2012年09月02日

プロレス勝ち

ベガルタはフロンターレに、苦しみ抜いて勝利。ユアテックで久々の勝ち点3獲得に成功、滅多にユアテック詣でをしない不良サポータは、幸運にも最高潮の雰囲気を堪能できる試合に遭遇した。

序盤からベガルタペースの展開。
フロンターレの前線からのチェックが甘いため、精度の高いボールがウィルソン、赤嶺に入り、攻勢をとることができた。しかし、敵中盤に隙が多いためか、難し過ぎるダイレクトパスや、ラストパスの1つ前の展開で狭いところを狙ってしまい、崩し切れない。
フロンターレは憲剛を中盤最後尾に置き、風間兄が憲剛の横、弟が前に配されトップに起用された山瀬と並ぶ。いわゆる中盤の「ボールを奪う」タレント、前線の「ボールを引き出す」タレントが不在の、実に大胆な布陣。守備を機能させるために、両翼の登里と大島がすばやく帰陣し、中盤4枚が網を張る。一方、攻撃は評判通り短いパスを回しヒタヒタと攻め込むのが狙い。
しかし、いくら素早く帰陣しても、能動的なボールを奪取とならないので、ベガルタは幾度も攻め込める。また、丁寧につないでも、上記両翼の2人の挙動開始点が相当後方な事もあり、ベガルタの組織守備を、そうは破れない。
これならば、「もう少し落ち着いて攻撃すれば大量点も期待できるのでは」と思っていたら、憲剛にやられた。
フロンターレ独特のパス回しで、ベガルタは左サイドに攻め込みを許す。そこにハッと気がついたら憲剛が進出、ほんの僅かな空間だったのだが、憲剛がドリブルで仕掛けてくる。思わずベガルタ守備陣の腰が引ける。すると、憲剛はチラリとルックアップし、さらに前進する振りから一拍止まって溜めを作った上で、独得の速い足の振りのキックで逆サイドにクス。ボールは飛び込んで来る登里にピタリ。溜められた事で、登里をマークしていた田村の足が止まってしまった。この前半、たった1回の憲剛の前線登場だった。恐れ入りました。何と言う神技。しかも、このプレイを我々ベガルタサポータの眼前でやられてしまった(言い換えると、反対側スタンドのフロンターレサポータの方々は、この神技を100%は堪能できなかった事になるのだが)。

後半も同じ展開が続く。ただし、前半の反省での修正だろうが、フロンターレにキープされると、赤嶺がしつこく憲剛にまとわりつく。これで、一層のベガルタペースとなる。
同点ゴールはCK崩れから。フロンターレ守備陣がはね返したボールを角田が強引なシュート、それを田村がヘッドで決めたもの。圧力をかけ続け「いつか崩せる」との雰囲気の時間帯だった。不思議だったのは、最初のクリアに合わせ、フロンターレ守備陣がラインを上げなかった事。おかげで田村はゴール前でまったくフリーで待つ事ができた。誰かは確認できなかったが、ゴールカバーに残り、田村をオフサイドに仕留め損ねた選手が手を上げてオフサイドをアピールしていたのは笑えたが。
決勝点は梁勇基の直接FK。同点で圧力を高め、あの場所でファウルを奪ったところで勝負ありだった。いわゆるペナルティエリア中央外の「アーク」のFK、味方を壁前に立たせGKをブラインドにしておいて、力を抜きサイドネットを正確に狙う、梁の鮮やかな芸術弾。

逆転以降は、フロンターレは小林、レナトを起用し、憲剛のロングパスから幾度も攻め込んでくる。ただし、フロンターレの中盤、特に風間兄は憲剛へのサポートの意識が少なく、憲剛は孤立無縁のプレイ、まるでアメリカンフットボールのクォーターバックみたいだった。いくら憲剛でも、これは厳しい。結果、許した決定機は、上本のミスを見逃さなかった小林の狡猾な脱け出しくらいだったか(林が目の覚めるような飛び出しで防いでくれた)。レナトにしても、小林にしても、頭から使ってくれば、随分効果的だったと思うが、文句を言う筋合いではない。
一方のベガルタは、前掛りに来た敵に対して、再三逆襲速攻で好機を掴みかけるが、崩し切れず。前半からよく動いていた赤嶺とウィルソンは、最後の最後までいやらしく後方を狙い続けたのだが、交代で起用された関口のサポートが今一歩だった。関口には、もう少し、いや、もっともっと、頑張ってもらわなければならないのだが。
まあ、とにかく、勝った。

押し込みながら、憲剛という超大物の神技で先制されてしまう。後半に入り、苦労を重ねて同点。さらに、たたみかけるように、当方の大エースの芸術で逆転。追加点を取れぬうちにミスから決定機を許すが、守護神が防ぐ。
とにかく疲れる試合だったが、興奮度という視点からは、最高の試合だったな。
もう少し、したたかに戦っていれば、大差での勝利の可能性もあった。不満を言えばキリがないが、私はこれでよいと思う。ここ2ヶ月、思うような内容で戦う事ができなかったベガルタとしては、駆け引きよりも、内容の充実を意識すべきだから。まだ駆け引きの時期ではない、レベルアップの時期なのだ。
いや、とっても、おもしろかったし。疲れたけど。

残り10試合、勝ち点勘定は、まだ早い。今はとにかく、内容の充実を。最高の高みを目指すために。
わかったか、関口。
posted by 武藤文雄 at 22:01| Comment(3) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>オフサイドに仕留め損ねた選手が手を上げてオフサイドをアピールしていたのは笑えたが

アレは僕が残ってましたと手を上げたんですよw
Posted by at 2012年09月02日 23:16
先行販売には手を出せなかったクラブW杯一回戦。いよいよチケット購入するかねえ。
Posted by yoshida at 2012年09月03日 12:39
朴は良かったですね〜今年のベガルタの最終結果は、朴がどれだけ良いコンディションで長い時間プレイできるか、が結構大きいような気がしています。
ある意味ベガルタらしい選手で大好きなんですが。
Posted by KOHJI at 2012年09月03日 23:51
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