2012年06月08日

埼玉ヨルダン戦前夜2012

 この予選ラウンドで戦う4チームの中で、監督が一番厄介そうなのヨルダンだ。
 ルグエン氏は、ワールドカップのカメルーン戦でも先日のオマーン戦でも妥当な策はとってくるものの、大きな変化をつけてきたり、当方がイヤだと思う事は、あまり仕掛けて来ない。オジェク氏が真っ当なサッカーをしてくるのは、皆が知っている事。また、2001年コンフェデのカナダ戦や、アジアカップの豪州戦など、オジェク氏率いるチームへの相性もよい。そして、ジーコはジーコだ。
 一方で、ヨルダンのハマド氏は、母国イラクをアテネ五輪4位に導いた実績を誇る。昨年のアジアカップでも、組織的なプレスを軸に位置取りの修正も細やかな守備、好機と見るや少々不正確でも複数選手が飛び出す速攻で、散々悩まされたのは記憶に新しい。厄介な監督である。
 ただし、幸運なのは、当方が一定の準備期間を持てた上、完全に中4日でホームで調整できたのに対し、先方は遠いホームから短期間での移動となった事だ。例のアジアカップは、当方選手の多くの体調は悪く、準備試合もできなかったため連携もまだまだだった。しかし、今回は体調面でも有利で、しかもアジアカップ序盤と比較して格段に連携も向上している。常識的に考えて、勝ち点3を獲得できる確率は相当高いだろう。
 
 現実的に今の日本の攻撃を止めるとしたらどうしたらよいか。
 ベタ引きをすると、1つ間違うと長居でのタジキスタン状態に陥る。後方を分厚くすれば守れるほど、サッカーは単純ではない。香川や憲剛の精度を持ってすれば、よほど後方にゴチャゴチャ人を集めても、その間隙を突ける。また、引き過ぎた瞬間に、本田、遠藤、長谷部らが強烈なミドルシュートを放つ。ゴール前の混戦のこぼれ球が、なぜか岡崎の前にこぼれる。もちろん、ヨルダンがチェルシーくらいタレントを揃えていれば別かもしれないが...
 ラインをある程度上げて守ろうとすると、先日のオマーンのような目にあう可能性が高い。オマーンの前線はよくプレスをかけ、特に遠藤から高精度のパスが出ないような守備をしていた。それにもかかわらず岡崎と香川の動き出しの早さは抜群で、幾度も裏を突いていた。これはこれで、相当難しい。
 古典的な方法だが、マンマークで一人一人を押さえ込み、いわゆるスイーパがカバーする戦法は一手段。しかし、これだと香川や岡崎が内側に絞るとタッチ沿いに広大なスペースができる。それは長友、内田(酒井、駒野も)の思う壷となる。また、80年代ならいざ知らず、現行の厳しいレフリング下で、どこまでマンマークで厳しく守れるかは、何とも難しい。
 そうなると、一番有効なのは、ラインを上げて浅い守備ラインをとり、香川のみを厳しくマンマークする手段ではないか。言わば、ブンデスリーガで細貝が香川を止めたイメージで。もっとも、細貝クラスのタレントがいなければ香川は止まらない。また、そのような変則守備網に対しては、本田の強引なキープ、岡崎の狡猾なすり抜け、憲剛の変化あふれるパスワークは非常に有効となるはずだ。

 まあ、そうこう考えれば、繰り返すが勝ち点3獲得の確率は相当高いだろう。
 むしろ、最大の注目は、オマーン戦でも必ずしもよい出来とは言えなかった、遠藤と長谷部のドイスボランチとなる。ここのバックアップには、ブンデスリーガで大活躍した細貝がおり、いつ起用しても心配はないレベルのプレイを見せてくれている。また東京の高橋もとてもよい選手で、将来が嘱望される(個人的にはこの選手、CBを使うとおもしろいと思うのだが)。
 とは言え、遠藤、長谷部は、南アフリカ大会以降のチームの大黒柱だった。豊富な経験は何にも代え難いはずだ。何となく、この2人、豪州戦に向けて段々と上げて行く魂胆なのではないかとも思うのだが、ヨルダン戦はどのようなプレイを見せてくれるか。

 オマーン戦のメンバ発表。感心したのは、ゴールキーパこそ西川と権田の2人が控えに入っていたが、フィールドプレイヤはピタリ各ポジションのバックアップになっていた事。内田に酒井、麻也に栗原、今野に伊野波、長友に駒野、遠藤に高橋、長谷部に細貝、岡崎に清武、本田に憲剛、香川に宮市、前田にハーフナー。何のかの言って、次第次第に選手層が厚くなって来ているのが嬉しい。そして、ヨルダン戦の先発は、(比較的保守的なザッケローニ氏の事だ)おそらくオマーン戦と同じになるのではないか。
 そう言う中で控え選手達がいかにアピールしてくるかも興味深い。特にオマーン戦の清武のように、やみくもに戦うのではなく、戦術的に成熟したプレイを見せてくれる選手が多いと嬉しいのだが。

 楽観的な予想を散々述べたが、だからと言って、ハマド氏のチームなのだから、油断は禁物。アジアカップの時のように、守備の甘さから先に失点すると、相当苦しくなるはずだ。慎重に慎重にボールを回しながら、失点リスクを最小にして、いかに戦えるか。
 オマーン戦同様、内容も充実して、しっかりと2点差以上で勝利する事を期待したい。 
posted by 武藤文雄 at 02:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック