うのだから、議論の余地はもうないだろう。お辞めいただくしかない。プランそのものが間違っているのだから。

 五輪の自力出場権がなくなったのは、今回にはじまった事ではない。そう言う意味では、定例行事と言ってもよいようにすら思える。
 アテネの時は埼玉でバーレーンに敗れた時点で自力は消えていた(この時は、さらに続く国立レバノン戦でも終盤同点に追いつかれ、大久保の一撃で振り切るまでは、自力消滅以前の苦しい瞬間もあった)。北京の時は、敵地カタール戦で先制しながら、信じ難い不運の連鎖で逆転負けして、その瞬間は「自力」は消えていた(サウジの奮戦で無事「自力」は復活したのだが)。
 だから、それほど悲惨な事態でもないのも確かだ。ただし、過去2回の「危機」とは質的な問題が異なる。過去2回の監督にも色々不満が多かったし、散々愚痴を言ったものだった。けれども、今回の関塚氏の失態(負けた事ではないですよ、チームの明らかな問題を放置している事、あるいは明らかな問題を作り込んでいる事)は、看過できない。

 結局、過去も幾度も講釈を垂れたように、あのようなサッカーではダメなのだ。それにしても、国立であそこまで課題が明確になっていたのだから、ちゃんと修正すれば問題なかったはずなのだが。そう言う意味では、原博実氏の責任は重い。とは言え、まだ時間はある。トップでの五輪出場のためには、残り2試合でたくさん点をとればよい訳で、監督を代えれば、さほど大きな問題はないだろう(一部の選手も代えたいがそれはそれとして)。
 私はチームが少々不振に陥っても監督交代については消極的な論陣を張る事が多い。しかし、今回くらい、迷わずに「更迭すべき」と確信した事はそうはない。 

 原博実氏の英断を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 01:08| Comment(28) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
関塚氏に遅攻は無理だな。
Posted by ペンギンパパ at 2012年02月06日 01:20
監督を交代してもあまり変わらないでしょうね。
日本人監督は捨て身の勝負には弱いですから。

問題は協会が大学生を強要したり旬な選手を
無理に使わせたりする傲慢さにあると思います。
関さんのサッカーはカウンターなのだから
パスワークだのポゼッションだのと要求しても
できないのだと思います。

反さんの時も迷走しましたが監督が哲学を曲げれば
いびつなチームが出来上がるのは当然でしょう。
Posted by at 2012年02月06日 01:31
次の試合までそう時間がないときに
「更迭」が良い選択になるためには
今より確実に状況がよくなると見込まれる
「次の監督候補」が必要ですよ。
Posted by at 2012年02月06日 01:34
実績ある人では西野氏がフリーですな
あとNHKBSで見てましたが、非常に的確な解説をしていた宮本氏を今すぐコーチに入閣させれば何とかなるかもと思ったり
Posted by at 2012年02月06日 01:39
個人的には武藤氏が呟かれてたベトナムでのイラクやカタールレベル相手との総当りプレーオフ、コベントリーでの一発勝負の方が五輪本戦出場よりも若手にはいい経験になるのではと思ってしまいました。まだまだ1位の望みが消えた訳ではないとはいえ。
監督更迭はずっと同じ稚拙な試合運び続きなので、正直同意見ですが、代わりの案を述べないのは武藤氏らしくないかなと感じました。
日本人で実勢トップの岡田氏は中国で新たな挑戦に挑んでいますし、西野氏は協会との関係は改善されたのか疑問ですし、準備期間の少なさも考えると、原氏自ら代役を務めるしかないのでは。
Posted by 鹿サポ at 2012年02月06日 02:01
追記
その前のつぶやきで原氏かザッケローニ氏が代わりを務めて、大量得点で勝てばいいと書かれてましたね。失礼しました。武藤氏と完全に同意見です。協会にそんな度胸があるとは思えませんが。。
Posted by 鹿サポ at 2012年02月06日 02:04
ごめんなさい、それでもやっぱり関塚さんをクビにするメリットよりリスクの方が大きい気がする。大体、協会にも度胸ないし、ぼくは続投派です。
消極的な理由ですが。
Posted by ピクシー at 2012年02月06日 07:10
そもそもザック、岡田さん、西野さんあたりが五輪監督やるなら最初から契約してるでしょう。
想像上の「より良いもの」ならいくらでも挙げられるけど、下の世代の監督というのはそんな大物がくるポジションじゃないです。
世代監督というのは批判ばかり多くて名誉のない難しい職業のですな。
Posted by at 2012年02月06日 07:30
なにより、いつまでたってもチームとして成熟してこないのが気になっていました。仲がいいという談話はあっても、試合での一体感がない。根本的に何かが足りないのでしょう。
頭が悪いというか、監督の言う通りにする選手ばかりを好んでいるような気もします。おそらく途中で臨機応変に対応すると、勝手なことをすると怒られるのでは。だから、失敗して怒る選手もキャプテンシーを発揮する選手も居ないのでは。
ブラジル人とケンゴがいないのに川崎時代と同じ戦術では無理だし、ハーフタイムでの修正力も足りない。更迭しかないでしょう。ただA代表のコーチの方をどうするのか、とか、いろいろ面倒でしょうが。
Posted by mimi at 2012年02月06日 07:47
アジア大会で優勝したときの強さは、どこに行ってしまったのでしょうか。
また、アジア大会の時と何が違うのでしょうか?

監督は同じで、選手は今より能力の落ちるアジア大会優勝メンバー。
なのに、あのときのメンバーは今のU-23代表よりも強いように見えます。
自分は観戦素人ですが…。

監督交代に賛成です。
ガンバサポとしては是非西野さんに…。
Posted by むさきち at 2012年02月06日 10:25
とりあえず香川やら大津やら、
年齢制限上呼べる選手を最大限集められれば
得点の課題はかなり解決されると思いますが、
チェンジオブペースというか、
状況判断というかに、
はっきりと課題がありますね。
予選でオーバーエイジを使いたいくらい...
Posted by baron at 2012年02月06日 12:19
早稲田学閥のヒロミ原は、泣いて馬謖(関塚)を斬ることができるのか?
あるいは学閥の利点を最大限利用して、ヒロミ原は三顧の礼で西野氏あたりを招聘できるのか?

本邦サッカー界には、個の力という、実に便利な言葉があり、日本代表が敗退すると、監督ではなく選手の個の力のせいだという、伝統的な逃げ口上があります。

こんな言葉が出てくるようだと、危ういかもしれません。
Posted by 布・牧内 at 2012年02月06日 12:42
シリアは強くはなかったと思います。
最近まで馬鹿の一つ覚えのように使われていた「日本らしいサッカー」を完全に捨てて、前線の個人能力だけで得点を取りに行く「中東らしいサッカー」で挑んで勝てなかったのがアホらしい。
プラチナが笑います。
Posted by HK at 2012年02月06日 14:28
いつもじゃありませんが、たまに楽しく拝見してます。マスメディアのwebサイトに評論家による試合の解説が掲載されているけど、考察の深さ・明快さと、記事を書いた時間を考えると、武藤さんの解説が他を完全に圧倒してますね。
Posted by 竜王名人 at 2012年02月07日 01:26
すまん。
先のこと考え過ぎてた。
リスペクトが足りなかった。
このメンバーでも引き分けられると思ってた。
まさか、権ちゃんが二回もやらかすとは。
なんせ、二軍なんでね。
Jにはもっとやれる選手がいるのは分かってる。
でも、前は海外&代表招集組、後の弱いとこは南アフリカ代表戦士がOA枠で出たがってるんだ。
そんな状況なんで、そんなに入れ替えできないんだ。
今回のメンバーで、何人がロンドンのスタメン張れそうなのか、考えてからヤメロと言ってくれ。
Posted by 監督の代弁者 at 2012年02月07日 21:57
八百長kリーグにはACLで負けて、次は代表戦でシリアに負けるとか…


こんなんで、よくヘディング脳はラグビーや男子バレーを批判できるな。

ニュージーランドの銀行員や教師が大活躍できるスポーツだからこんなもんか
Posted by sucker at 2012年02月08日 01:34
>sucker
日本のラグビーやバレーの選手は
多くが「会社員」だからそんなもんだな。
Posted by at 2012年02月08日 14:59
日本のサッカー選手は非正規労働者だからこんなもの
Posted by at 2012年02月08日 18:39
「ヘディング脳」と蔑む人へ。
今回の負けはかなりのショックです。なので、種目は違ってもスポーツ好き同士として、そっとしておいて呉れませんか。
Posted by watanabe at 2012年02月08日 22:22
一つ重要な視点が抜けている。
それはテレビの生中継があったことだ。
その時点で最重要課題は、いかにして視聴者の心を掴むか?だ。
シリア戦の勝利、予選突破は二の次だ。
過去どれほど、山本、ジーコ、オシムの糞つまらないサッカーを垂れ流して、
どれほど日本サッカー熱を冷ましたことか。
生中継があれば、ヒーローを作れる。平瀬もCMに出れる。
たとえ関塚のプランが大成功したとしても、ヒーローは生まれない。その時点で目標設定をわかっていない。
Posted by ネラ at 2012年02月10日 06:08

気の利いた事を書いたつもりなんでしょうが、
予選突破が二の次ですか、はあ...。
五輪本選に出られないことこそが
どれほど日本サッカー熱を冷ますか
全く理解してない...。

近視眼的、というか
本当に目の前しか見てない意見ですね。

最近、武藤さんの講釈のレベルに
マッチしていないコメントが
多くなっているのが残念です。
Posted by at 2012年02月10日 11:43
いーよなー、アメスポは。
4時間も時差がある
でっかい田舎だけでやってりぁいいし、
世界バスケで米国が負けたって
NBAの方がレヴェルが高いとか
ほざいてりゃいいんだから。
Posted by at 2012年02月10日 12:13
だから、スポーツ好き同士で、けなし合うのはやめましょうよ。種目毎に比べても仕方がないと思います。好き嫌いが元になっている議論は、折り合うことが出来ず不毛ですから。
Posted by watanabe at 2012年02月10日 22:41
スペックが高けりゃ、そのまま勝って当然だと思ってる
オツムの弱い人向けのスポーツを溺愛する人に
サッカーの深遠さなど死んでも理解できないだろう。
そういう不遜な体質が、ベトナムでアフガンでイラクで
災いをまき散らし、その挙句の果てが9・11
そして、さらに災いをまき散らす最悪のサイクル。
世界平和の敵だな。
Posted by 吹っかけてきたのはこっちじゃないし、問題は「関塚氏は問題を放置している」という武藤氏が、気違い約2名を放置し続けていることではないか? at 2012年02月13日 11:40
杉山茂樹さんは、サッカーは弱者向きのスポーツで、弱いチームが強いチームを負かすことができるから面白い、旨のことをよくいってます。

日本が、カメルーンやデンマークに勝つことがあるように、シリアに負けることもあるのでしょう。代表ファンとしてはストレスですが、この敗戦はサッカーの醍醐味の一つをよく表していると思います。彼らが日本に対してやったことを、強豪相手にやればいいのです。

大きな大会で日本が活躍するための糧にしてもらいたいものです。

その前に、果たしてオリンピックに出場できるのか。きっとできると思いますが、盛り上げるためには多少の演出も必要でしょう。希望的観測ですが。
Posted by ロベウト・バッソ at 2012年02月13日 16:33
点の入りにくいサッカーは攻めた方が不利だから弱い方はしばしばジャイキリを狙って消極的な試合をして、それが結構成功率が高い。しかし、それはアンチフットボールと呼ばれる。しかもそれはサッカーを愛する人々からこそそう呼ばれる。これのどこが深淵なんだか。ただの欠陥スポーツだろう。
アメリカが手を出さなくても自分たちで勝手に紛争している国や地域が世界にはたくさんある。アメリカに表現された悪の枢軸という言葉の正確さは、東アジアの我々にはよく実感できることだろう。そういう国々は得てしてサッカーが大好きだ。イギリスやスペインも昔はアメリカ以上にかなりムチャな国だった。
Posted by at 2012年02月14日 02:52
山本アテネ、反町北京、ジーコドイツ
あんな無様で不満の溜まる試合を垂れ流しておいて、
果たして日本サッカー熱に貢献したのか?
しかも、本戦だけでなく予選からだ。
予選突破が二の次であっても、組み立てを放棄せず、ダイナミズムのあるサッカーをみせるべきだ。
Posted by ネラ at 2012年02月16日 04:16
> それはアンチフットボールと呼ばれる。
> しかもそれはサッカーを愛する人々からこそそう呼ばれる。

まぁ、このお馬鹿さん、どこでそんな浅知恵を仕込んだのかしら?
もしや、気の利いた発言をしたとお思いになられて?
「サッカーを愛する人々」っていったい誰のことなのかしら?
ご自身はサッカーがわかってると思い込んでる同類のお馬鹿さんのことでしょ。
ウィキペディアでは「アンチフットボール」の項目が英語・ペルシャ語・日本語しかないのをご存じないようね。
いかにも「アンチフットボール」なんて言葉を好みそうな気違い爺のクライフさんのオランダ語にも解説がないの。
国際的に認知されたサッカー用語じゃありませんことよ、「アンチフットボール」は。

武藤さんは、「アンチフットボール」でも面白おかしくサッカーを語る人なの?
ろくにサッカー講釈もお読みになられていないようね。

こんなまやかしでサッカーを貶めるのは的外れもいいところよ。

ごきげんよう、アメスポお馬鹿さん。
Posted by at 2012年02月16日 20:22
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