2012年10月23日

ここは素直に喜んで

 ベガルタは3位レッズを何とかユアテックで振り切り、勝ち点差を6とする事に成功した。しかも、首位サンフレッチェが苦杯を喫し、勝ち点で並ぶ事ができた。まずは素直に喜びたい(と言うか、すっかり遅くなったので、「ここ丸2日喜び続けている」が正しい日本語ですね)。
 しかし、冷静に考えると、悪い情報も多い。残り5試合いよいよ終盤戦となったところで、大黒柱の角田が2試合出場停止、守備の要の上本の負傷も深刻との事。ホームゲームも2試合しか残していないのも苦しい。まあ、悲観的に考えるのは得意のところなのだが。まあここは、むしろ4位(サンフレッチェに劇的に勝ったレイソルが上がって来た)と勝ち点9差がつき、ACL出場が現実的なものとなってきたと前向きに考えるか。

 さて、レッズ戦を振り返ろう。
 キックオフ直後、レッズのオフサイドどで得た自陣からのフリーキック。林が蹴ったロングボール、赤嶺が競りうまく流したところを梁が巧みなキープから好センタリング、そのボールをさらに拾い連続攻撃を仕掛ける。このあたりの押し込みは、今期のベガルタが最も得意とするところだ。そして、その流れから、太田とウィルソンで右サイドを崩し、マークの坪井を完全に出し抜いて背後に回った赤嶺がフリーで見事となヘディングを決めた。
 最初の場面。赤嶺をマークしていた坪井と梁を見ていた平川が、非常に淡白な試合の入りをしたのがとても不思議だった。2人ともベテランだけに、プレッシャで動きが固かったとも思えないのだが。また、ベガルタが立ち上がりに強引にラッシュをかけた訳でもなく、1回うまく攻め込めたので、富田を中心にラインを上げて、一気に押し込んだだけの事。何か偶然が重なっての序盤の猛攻の成功、ここは素直に幸運だったと喜ぶべきだろう。
 先制すれば、ベガルタはまず守備を固めるところから試合に入れる。ワントップのポポは、ベガルタ守備陣の裏を狙うが、角田と富田がレッズMFに厳しいプレスをかけ、ほとんどの突破をオフサイドに仕留める。ただし、レッズの2シャドーの柏木とマルシオ・リシャルデスは強力で相当厳しいマークが必要だから、どうしてもベガルタの4DFは中に絞る。すると、両翼は比較的空くから、そこにサイドチェンジを通されるのが一番イヤな状況。ところが、不思議な事に長いボールの強さと精度が抜群の阿部が最終ラインに入っているので(左右のセンタバックの槙野と坪井が前進し、阿部と永田がベガルタの2トップを見張ってくる布陣)、そのような場面はほとんどなかった(とは言え、一度だけ阿部が平川に通したサイドチェンジは、惚れ惚れするほど美しかったな、怖かった)。
 そうやって安定した守備陣から、上記した坪井と槙野の裏を狙い、幾度か逆襲速攻を成功させかけ、ベガルタとしては非常によい展開で、前半を終了した。

 ハーフタイムには、「非常に流れがよい前半をだった、これは後半ドヒャーンとなった先日のエスパルス戦を思い出す」と友人に語り、叱られたが。
 後半に入ると、当然のようにレッズが圧力を高めてくる。「まずこれをどう我慢するか」と見ていたが、見事な逆襲速攻をから突き放す事とに成功した。前掛かりのレッズからうまくボールを刈り取り、梁、ウィルソン、太田の3人で3対3を作る事に成功。梁がバイタルまでドリブルで持ち上がると、左やや前方でウィルソンが、右後方から太田が進出。(たぶん)永田がウィルソンをオフサイドに仕掛けようと前進した瞬間に、太田が抜け出そうとしたためマークしていた阿部が後方に下がり、結果ウィルソンは全くのフリーでオンサイドポジションに。梁のパスを受けたウィルソンは冷静に決めた。3人の連係の充実が生んだ得点だった。
 直後、さらに圧力を高めてきたレッズ。冷静にいなしたいところだったが、(おそらく)阿部の強い縦パスを入れ、(記憶では)マルシオ・リシャルデスが巧みに流したボールを、飛び出した槙野に決められた。まあ、あれだけのタレントが揃ったチームが強引に仕掛けてくると、耐えられないのもやむを得ない所もあるのだが、ここは引き過ぎてはいけなかった。
 ただ、この1点でベガルタは落ち着き直す。そして、手倉森氏は中原を投入するが、これがズバリ当たる。田村が右サイド深くから入れたロビングを中原が見事なヘディングで流し、ウィルソンが再び2点差とする得点を決めてくれた。ここまで田村は、再三無意味なアーリークロスでレッズにボールを渡していたが、この場面はレッズの守備ラインは人数が足りなかったのでうまくいった。
 もちろんレッズは諦めない。再三揺さぶられ、危ない場面を作られる。そして、コーナキックからファーサイドのマルシオ・リシャルデスをフリーにしてしまい、また1点差に。その後、マルシオ・リシャルデスが完全にフリーになってのシュートを林が超美技で防ぐなどもあり、ヒヤヒヤものだったが、何とか逃げ切った。

 終わって見れば、開始早々の攻防が明暗を分ける試合だった。あそこで先制できた事で、前半は落ち着いて守備を固める事ができたし、後半は的確に逆襲を成功させられた。死にもの狂いのレッズの猛攻はやはりおそろしいもので、終盤ははね返すのがやっとだった。あの先制弾がなければどうなった事か。繰り返すが、ここは素直に喜んでおこう。
 冒頭にも述べたが、残り5試合。まだ何も掴んでいないし、何が起こるかもわからない。今は、愚直に真面目に必死に、しかし敵を崩すために頭を働かせて変化を工夫しながら、戦い続ける事だけだ。幸いな事に、それを継続すれば、どんな相手からも、結構な確率で勝ち点3を獲得できる事だけはわかっている。これをあと5試合繰り返すのだ。先は長いけれど。
posted by 武藤文雄 at 01:20| Comment(3) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
珍しく誤字が多いエントリに武藤さんのコーフンっぷりが透けて見えますw
Posted by at 2012年10月23日 10:43
まあどこかで角田は二試合喰らうだろうなとは半ば諦めてましたが、その二試合が、
@ここ二ヶ月で一勝しかしてない目下絶不調中の野戦病院磐田
Aいまいち内容が安定しないナビスコ決勝から中3日の鹿島
なのはある意味ラッキー…両方とも難敵では有るんですが、
@目下絶好調クルピセレッソ
A残留かけた大一番化してそうな新潟
B変なやる気出しそうな東京

に比べたら…とくに終盤戦のセレッソ、新潟戦はドロー臭がハンパない訳で…
Posted by at 2012年10月24日 04:00
249 :名無し for all, all for 名無し:2012/10/24(水) 15:25:04.99 ID:S/Dania0
「早慶あっての大学ラグビー」の弊害
http://www.zakzak.co.jp/sports/etc_sports/news/20121023/spo1210230712000-n1.htm

党首?@augustoparty
こういう「有りがちだけど的外れなロジック」をどう克服するか。現に帝筑明に一番手の人材は集まっていて、
帝京の日程も固定化されて、「早慶の弊害」なんて無いと思うんです。

党首?@augustoparty
日本ラグビーは老害が、早慶明の派閥が、みたいな理解は極めて根強い。日本サッカー協会もある時期まで
「早稲田閥」とか言われましたが。JRFUは相応の手を振るっていると思うし、学閥支配があるとすれば一番強い
のは筑波で、大学ラグビーは早慶明でなく帝京の天下だ。状況は変化している。

党首?@augustoparty
日本ラグビー協会はタグラグビーの普及、育成年代の体系的強化、トップリーグの発足と、様々な施策をやっている。
W杯だって招致した。競技団体としては見上げた経営力だと思う。問題はそれでも競技レベル、動員の改善がないことだ。


250 :名無し for all, all for 名無し:2012/10/24(水) 21:05:51.97 ID:7n9PH0Nu
>>249
この党首って人も分かってないな
ランドマークとして早慶明が存在することが弊害なのに・・・
Posted by at 2012年10月24日 23:39
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