2006年12月04日

4級審判講習会2006(下)

 昨日書いたように、審判資格更新のためには、ペーパーテストに合格しなければならない。もっとも、直前の講習会で先生が強調する事をおさらいしておけば、後はサッカーにおける一般常識で解ける問題ばかり。特に緊張するほどの事でもない。

 ところが、問題を解きながら、ごくごく基本的なところで悩み始めてしまったのだ。それはスローイン時の足の位置。ご承知のように
両足ともその一部をタッチライン上またはタッチラインの外のグラウンドにつけている(第15条より)
と、ルールで規定されている。したがって、極端な話、両足のかかとのあたりが、ラインに少しでもかかっていれば問題ない事になる。この事自体は昔からわかり切っている事だ。

 では何を悩み始めたか。それはボールをラインを割ったか否かの基準を定めたルールと、スローイン時の足を定めたルールの微妙な考え方の違いについてだ。

 ボールがラインを割ったかどうかのルールも、ご承知の通りアウトオブプレイになるのは
地上、空中を問わず、ボールがゴールラインまたはタッチラインを完全に越えた(第9条より)
と明確に規定されている。これは得点の場合も全く同じで、
両ゴールポストの間とクロスバーの下でボールの全体が完全にゴールラインを超えたとき得点となる(第10条より)
と規定されている。このアウトオブプレイと得点それぞれもケースのルールにおける考え方を意訳すると、「ラインの外側の縁までがフィールド内」と言う事になる。実際、フィールドのマーキングについては
エリアの境界線を示すラインはそのエリアの一部である(第1条より)
と規定されているので、公式試合のフィールドの大きさである105m×68mと言うのは、ラインの外寸の寸法になると理解していいのだろう。



 これって、冷静に考えると、何か矛盾していると思いませんか?



 上記したスローインの時は「両足がいずれもラインを踏んでいればよい」と言う事は、言い換えると「(ラインさえ踏んでいれば)両足がフィールド内にあっても構わない」と解釈できるのだ。つまり、スローインの投げる場所は、フィールドの外、内とは関係ないと言う事になる。さらに言えば、ラインの太さは
すべてのライン幅は12cmを超えてはならない(第1条より)
と規定されている(公式戦では12cmが奨励されている)。つまり、スローインは、「フィールドに『ほんのちょっとだけ』入ったところで投げてよい」と言う規定なのだ。

 もし、スローインの時のルールが「両足ともその一部がラインの外のグランドについている事」だけだったら、少なくともアウトオブプレイの概念とはそう矛盾はない。「両足の一部がフィールド外に出ていなければならない」と言い換えられるからだ。



 誤解されては困るが、だからと言って「スローインのルールを変えろ」などと語ろうと思っている訳ではない。このような「いい加減さ」が、サッカーのルールのいい所だと思うし。いや、むしろ、最近のオフサイドや退場に関する一連のルールの改悪は、このような「いい加減さ」を無理に減らそうとしている事によるのではないかと思っているくらいだから。

 ただ、歴史的な経緯には興味がそそられる。もしかしたら、このスローイン時の足の位置を定めたルールと、ボールがアウトオブプレイになるルールは、別な過程で成立してきたものなのかもしれないなどと考えるのは、また愉しいではないか。
posted by 武藤文雄 at 23:41| Comment(3) | TrackBack(0) | サッカー一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今回はいつもにもまして武藤節炸裂ですね。この意見に正しくレスできる人は後藤御大だけのような気がするのは俺だけですか?<br />
<br />
>ただ、歴史的な経緯には興味がそそられる。<br />
最近の若いサッカーファンは絶対にこんなことには興味そそられないと思います。(笑)
Posted by ロビン at 2006年12月06日 00:39
中村敏雄氏の「メンバーチェンジの思想」(平凡社、ISBN458276073)の第4章「ラインの周辺」が歴史的経緯の参考になるかと。直接的な答えではありませんが、19世紀には「ライン」というものが現在見られるような明確な線ではなかったようです。<br />
<br />
パブリックスクールのフットボールでは下級生を一列に並べてボールが列の中に飛び込んだら即座に選手に投げ返す……といった風に行われていたわけで(もちろん、学校によって違ったのでしょうが)、下級生の列の代わりに石灰の線を引いたのなら、「ラインを踏んづけて投げ入れる」となるのは自然な気がします。むしろ、下級生の列はゲームフィールドの外ですから、「ラインは外」と解釈するほうが自然(現にラグビーはそうなっている)なわけで、「ラインは内」になった経緯が不思議ですね。別の学校のルールから来たのかな?<br />
<br />
ラグビーのほうでは「フィールドオブプレーに足を踏み入れてはならない」と厳格に定められています。<br />
http://www.rugbyjapan.jp/laws/laws_of_the_game/021.html<br />
サッカーには原初フットボールの曖昧さが残っているとも言えるのでしょうか。
Posted by masuda at 2006年12月06日 18:33
いつも楽しく拝見させて頂いております。<br />
<br />
個人的に、この辺はラグビーなど他のフットボールのルールの名残だと思います。<br />
我々がアシスタントをしている時も、ボールを離した場所がラインの外側かどうかは余り気にしたことがありません。<br />
<br />
所がフットサルはライン上にボールを置くようルールブックに明記されているんですよね。(ボールが動いた時点でインプレーになるので、当然なのですが。)<br />
機会があれば、今年から就任された審判委員長(M氏)に尋ねてみようかと思います。
Posted by 関西の2級審判 at 2006年12月06日 23:53
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック