2012年10月29日

忘れたいが、忘れてはいけない過去2012

 また今年もこの日がやってきた。昨年は海外出張などで目が回るような忙しさで、この大事な日なのに、何も書く事ができなかったと反省しつつ。

 あれから、3.5ワールドカップが経過した。あっと言う間だった。
 先週末、楢崎正剛はアディショナルタイムに絶望的な表情をする事になった(よりによって、マリノスの象徴的存在中村俊輔の魔術によるものだった)。吉田孝行は、あろう事か開始早々に不運な負傷で退場した。そして。先日日本代表出場記録でトップとなった遠藤保仁は「今期のベストゴール」と言えるような芸術的得点を決めた。14年の年月を経て熟成した彼らは、今なお日本サッカーを支えてくれている。

 J1昇格争いはいよいよ佳境。消滅の年のフランスワールドカップでフル出場し、フリューゲルスで腕章を巻いていた山口素弘。シーズン途中、非常に難しい状況で、横浜FCの指揮を引き受け、あと一歩でJ1昇格までこぎつけている。もし、今期の昇格に成功すれば、山口氏は選手時代と監督時代、横浜FCの2度のJ1昇格に貢献する事になる。
 ただし、以前も述べたが、私は横浜FCと言うクラブは、「ある意味において明確にフリューゲルスと言うクラブの後継クラブ」と言わざるを得ないと思っている。横浜FCは、横浜フリューゲルスではない。だから、山口氏の奮闘を、あまり大げさに採り上げるのは不適切かもしれない。
 しかし、こちらで述べられているように、山口氏にとって、横浜FCと言うクラブは特別なものなのだろう。それはそれで、尊重されるべきである。

 すべては歴史である。

 今期、J2はとうとう、下位リーグに落ちるチームが出る事になった。また、昇格方式も変更され、3位から6位までのプレイオフをとり入れた。それによる死闘の連続、これは日本サッカーの発展と言える。
 今思うと、この悲劇の年の翌年(あるいはフリューゲルスが元日に消滅した99年と呼ぶのが適切か)から、Jリーグは2部制となった。だいたい、その1期前の97年シーズンは、あのワールドカップ最終予選とJリーグが平行開催されていたのだ(代表選手抜きでリーグ戦が行われた、2部落ちがないからこそ、可能だった芸当だ)。今では考えられない措置だった。当時を思うと、いかに「今」がすばらしい事か。
 
 今なお痛恨時だが、フリューゲルスの消滅は、「サッカーを理解しない」企業の論理を、「サッカー側」が誤って認めてしまった事態だった。あの悲劇を経験しながら、我々はたった3.5ワールドカップ、14年でリーグをここまで発展させてきた。もちろん、まだまだやらなければならない事は無数にある。ゴールがいつどこにあるかはわからない。でも、我々は淡々と愚直に、この国のサッカーを発展させて行く。ワールドカップ優勝を目指して。
 あの悲劇はもう取り返せない。しかし、あの痛恨の失敗を忘れてはいけない。未来の栄光を目指すために、悲劇を繰り返さないためにも。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(4) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このしつこさは「水に流す」ことを美徳とする日本人の価値観ではなく、日本人離れしている。
Posted by at 2012年10月31日 01:26
毎年この時期になると、「忘れたい過去」を思い出し、切なくなります。

先週は万博を訪れました。「井原越え」の花束を受け取った遠藤が腕章を(明神に代わって)巻き、あの芸術的な得点。
我々が遠藤という宝物を得た幸福を喜ぶとともに、あのような悲劇を繰り返してはならないと、改めて思います。
Posted by TARO at 2012年11月01日 07:25
「水に流す」ような寛容さというか感情論の話ではなく、備忘的な教訓の話ではないでしょうか?
勿論本文中の懐古的部分は楽しませてもらいましたが…
横浜FCのファンの中にも当時を知らない人がたくさんいます。山口監督以下今は完全に新しい挑戦をしているところです。
とりあげて頂きありがとうございました。
Posted by at 2012年11月01日 08:59
企業スポーツというだけで目くじらを立てる自称スポーツライター氏は、あまりこの件に拘泥していないようだ。
むしろ、これを契機にJリーグと各クラブは経営基盤の見直しに取り組んだという流れになっている。
川淵さんが決めたことだから「きれいな裁定」ということなのか(爆)
Posted by at 2012年11月01日 11:21
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック