2006年11月11日

マリノスの悩み

 レイソルがヴィッセルに競り勝ってしまった。ここは、ベガルタは残り4試合を全勝し、レイソルが4連敗すれば、逆転できる可能性が残ったと前向きに捉えるばかりだろう。少年団の都合で、次節のレイソルとの直接対決を見に行くのが難しそうなのが悩みなのだが。え、サガン?まあ、それはそれとして。



 天上界の優勝争いだが、ガンバとフロンターレが敗れ、またレッズが圧倒的な優位に立ってしまった。ガンバは播戸の負傷が痛かったようだ、このような時こそフェルナンジーニョが必要なのだと思うのだが。そしてフロンターレは信じ難い逆転負け、2人退場が出た上で逆転されたようだが、何が起こったのだろうか。



 一方のレッズは、見事な試合でマリノスを打ち破った。

 マリノスとしても、ここでレッズを叩く事を相当意識したのだろう、共に守備を固める激しい試合となった。前半半ば過ぎから、お互い簡単には点が入りそうにない展開となる。ところが、レッズはマリノスの一瞬の隙を突いて先制する。マリノスから見て左サイドのスローイン、ドゥトラ?が入れたボールを啓太(多分)が鋭い出足でヘディングでカット、浮いたボールを受けた永井がそのままボレーで前線にフィード、ポンテが見事な動き出しでそのボールを受け縦に抜け出しグラウンダのセンタリング、フリーで飛び込んだ山田が冷静に決めた。永井がボールを浮かそうとした時に、「抜け出せる可能性」に賭けて動き出したポンテを褒めるしかない得点。ただ、ポンテについてたのは松田だっただけに「抜け出される危険性」を読んで欲しかったのだが。この微妙な差は、「優勝争い」の有無だったのかもしれないが。

 その後も互角に近い攻防だが、マリノスは好機を作れない。この日のマリノスは4−4−2で攻撃的?に行こうとしたようだった。しかし、レッズの啓太、長谷部、山田の中盤の守備感覚が素晴らしく、マリノスは両翼に枚数を揃えて突破する事も、上野や山瀬によい体勢でボールを持たせる事も叶わなかった。一方でレッズの鋭いカウンタを、松田と中澤がよく押え緊迫感のある試合が継続。水沼氏は終盤に久保、隼磨、坂田と豪華絢爛な大駒を次々に投入しパワープレイを仕掛けて幾度か好機を掴んだが、最後の最後で闘莉王を破れず。



 両軍の守備の強さが前面に出た面白い試合だった。 

 しかし、マリノスはどうにも攻め手を見出せず、終盤のパワープレイに頼らざるを得なかった。先取点を奪われてしまいレッズに分厚く守られた事も確かだが、何かそれだけでない差があるように感じた。考えてみれば、この2シーズンマリノスは、自他共に認める分厚い戦闘能力を確保しながら、思うように勝ち切れずに、ついには名将岡田氏が辞任している。その要因としては、マンネリだとか、負傷者が多過ぎる事とか、様々な事が語られてきた。この日のマリノスの苦戦を見ていて、もう1つ異なる要因があるのではないかと思った。

 それは、守備ラインの選手のプレイスタイルが似過ぎているのではないかと言う事だ。このチームは、能力的には日本最高と言える中澤と松田がいて、さらに河合、栗原、那須、加えてベテランの中西と、実に強力な守備選手を抱えている。中西以外の5人はいずれも、大型選手で空中戦が強い。しかも、大型選手にありがちな足元の守備も問題なく、さらにボール扱いもそこそこよいのでフィードも悪くないし、持ち上がってのプレイもできる。バランスの取れた大型センタバックが少ない日本サッカー界ゆえ、ほとんどのクラブが外国人選手を補強しているが、マリノスだけはその必要が一切ない。

 バランスの取れた守備者ゆえ、河合や那須は守備的中盤で起用される事が多い。他のタイプのマリノスの守備的中盤選手と言えば、上野、マグロン(もういないけれど)、展開力と技巧に優れた選手だ。このレッズ戦の守備的MFのスタメンである河合と上野の組み合わせは、頑健+展開力と言う意味で理想的なバランス。

 けれども、この日ののように先手を取られ、強力な最終ラインと精力的な中盤に守りに入られた時に、この組み合わせはどうだろうか。マリノスとしては、展開力のある上野、ラストパスを出せる山瀬、サイドを個人技で崩せるドゥトラや吉田(隼磨)らが、フリーで敵陣を向いた状態を作りたい。けれども、レッズ(のような守備の強いチームが)が落ち着いてボールを回し、組織的な守備で中盤にスペースを与えてこないと、マリノスの名手達は思うように前を向けない。それを打破するためには、敵のボールを跳ね返す対応をする河合のような選手ではなく、(例えば啓太のように)自ら能動的にボールを奪い取りに行く選手が必要になる。ところが、豊富な選手層を持つマリノスだが、不思議にそのような選手がいないのだ。啓太とか今野とか明神のように代表クラスとまでは言わないが、中盤でよく動いて敵MFに自ら絡んでまとわりついてボールを奪いつなぐ選手、ジェフの坂本とか、トリニータの梅田とか、FC東京の浅利とか...そのような選手が1人でもマリノスベンチに座っていれば状況は改善するのではないか。しかし、あれだけ質の高い守備選手を多数抱えているマリノスとしては、わざわざそのような人材まで補強するかと言うと...

 まあ1つの邪説と思っていただければ。マリノスの苦戦の要因は、他チームから見れば垂涎の的である守備選手の層が厚過ぎる事ではないかと考えた次第。
posted by 武藤文雄 at 23:05| Comment(4) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今回のマリノス守備陣についての講釈とても斬新で納得させられました。<br />
守備ブロックが強固であるが故にそれが逆に柔軟性を奪っていて、跳ね返すことは出来ても絡め取ることが出来ない、という感じでしょうか?<br />
鉄壁と勝負強さを誇った2003年には運動量豊富で攻守に働く遠藤彰弘という名選手の活躍があったということもその証明になっているかと思います。
Posted by shanc at 2006年11月13日 08:00
確かに。<br />
遠藤の存在は本当に大きかったですねえ。<br />
その存在価値に比するような目立った扱われ方をされていなかった印象が個人的にはありますが、当時のマリノスの中では一番好きな選手でした。<br />
10番をつけたあたりから怪我に苦しんでいたような気がしますが、神戸移籍決定のニュースを聞いた当時、随分ともったいない事をするもんだなあと感じた事を思い出しました。<br />
Posted by Unknown at 2006年11月13日 16:47
「ねばっこい中盤守備者」の価値がマリノスの苦境から逆にわかるという指摘、なるほどです。<br />
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ゴチンと跳ね返しても、ポロリがあってチョロリときめられてガックシ。<br />
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松田がハイプレッシャのリーグでプレイしてれば、もっとしまった選手になっただろうに。彼の弟分(勇蔵&青山)に期待したい。<br />
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ちなみに、遠藤兄弟がそろってプレーしたことはあったのでしょうか?見てみたいなあ。
Posted by Unknown at 2006年11月13日 19:52
03、04シーズン時、ボランチには上記遠藤の他に、那須と柳想鐵がいました。<br />
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前者は実質的なデビューシーズンであったとはいえ、自分にできることとできないことをよく整理し、それこそ泥臭くアグレッシブに「カラメトルプレー」をしていたと思います。<br />
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あの「アテネでの世紀の凡ミス」以来調子を崩しそれ以降「自分はCBの選手」と自分で自分に限界を設けてしまい、結局伸び悩んでいます。<br />
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後者は武藤さん曰く「隣国の偉大なオールラウンダー」。その戦術眼はさすがで、前線・中盤・最終ラインとどこででもそのときそのときに必要なプレイをしてみせ、チームに欠けている部分を補っていました。<br />
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遠藤→移籍、柳想鐵→引退、那須→伸び悩み(プレイスタイルの変化)となり、コマ不足・・・。結局は武藤さんのご指摘通り、強固なDF陣がそろっていると自他共に認めているところに過信があったのかもしれませんね。<br />
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4DFのセンター2人が松田・中澤というだけで、かなり「強固感」が出ますものね(その『名前』が通用しなくなってきているのもまた事実ですが・・・)<br />
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かつての王者がその辺りをどう捉え、新シーズンにつなげて行くのか非常に楽しみです。
Posted by Unknown at 2006年11月14日 10:20
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