2012年06月05日

内容も結果も合格点

 開始早々、内田のスローインを受けた岡崎が見事に敵守備ラインの後方を突き、コーナキックを獲得した。双方が慎重に駆け引きをする立ち上がりの時間帯に、ここまで易々と裏を取る事ができるとは。試合前から取沙汰されていた戦闘能力差が、明確に確認された瞬間だった。
 日本はこの戦闘能力差をフルに活用、冷静な試合展開から鋭い攻撃を幾度も見せ、55分までに3点差として勝負を決め、以降は丁寧に試合をクローズして完勝した。正に理想的な勝利だった。
 何が素晴らしかったと言えば、90分間落ち着いてボールを保持、僅かなりともオマーンがペースを掴む時間帯を許さず、冷徹に戦い抜いた事だ。
 後半、岡崎に変わって若手の代表格清武が起用された。野心あふれる若者だ、精力的に突破を狙ってくるものだと思ったら、どうしてどうして。清武は、強引な突破はほとんど見せず、落ち着いたボールキープに終始。長谷部や香川とボールを回し、オマーン守備時を引き出しておいて、後方から上がってくる酒井を使ったり、後半から前線に張る事が多かった本田に当ててみたり、しっかりと試合をクローズするのに貢献した。五輪代表でプレイしている時の清武は、無理な攻め急ぎが目立ち、後方から進出してくる酒井をうまく使えないなど、課題が多かった。けれども、この日の清武は、そう言った課題を一切感じさせない、とてもよいプレイを見せてくれた。結構な事だ。
 この若者に代表される落ち着いたプレイの継続。今の代表チームの質の高さを、すっかり堪能させてもらった。

 立ち上がりから、日本は岡崎のすり抜けと内田の精力的な押し上げで右サイドから押し込み、幾度かコーナキックを掴む。そして10分過ぎ、今野を起点に左サイドで前田と香川の崩しから、長友が抜け出し、フリーでよく腰を入れたクロス。ニアに抜けた岡崎を越えたボールは、ファーで待ち構えたフリーの本田に渡る。本田は冷静にミートしてゴールネットを揺らした。ここまで右からの攻撃を続け、突然に左からの攻め込みを見せたのが効果的だった。
 本田は、この手のシュートを冷静に丁寧にミートして狙うのを得意としているが、従来は得意としているのは狙うまでで、敵DFにブロックされる事がほとんどだった。しかし、この場面は見事に決めてくれた。すばらしい。
 リードした日本は、ほとんど無理をせずにボールを回す。時によい形でボールを奪えれば速攻を仕掛ける事もあった(たとえば先制直後に内田がバックライン裏にロブを上げ、香川が抜け出し枠を揺らした場面...オフサイドだったが)。しかし、ほとんどの場面では、スローテンポで無理をしないボール回し、それも同サイドでボールを回し、敵守備網を集めておいて逆サイドを使うやり方が多かった。
 そのため、オマーンはプレスのかけどころが定まらず、ほとんど速攻すら仕掛けられない。唯一危なかったのは、前半本田が足を滑らせてボールを奪われた場面くらいだったか。

 複数の報道筋が、「オマーンが比較的浅いラインを取ったのが不適切だった」と論評している。果たしてそうだろうか。今の日本に対してベタ引きすると、下手をすると長居競技場でのタジキスタン戦みたいな惨劇もあり得る。それより、この日のオマーンは、遠藤あるいは今野によくプレスをかけ、後方から精度の高いボールが入るのをよく警戒していたと思う。これはこれで合理的な守備ラインだった。
 数年前ならば、中東のチームが後方に引きこもって、単身のカウンタをかけると、日本の技巧的な中盤選手達はいわゆるフィジカルの差で吹き飛ばされる事が多かった。ところが、今の日本選手は、皆頑健だし、当たり方もうまい。後方を分厚く固めて縦を強引に狙うような攻撃は、今の日本にはほとんど有効機能するとはとても思えない。そう言う意味でも、オマーンの作戦は間違っていなかった。
 むしろ、香川、岡崎、本田の3人が揃って体調がよいと、「オマーンクラスの守備陣では守り切るのは相当難しい」と捉えるのが正しいのではないか。

 日本で一番不安視されていたのは、ガンバ移籍後すっかりおかしくなった感のある今野の調子だった。しかし、試合が始まってみると、今野は絶好調。敵のワントップのマークを麻也に任せ、自らは再三鋭い出足でオマーンの攻撃をつぶしてくれた。「やれるならば、万博でやってくれ!」と文句を言いたくなるガンバサポータは少なくなかったのでは?
 同様にガンバで今一歩の遠藤。こちらは予想通りこの試合にすっかり合わせて来ていた。本調子とは言えないまでも、あれだけさばいてくれれば合格点だろう。ただし、ミスパスも結構見受けられた。ただ、ミスを引っ掛けられても、オマーンの選手が飛び出す時間余裕がなく、ほとんど危ない状況にはならなかった。この一連の遠藤のミスパスだが、もしかしたら本人としては、オマーンが飛び出してない来ない事を読んで、きついコースを狙ったと言う事だったりして。このオッサンならば、そこまで考えそうにも思ってくるのですが。
 またブンデスリーガで随分と出番を失った事で心配された長谷部も無難な内容だった。上記のように、遠藤の代わりに長いボールを入れたり、前線に飛び出し鋭いスルーパスを狙うなど精力的な活動。ただ、残念ながら精度面の課題は残ったが。もっとも、長谷部がその課題を完璧に解決してくれたら、我々は冗談抜きにワールドカップ上位を狙えると言うものなのだが。

 まあ、初戦としては最高と言ってよい内容と結果だった。後はこの冷徹な試合を毎試合続ける事ができるかが課題だろう。期待して待ちたい。
posted by 武藤文雄 at 02:27| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やっぱりチームが悪いんや!
…ということが証明された試合でした…orz

サッカー未経験者なのでわからないのですが
守備陣の構築って難しいですかね?
ザックはいとも簡単にやってるように見えるので、
なぜいつまで経ってもザル守備なんだと(ry

話題違い、失礼しました。

オーストラリア×デンマークの試合を少し観ましたが
これは日本の三連勝もありそうだなぁと思いました。
Posted by ガンバサポです。 at 2012年06月05日 03:51
オマーン戦の講釈なのに、前田さんが一瞬しか出て来ないなんてっ!

ベガサポとして嫉妬されたのか、と思っておきます。
Posted by ジュビサポです at 2012年06月05日 20:40
次の記事に用意して下さっていたのですね。
ありがとうございました!

ブラジルで煌く前田さんを
今から楽しみにしています。
Posted by ジュビサポです at 2012年06月07日 20:12
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