2012年09月14日

立ち上がりを除けば完勝

 イラク戦、日本は立ち上がりにコーナキックから決定的なピンチを2回食らったが、以降は安定した試合を展開。先最小点差ながら、完勝と言ってよい試合だった。
 一方で、日本の完勝とは言っても、イラクはさすがアジア屈指の伝統国、特に技巧的には、中盤で互角のボールキープを見せてくれた事もあり、非常におもしろい試合となった。イラク代表、そしてジーコについては稿を改めて講釈を垂れたい。

 とにかくこの日の日本にとっては、立ち上がりに許してしまった、コーナキックからの2つの決定的ピンチが最も重要だろう。1本目は、遠藤爺の個人的なミス、いくら大老でも、あそこで先に触られてはいかん。後述するが、その後の遠藤のプレイは「さすが」と言うものだったが、あの最初の失態だけで、「今日の遠藤は×」と言うべきだと思う。2本目はチーム全体が集中を欠いたとしか言いようがない。ファーサイドでフリーでボレーキックを許すなど、あってはいけない失態だった。
 先制後に、イラクの逆襲速攻、ヤシン(と言う凄い名前のFWぬ)が麻也がウェイティングしている前から強引のシュートしてきて、川島が伸び切りのセービングで防ぐ場面があった。もちろん、こう言った場面も作られないように、攻撃から守備へのバランスを工夫する必要はあろう。しかし、それは簡単ではない課題だ。それに比べると、最初のコーナキック2発は、しっかりと集中し、几帳面に修正をしていれば防げたはず。
 不思議なのは、ほとんどの報道があの2発について大騒ぎしていない事だ。立ち上がり、若い敵チームがラッシュをかけてきた、(これも後述するが)中盤にだけ厳しいマークを仕掛ける奇策を行ってきた、そんな事はもちろん言い訳にならない。目指すものが、ブラジルでの上位進出(一部報道によると、本田や長友は「優勝」と口にしているらしいから、「上位進出」と語るのは彼らに失礼かもしれないが)である以上、このような細部を徹底して気にする必要があるのだが。

 遠藤、長谷部、本田の3人に、ジーコがマンマーク的な仕掛けをしてきたのには驚いた。確かにこの3人は今の日本の中核だ。しかし、サッカーと言う競技は同時に11人しかプレイできず、中盤の3人をあそこまで厳しくマークしてくれば、他に隙ができるのは自明の理。確かにこの奇策を受け、日本は立ち上がりは攻めあぐんだ。しかし、遠藤自身が落ち着いてマークを引き連れて最終ラインに引いたり、麻也や伊野波がサイドに展開する事(中盤選手にマンマークでつけば、その分他の選手へのプレスが甘くなるのは当然)で、次第に日本の前線によいボールが入るようになり、一方的な展開となる(映像で見る限り、ザッケローニ氏が麻也に再三ワーワー何か言っていたようだ、氏の指示が素早く適切だったのかもしれない)。
 さすがジーコで、日本が修正した後のカードは何もなかった。ボランチが強力なチームに対して、ボランチを押さえに行く事だけで守り切れるならば、世界中の監督の仕事は随分楽なものになるだろう。
 もちろん、日本とイラクの戦闘能力差は大きいから、最後に策がなくなるのは仕方がない。だから、この敗戦そのものは、ジーコの責任ではないが、ザッケローニ氏としては、「カードの切り合い」にもならなかったので、拍子抜けだっただろう。

 唯一の得点は、スローインから、岡崎が抜け出し、前田が決めたもの。報道によると、トレーニングでやっていた形らしいが、見事なものだった。向こう2年間で、いかにこのようなパタンを増やすかは、即興の重要性とは別に大切な事だ。

 日本にとっての課題は2点目を取り切れなかった事だ。
 運不運もある、たとえば本田のダイビングヘッドが敵GKの超ファインプレイに防がれた場面もあった。ただ、追加点が入らなかった一因に「本田の頑張り過ぎ」があったのではないかと思う。香川の突然の欠場が、この真面目な男に一層のプレッシャを与えたのかもしれないが。
 立ち上がりから敵の厳しいマンマークを食らいながらも、精力的にボールを引き出し、得意の強引なプレイでグリグリと敵陣に迫った。ところが、体調がよい岡崎も切れ切れでドタドタと敵陣に向かう。結果的に、2人でグリグリ、ドタドタと攻め込む事になり、何か攻撃が単調になってしまった。普段ならば、反対サイドから香川がヘラヘラと入ってくるので丁度よいのだが、清武ではテンポは落とせない(もちろん、清武自身のプレイは悪くなかったが、香川のようなスローダウンはまだ難しいと言う事)。岡崎はドタドタしかできないのだから、やはりここは本田がもっとテンポを落とすべきだった。
 さらに本田が得点に意欲的過ぎて、常に敵陣前に飛び込もうとするから、一番敵ネットを揺らすのがうまい岡崎が、敵陣から遠いところに位置取るようになったのも気になるところにだった。
 本田については、個人のプレイの質については、もうあまり問題のない域に来ていると思う。周りを使う事についても、局面局面での選択の質も十分高い。しかし、勝利の確率を少しでも高めるために周囲を考えながら、個人プレイを制御する必要があると思うのだ。大変贅沢な要求な事はわかっているのだが。

 ザッケローニ氏の采配にはいくつか疑問があった。リードしているのだから、安全を見たのもわからなくないが、攻守両面を考えても、もっと早く仕掛けてよかったのではないか。
 たとえば、2点差を狙うならば、もっと早く細貝を長谷部に代える事で中盤を活性化させる。清武、前田(2人とも好調で代えたくない気持ちは理解できたが、特に公式戦で清武をできるだけ長く使いたかったのだろう)に代えて、憲剛を入れてテンポを落とす。交代を使って、もっと変化をつけてよかったと思うのだが。
 一方、1点差を確実に守るならば、細貝や橋をもっと早く、せめて75分くらいには起用する手段もあったはず。特にその時間帯に入ったあたりでは、さすがに日本も中盤の疲弊が目立ち、ラインが深めになった。イラクがそれ以上に疲れていたので、問題は少なかったが、中盤の活性化は必要だった。憲剛を守備のために、中盤の前の方に入れるのも一案だった(香川が突然欠場したので、前線の交代要員が薄かったのも確かだが、原口に丁寧に守備的なシゴトを指示して起用してもよいと思ったのだが)。75分以降は、日本の勝ちはほぼ見えていたのは確かだ。しかし、99%を99.9%にする細やかさはあってよいと思うのだが。
 また長谷部の使い方は永遠の議論になりそう。とにかく試合から遠ざかっているためか、明らかにパフォーマンスは落ちている。細貝を主に使ってもよいと思うし、その方が長谷部自身にも刺激になるのではないか(それにしても、長谷部がチームを替えないのは疑問。レッズ復帰と言う選択肢など、とても有効に思ったのだが、もっともベガルタサポータとしては、「そうならなくてよかった」と思っているのを否定しませんが)。

 今回の予選は、最初の4試合でホーム3試合と言う変速日程だったが、ここまで無事勝点10を積み上げるのに成功。まあ順調と言ってよいだろう。
 ほぼメンバが固定された感の現場ゆえ、なおさら若い選手がスタメンに割って入ってこないかと思う。本当にワールドカップでベスト4(いや優勝だったか)を狙おうとするならば、もっともっとチームに刺激が欲しいからだ。それにしても贅沢だな。
posted by 武藤文雄 at 09:08| Comment(1) | TrackBack(1) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジーコが無策で無かったことが試合を格段に味のあるものにしてくれましたね。
マンマークされながらの振る舞いに本田の質の高さを改めて感じました。
ジーコが絡むと講釈師殿の講釈は一層面白いので楽しませていただいてます。

ところでヤシン(?)をウェイティングデフェンスしたのはマヤでなく駒野では?
あの場面はドイツでのアロイージを思い出しました。
余談ながらアロイージに抜かれた際は駒野は脚がつったそうです。(最近の元川女史のスポナビコラムより。)

長文失礼しました!また楽しみにしてます!
Posted by 黄金世代 at 2012年09月14日 12:25
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Tracked: 2012-10-08 03:09