2012年09月10日

女子ユース代表銅メダル

 五輪の男子4位、女子銀メダルの作文準備中なのですが、終わらぬうちに女子ワールドユースが終わってしまいました。3位決定戦当日は、少年団の練習やら諸事情で生観戦を諦めたのだが、よい試合だったので、ちょっと後悔しています。

 この3位決定戦については、猛暑中の試合にもかかわらず、ハーフタイムまでに2人を交代させなければならないスタメンを選んだ吉田弘氏の采配ミスが酷かった。少なくとも、ほぼポジションが固まって来たスイス戦以降を考えれば、スタメンに柴田がいない事そのものがあり得ないだろう。結果、70分あたりに藤田が負傷交代。その直後にGK池田のミスから失点し、ナイジェリアに押し込まれるが、既に交代カードを切り終わっていたため、もう監督がやれる事はない。それでも、苦しみながら選手達は粘り強く戦い、堂々と銅メダルを獲得してくれた。監督のミスを選手がカバーする試合の感動も、またよい。

 大会を通じての日本のMVPは柴田だ。素早く適切な方向の動き出し、巧みな身体の入れ方、プレイ選択の的確さ、崩しのアイデア、いずれも高水準。大会が進むにつれ、ボールの受け方が格段に上手くなり、能動的なドリブルは非常に効果的だった。間違いなく、この大会で最も成長したタレントだ。若い選手が適切な場を得れば伸びると言う典型例と言えるだろう。ナイジェリア戦の2点目を生んだあのダイナミックで振り幅の大きなジグザグドリブル、ドイツ戦で掴んだ斜めのドリブルからの決定機(最後長駆のために腰が回り切らなかったが、これはフィジカルをもう一段上げれば解決するはずだ、この大会単身でドイツ守備陣を崩しかけたのは、柴田1人だった!)。大会開始時は、前線の撹乱が役目だった柴田は、大会終盤はたった1人で局面を打開し決定機を演出するタレントに成長したのだ。今すぐA代表に入っても、色々な使い方ができそう。大野忍の後継者に名乗りをあげたと言ってよいだろう。おもしろいのは、柴田は西川が入ると、さらに冴えたプレイをしてくれた事だ。上記の2点目は典型だが、体幹が強く前線でよく動く西川は、柴田と相性がよいようだった。と言う事は、柴田は大儀見と相性がよいと言う事ではないか。

 西川は体幹も強くキープもうまいが、スイス戦と言い、ナイジェリア戦と言い、シュートのうまさが見事。大会後半から、西川をトップにした布陣の方が格段に安定感があった。大会序盤トップを任された道上は、大柄な体躯を期待されての抜擢だったのだろうが、西川と比較すると、1つ1つのプレイの確実さに随分差があったように思う。まずは常盤木で経験を積む事だろう。
 ナイジェリア戦で、何が嬉しかったと言うと、ドイツ戦で散々だった土光が、素晴らしいプレイを見せてくれた事だ。的確な読み、鋭い出足、ここぞと言う時のブロック。CBとしては、ちょっと小柄だが大変な素材だ。また、同様にドイツ戦で残念だった木下も、藤田に交代して入り上々のプレイ。それにしても、2人とも、あのひどいプレイしか見せられなかった準決勝からよく立ち直ってくれたものだ。このあたりは、吉田監督の手腕と言えるのかもしれない。
 高木と浜田はおもしろい選手だったな。高木は、韓国戦の失点時のような一本調子のタックルに課題があったが、センタバック、サイドバックをそれぞれ高い水準でこなす戦術能力、韓国戦3点目のアシストの長駆できる能力など、素材は確かだ。浜田は3位決定戦での強引な攻撃参加には笑った。まあ、勝ったからよかったけれどね。いわゆる槙野系の選手なのだろうか。まあ、女子にもこのような選手がいてよいのかもしれない。日本の女子としては貴重な170cmを越える大柄な体躯にも期待か。
 田中ミナと横山の両翼は、やや明暗を分けた。横山にしても、A代表の岩渕にしても、次々と本格ドリブラが登場するのは大変結構なのだが、2人共挙動開始点が定まらないと言うか、何か空回りになってしまう。この手のドリブラは、中盤と言うよりは最前線で使えば、効果的だが、課題はボールの受け方と言う事になるのだろう。一方で田中ミナは、守備もよくする、いかにも日本風のウィングで、韓国戦など大活躍だった。ただ、まだ筋力が足りないため、タッチ沿いからのクロスを上げられず、ドリブルの方向がどうしても内向きになってしまう(たとえば、近賀はタッチ沿いから鋭いクロスを上げられるが、よほどの鍛練の賜物なのだろう)。フィジカルがもう一段上がれば、ドリブルの方向も多様になり、大化けするのではないか。
 田中ヨーコだが、長所(あのシュート力、いやあのロングシュートはすごかった、釜本や久保を思い出したよ)と短所(ボールの奪われ方の悪さ、この短所は今後の努力で、いかようにも改善できるように思うが)が、ハッキリしている選手。また、彼女は実力は存分に発揮したが、どのポジションが最適か、最後までハッキリしなかった。まずは、レオネッサのような、選手層が分厚いチームの中で、どのくらい存在感を発揮できるかどうかか。また、JFAアカデミー否定論者の私としては、彼女のような成功例が出てくる事は、大変快感を味わえる事態だ。そう言う意味でも(それにしても、同アカデミー出身の田中ヨーコ、浜田の2人は、明確な長所短所を持っている、公的指導組織がこう言ったタレントを育成している事そのものが、愉快ではないか)。
 猶本は評価の分かれる選手だろう。よく動くし、中盤から突破のパスも出せる。守備も献身的だ。しかし、自陣での守備はいかにも軽いし、ドイツ戦、ナイジェリア戦でプレッシャがかかると、中盤からの長いパスは、ほとんど通らなかった。まずはプレッシャがかかったところで、あの魅力的な展開の長いパスを通すための、1つ前のプレイの工夫を身につければ、格段に機能する選手となるだろう。

 そう言う意味では、猶本と献身的な藤田との組み合わせは絶妙だった。現時点で、このチームでA代表に一番近いのは、柴田と藤田だと思う。1対1のしつこさ、常識的だがしっかりとボールを散らせる。ナイジェリア戦でポストに当たった攻撃でわかるように、敵のイヤなところに飛び込む判断も的確だ。ただ、藤田がA代表に定着するためには、阪口、田中と格段にフィジカルに優れた先輩と対抗しなければならない。もっとも視点を変えれば、この2人とは全く異なるプレイスタイルである利点を持つと言う事になる。必要なのは、得意分野をさらに極める事、さらなる運動量が必要だろう。目指せ明神、もとへ、目指せ酒井與恵。  

 すばらしい大会だった。
 そして、日本女子サッカーに次々と好素材が登場しているのも愉しめた。個人的な知り合いでもある吉田弘さんの、怪しげな采配に「オイオイ」と思いながら、彼の満面の笑顔を愉しんだ。いや、何より、彼女たちの笑顔が最高だった。いや、日本選手だけでなく、いずれの国の選手達の笑顔と涙も堪能させていただいた。
 改めて、サッカーの偉大さを再確認した3週間だった。
posted by 武藤文雄 at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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