2012年02月26日

梁勇基の負傷

 梁勇基が膝を負傷し開幕に、間に合わない恐れが出ていると言う。
 もちろん、ベガルタにとっては非常に痛い事態だ。特にベガルタは、伝統的に序盤戦で勝ち点を稼ぐのを得意としているので(もっとも序盤に勝ち点を稼ぐのはJ1でのみで、J2時代はむしろスロースタータだったのだが)、この大黒柱が開幕離脱するとしたらつらい。
 また、2007年シーズン以降、梁は5期に渡り全試合出場をしている。その連続記録が、この負傷で途切れるとしたら、とても残念な事だ。連続出場記録は、実力のみならず、行き届いた体調維持がなければ叶わない。記録のために、無理をするのは意味無き事だが、どうなる事か。
 今日は、この梁の負傷周辺について、講釈を垂れたい。

 先ほど、梁欠場はベガルタにとって「非常に痛い」と書いた。ただし、「痛い」事は確かだが、少なくとも一昨期までの「痛さ」がない事も確かだ。昨期に松下を加入させ、さらにこのオフにはウィルソン、サッコーニの2人のブラジル人を獲得しているからだ。
 松下の実力は折り紙つきで、パスの精度、特にプレースキックの格段の精度、活動量、サイドバックを含め中盤のいずこもできる多様性など、非常に能力の高い選手。ベガルタの中盤の定位置は、角田、富田、梁、関口の4人が、確保している感があるが、昨期各選手との連携を磨き、完全移籍を決めた松下自身は、当然のようにこの4人に割って入り、年間フル出場をも狙っている事だろう。
 ウィルソンとサッコーニの獲得の目的は、得点力改善のためだろう。ベガルタは、赤嶺と梁と菅井(と武藤...早々にカッコが外せる事を強く期待する)を除く選手のシュート能力に課題がある。ブラジルの経済事情の好転により、中々良好なブラジル人選手の獲得は難しくなっている。その中で、中国で相応の実績を挙げたウィルソン、若年層代表に相当回数選ばれ仙台カップへの出場経験があると言うサッコーニは、中々よい選択だったように思える。実際、2人とも20代半ばなのだから、定位置争いに当然のように入ってこなければ困る。ウィルソンは最前線での起用が期待されようが、そうなれば当然太田の中盤起用も視野に入ってくる。いや、太田の中盤は、伸び盛りの武藤の定位置獲得(もちろん、老獪そのものの柳沢、空中戦スペシャリストの中原を含め)にも絡んでくる。
 そう考えると、ベガルタの選手層も随分と厚くなったものだと思う。結構な事だ。

 梁の連続出場については、ちょっと異なる事も考える。
 負傷による欠場がほとんどないトップアスリートが、30歳くらいで負傷がちになり、以降その負傷との戦いに苦闘するケースがある。たとえば北の湖、たとえば松井秀喜、そしてたとえば井原正巳。ちょっと、今回の梁の負傷には、そのような悲劇との類似性を感じるのだ。(ちょっと残念だけど)梁の実績にしろ格にしろ、この3人には遠く及ばない。しかし、たゆまぬ自己研鑽、丹念な体調維持、常に天賦の才覚を成長させていく姿勢など、共通的なものがある。
 この感想は、梁の未来を悲観的に考え過ぎているかもしれない。ただ梁と言うサッカー選手が、決して悪い意味ばかりではなく、ひとつの分岐点にきているのは間違いない。昨年も講釈を垂れたが、梁は、いわゆる遠藤、憲剛的な「俯瞰力」を身につけつつあり、着々とプレイスタイルを切り替ていると見ているからだ。
 このオフには高橋義希、島川、マックスと、いわゆるボランチのバックアップ候補たちが、次々とチームを去った。上記の攻撃タレントの充実と合わせ、今期のベガルタの編成を見る限り、丹治強化部長と手倉森監督は、梁の位置を後方に下げようとしているのだと思う。正に、上記のプレイスタイルの切り替えを見てとって。
 サッカー選手にとって、経験の蓄積は何にも勝る財産。しかし、同時に体力は次第に衰え、節制を重ねた選手も若い頃とは異なり負傷に悩むようになる。果たして、梁はこの難しい戦いとどう向き合っていくのだろうか。そして、そのような域に達した梁と共に戦う事ができる事の幸せをかみしめていきたい。
posted by 武藤文雄 at 23:06| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく講釈を拝見させてい頂いております。
ぜひfacebookのファンページにリンクを張らせてください。今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by 武平 at 2012年02月27日 09:31
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