2012年11月24日

森島康仁と田坂和昭氏

 終始押し気味に試合を進めるジェフ。時計は85分を刻んだ。このまま試合を終えれば、ジェフのJ1昇格が決まる。ここで木山氏は動いた。ここまで、幾度となく好機を演出し、右サイドで攻撃の起点となっていた米倉に代えてストライカの荒田を起用したのだ。木山氏は、「この難しい試合、点をとって勝ってJ1昇格する」と決断したのだろう。
 その直後だった。ハーフウェイラインをちょっと越えたあたりでボールを受けたトリニータ森島。無骨だが丁寧なボール扱いから、ちょっと浮かせた高精度の縦パスを入れる。終盤、何とか得点をとろうとラインを押し上げていたジェフの最終ライン、この場面森島へのプレスが全くかからず、見事な動き出しを見せた林に完全に置いていかれてしまった。林は冷静にロブで、GK岡本を破った。

 試合開始前のメンバ発表を見ていて改めて思ったが、ジェフのメンバは経験豊富な選手が多く、しかも色々なタイプがいる。たとえば、最前線の控えには、深井、荒田、そしてオーロイ。J1でも、これだけ分厚い選手層を持つチームは少ないのではないか。
 実際メンバの能力の総計は、明らかにジェフがトリニータを上回っていた。ただし、トリニータは、森島と言う傑出した選手を抱え、田坂監督は、その森島のよさを前面に押し出したサッカーを狙っていた。
 森島は最前線ではなくトップ下に位置取り、ボールサイドでボールを受けるや、逆サイドや前線に精度の高いボールを送り出し攻撃の起点となっていた。
 おもしろいのはコーナキック。森島は空中戦の強さを活かすのではなく、ショートコーナを受ける位置につく。そして、ペナルティエリア横でボールを受けるや、強引にミドルシュートを狙いに行く。
 もちろん、森島は勝負どころでは、ゴール前に登場する。70分頃だったか、DF2人にブロックされながら森島が左足で放った低い弾道の一撃はGK岡本を破ったが、僅かにポスト外を外れた。
 褒め過ぎだよ。外見も全然格好よくないよ。でも、広域に動いて攻撃の起点となり、フィニッシュに絡む。クライフじゃん。だから、森島はもっと励め。ミスの後、天を仰いだりせず、すぐ次のプレイに移れ。

 しかし、試合を終始支配し、好機を多数作ったのはジェフだった。オーソドックスな4-2-3-1。山口智と竹内の堅実なCBに、佐藤勇人と佐藤健太郎のドイスボランチがブロックを作り、両翼の谷澤と米倉を走らせる。トップ下の兵働がサポートして数的優位を作り、サイドから崩しにかける。
 トリニータの右CBの土岐田は非常に不安定な守備、谷澤と兵働はおもしろいように、そこを突き、幾度も好機を作るのに成功した。それを、阪田と安川が見事なカバーリングではね返す。しかし、そのため左CBの安川が中に絞るため、そちらのオープンをジェフは右サイドから米倉と高橋峻希が執拗に狙う。それでも、GK丹野が幾度もファインセーブで防ぐ。
 試合が終盤に近づくにつれ、ジェフの木山監督は非常に難しい選択を迫られる事になった。成り行きで進めば、得点を奪える可能性は低くなかった。例えば、75分過ぎ、米倉(だと思った)をファウルで止めた安川のプレイは警告止まりだったが、退場になってもおかしくなかった。
 しかし、上記の通り、森島を軸にした速攻は常に脅威だったし、終盤いつかはトリニータが無理攻めに来るのも間違いなかった。守備を固めて試合をクローズさせようとすべきか、攻勢を継続すべきか。実際、田坂氏は84分にDFの土岐田に代えて、トリニータの象徴とも言うべきベテランストライカの高松を投入。終盤の攻勢を狙っているのは明らかだった。
 木山氏は荒田を入れて、圧力を高める決断をした。しかし、その交代策が有効化する前に…

 アディショナルタイムは5分。ジェフはオーロイを起用、山口智も上がり、パワープレイに活路を見い出そうとしたが、ほとんど決定機はつかめなかった。オーロイが加わって2年、もう少しパワープレイの連係が成熟していてもよいように思えたのだが。

 野次馬として、すばらしい3試合を愉しめた事に感謝したい。
 しかも、それだけではなかった。このプレイオフ。日本サッカー界は森島康仁と言うトップストライカ候補と、田坂和昭氏と言う名将候補を獲得できたのだ。
posted by 武藤文雄 at 00:23| Comment(5) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今年の森島を見て「J2でやってる選手じゃねーな」と思っていたので来期J1でできるのは良かったですね。
Posted by at 2012年11月24日 02:32
田坂さんの手によって
森島や前俊のように才能だけでやってた連中が
人間力を上げてもらったことが一番大きいです。

今は困りますが、田坂さんにはいずれ
オリンピック代表チームを任せても
面白いかもしれません。

今回短期決戦を別物と捉えてたのは
木山氏でも、大木氏でもなく
我が軍の田坂監督だけだったのですから。

トリ側での応援に感謝します(笑)
Posted by ふるたけ at 2012年11月24日 11:24
武藤氏も(後藤氏もだ)、かつての恋人へが昇格を逃したことへの感慨はないのだな。
Posted by あんなゴミみたいなチーム(笑) at 2012年11月25日 11:47
オーロイに関して言えば、昨シーズンは怪我で大半を棒に振り、今シーズンに関しては木山さんが監督になってチーム戦術も変わってしまって、オーロイはあまり戦力に考えてはいなかったような・・・。

パワープレーでオーロイをちゃんと計算に入れたのは終盤戦だけなので、成熟度なんて上がっていないのも当然です。


Posted by Koichi at 2012年11月25日 20:25
>だから、森島はもっと励め。ミスの後、天を仰いだりせず、すぐ次のプレイに移れ。
本当に彼にあと求めるのはそういうところだと思います。
先々シーズン、インプレー中に頭を抱えて敵GKのファンブルに詰められなかった時は首を締めてやろうかと思いました。。
Posted by げる at 2013年01月12日 00:36
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