私の愛知県在住の友人は、今でも77年シーズン終了後のトヨタ−読売の入替戦について懐かしそうに自慢してくれる。70年代半ばJSLの1部と2部の入替は、自動ではなく、全て入替戦によるものだった、そしてJSL2部の強豪読売クラブは74年から3年連続で入替戦敗退で昇格失敗を繰り返した。一方トヨタは74年シーズンから、常にJSL1部で圧倒的弱さで毎シーズン最下位を独走し続けたが、3年連続で入替戦だけは勝ち1部残留を繰り返した。そしてついに77年シーズン、読売は4度目の挑戦でトヨタに完勝し、1部昇格を決めた。まあ、グランパス−ヴェルディも、そのような因縁をアタマの片隅に入れて観ると面白いかもしれない、もっとも次にリーグ戦でこの両クラブが戦う事が、いつ訪れるのかは疑問なのだが。
ともあれ、アビスパ−ヴィッセル。
各方面で話題になっているが、監督の入れ替わり現象が起こってしまっているのが興味を引かれるのは確か。しかも、お互いに相手がクビになった後のチームを引き継いでいる経験があると言うのだからややこしい。加えて、この2人の監督のスタイルが対照的なのだから面白い。
現在ヴィッセルを率いる松田氏は、組織的なサッカーを好む。これは氏の出身クラブであるサンフレッチェ(あるいは前身の東洋工業)の伝統を引き継いでいると言えよう。さらに松田氏は、現役末期(と言うかコーチみならい時代と言うか)に、バクスター氏の「ディシプリン」指導を綿密に受けているだけに、正に「組織」派の指導者の典型と言えよう。
一方の川勝氏は、選手個々の判断力をベースにチームを組もうとする。守備を重視するのは確かだが、チームの作り方が根本的に異なる。これまた氏の出身クラブであるヴェルディ(こちらは明確に前身の読売クラブと言う方がよいな)の伝統を引き継いでいると言えよう。いや、選手川勝自体が、読売クラブの伝統と言うかチームカラーの構築に一役買っている部分もあるしな。川勝氏の指導力には(アビスパのサポータを中心に)疑問を投げかける向きも多いが、少なくとも99年後期、00年前期は、当時戦闘能力に恵まれているとは言えないヴィッセルをリーグ中位にまで引き上げた実績は中々のものだと思う。また、今シーズンのアビスパにしても、ある程度戦力を把握した後にそれなりに立て直して、自動降格から入替戦にこぎつけた事は評価されてよい(まあ、どう考えても松田氏のままで戦っていた方が格段にマシだったと思うが、これは川勝氏の問題ではなく、アビスパフロントの問題だ)。
かくも指向が対照的で、因縁ある2人の対決と言うのは、やはり面白い。
また、面白いのは両軍の精神状態。通常は1部入りを目指す方が「よし入替戦に出られる!これで1部昇格だ!」と盛り上がり、残留を目指すほうが「う〜ん、入替戦になっちゃった、いやだなあ」と言う心理になりがちなのだが、今回は逆。アビスパは下位3チームの混戦を抜け出した感があるので、「よし入替戦に出られる!」と前向きで、ヴィッセルは上位3チームの混戦を抜け出し損ねたので、「う〜ん、入替戦になっちゃった」と後ろ向き。ちょっと奇妙な精神状態になっているのではないか。
いずれにしても、90分ハーフの厳しい試合となるだろう。お互い、守備をベースにしたチームだけに、慎重につぶし合いが続く陰惨な180分。ここまで厳しい戦いを1年間戦い抜いてきた両チーム、お互い粘り合って、勝負は2試合目の終盤までもつれるのではないか。そして、本当の終盤、根負けした方か、スターが「スーパー」なプレイをした方が歓喜するように思えてならない。と言う事で、大変陳腐だが、アビスパは飯尾とホベルト、ヴィッセルは三浦淳と朴あたりがカギになると思う。三浦淳が出場停止の初戦を、ヴィッセルがどう捉えるか。「(ホームではあるが)エースが休養できて後半90分に全てを賭けられる」と割り切る事ができるかどうかが、大きなポイントになるように思える。
少々の悔しさを思いながら、野次馬として両軍の陰惨な戦いを堪能したい。
反町監督、武藤さんの言った通りになっちゃってますねえ。これからどうなっていくんでしょうか。
こうなるとアウェーゴールが勝負の綾になりそうですが福岡がどういう試合の入り方をするのか興味深いです。
第二戦を前にした報道をみると、「1−1以上の引き分けで良い神戸がわずかにリード。しかし川勝氏はホームのアドバンテージを強調し、士気高揚を図る」といった図式が一般的のようですね。現状では私もそうなのではないかと思います。<br />
もっとも、ホーム&アウェイの格差が南米や欧州ほど大きくないと(私だけかもしれないが)思われていたJでも、今季の成績を調べてみると「アウェイの方が勝ち点を取れている」というチームは大分、千葉、愛媛だけなのですね。<br />
そろそろ始まりますが、来季のわがベガルタのお相手はどちらになるのか・・・。