2006年11月10日

反町氏への大きな疑問

 私は今まで、反町監督を高く評価してきたし、五輪代表の監督としても大いに期待している。しかし、今回の韓国戦のメンバ選考は、全く納得ができない。具体的には、前回の国立中国戦で先発起用された選手が、選考されていない事だ。

 反町氏のコメントの主要部は以下の通り。
今年の目標である選手層を厚くする、一人でも多くの選手に経験をつんでもらう事を基準に選手選考を行った。この遠征では、前回中国戦で試合経験が出来なかった選手を中心に戦う。
 狙いたい事はよく理解できる。今年は可能な限り多くの選手に機会を与え、予選が始まる来年にチーム作りをしたいのだろう。また、単独チームに迷惑をかけないため、1回ずつの召集人数を少なくしたいと言う考えもあるだろう。けれども、運用が決定的に拙い。



 まず第1に相手が韓国だと言う事そのもの。韓国とは常に真剣勝負をすべき。どのようなレベルでも、韓国は日本と同等の強いチームを作ってくるに決まっている。たとえ、準備試合だとしても、その時その時の可能なベストメンバで戦うべきなのだ。試合前から、指揮官が敗戦の言い訳を準備可能な状況に自らを置いて、韓国と戦う事だけは許されない。これは理屈ではない。



 第2に選手のプライドの問題。これでは何をどう言いつくろっても、今回選考された選手が2軍扱いになってしまう。しかし、谷口、水野、カレン、家長、枝村と言った、中国戦に起用された選手と同等以上にJで実績を残している選手が、このような扱いに納得するだろうか。納得するとは思えないし、納得されても困る。彼らはプロだし、出る出ないの問題は団体競技の常だから、表立って不満を吐き出す事はないだろうが、面白く思っているはずはないだろう。さらに、不当な低評価を甘んじて受け取るようでは、成長も期待できない。彼らを使う側が、そのような事に細心の注意を払わなければならないはずだ。



 第3にこのような分離強化は、「集めて強化する」事の最大の目的である連携の強化に役立たない事。今回の五輪代表は、実に多士済々。最前線こそやや層が薄いが、DFとMFはJで実績を上げている選手がズラリと揃っている。反町氏の仕事は、これらの選手を適切に競争させながら連携を高め、五輪で好成績を上げる事で優秀なタレントに成功体験を積ませ、選手の成長を一層促進させる事にある。具体的に言えば、どの守備者が西川と円滑に連携できるか(もちろん、松井、佐藤昭、そして林らが、西川を脅かすべく研鑽を積む事は当然として)、本田と家長は併用できるのか、水野と北斗(と内田)をいかに並べるか、エクストラキッカーとして(いやファンタジスタでも何でも呼び名は何でもよいのですが)梶山、本田、水野、(梅崎、柏木)の誰を選ぶのか、等々と言った問題こそ、反町氏の仕事ではないのか。



 反町氏について危惧していた事が起こり始めたのだと思う。アルビレックス関係者には大変失礼かもしれないが、反町氏は「豊富な人材を自在に」指揮した事はないのだ。彼の実績は「少ない人材を苦労して」指揮した事だったのだ。現時点での反町氏は、ありあまる玩具を持て余し、強化を理論的に進めようと考え過ぎて、理論倒れしようとしているのだと思う。

 幸い、反町氏には1年半の時間がある。「少ない人材を苦労して」指揮していた監督が「豊富な人材を自在に」指揮する監督に成長するには十分な時間だろう。「豊富な人材を自在に」指揮していた監督が「少ない人材を苦労して」する監督に成長するは相当難しいだろうが。ただし、反町氏の仕事は、自らが成長する事ではなく、成果を出す事なのだが。



 以上クドクド述べてきた私の屁理屈を、反町氏には是非見返して欲しい。話は簡単だ。韓国に2連勝してくれればよいのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:17| Comment(14) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
第一番目の理由だけが言いたい。ということが良く分かる文章です。<br />
でも韓国にこだわる理由も特にない(私には)。<br />
今はJリーグ重視だよ。アジア大会にJのレギュラー取られるのも納得行かないです。JFAには選手選考の際優先順位を付けて欲しい。<br />
前回のU23もアジア大会とアテネではメンバ殆ど代わっていた事を考えると連携問題も関係ないのでは。<br />
中国戦のメンバーが一軍と考えられているとは思いません。<br />
以上私の個人的な意見ですが、まあ見守りましょう。<br />
Posted by Unknown at 2006年11月12日 03:46
この強化試合はアジア大会のためのものであるはずなので、そのメンバーで臨んでほしいですね。この大会は94年ファルカン体制を最後に、98年トルシエ、02年山本と五輪世代で参加するのが恒例の様になってしまっていますが、韓国がイチョンスらフル代表メンバーも混ざっている以上、この大会のために強化して、勝ちにいってほしい。アジア大会メンバーがベストではないのはJとの兼ね合いで仕方ないにせよ、すでに発表になっているので、例えばボランチ谷口と青山敏は大熊時代からほとんどコンビを組んでないし、この大会最大の見所である本田と家長の併用がどうなるかは、本来なら大会前に準備してほしいですね。
Posted by 海外組 at 2006年11月12日 05:30
いや、私は反町氏は武藤さんの何倍もリアリストだと思うので(そこが気にいらないのですが)、前任者の轍を踏むことはないと信じています。前回のスタメン組を連れていってしまうとついそちらに頼ってしまうという自分の性格をわかっていて退路を断った(笑)のではないかと・・・
Posted by しゅー at 2006年11月12日 09:43
>「豊富な人材を自在に」指揮していた監督が「少ない人材を苦労して」する監督に成長するは相当難しいだろうが。<br />
これには同意します。<br />
某J2のブラジルから来た監督もです。<br />
<br />
ばん、頑張って1軍メンバーに!<br />
Posted by せんだい at 2006年11月12日 11:42
別に韓国だからって所詮テストマッチ<br />
なんだししゃかりきになって<br />
相手するようなとこでもないし<br />
いいんじゃないですか。<br />
まあやるからには勝って欲しいけど<br />
今回のメンバーも十分強力な面子だし<br />
勝ちに行くと思いますよ。<br />
<br />
それにU21が本格稼動するのは<br />
今インドで戦っている面々が<br />
呼べるようになってからだと思うので<br />
今回の反町氏の選択は批判に値するようなところは・・・<br />
まあ前任者みたいな言い訳はしないで欲しいけどw
Posted by トラマ at 2006年11月12日 12:39
過剰に反応することはないとは思いますが。<br />
後で(結果や試合内容からも)分かることですが、内部でのマネージメントなんかの方がよっぽど興味があったりして。<br />
<br />
それより、向こうさんのU21には洪明甫が大きく関わっているようなので、反さん・明甫好きの私としてはそっちに興味があります(と余裕をかましつつ)。
Posted by sillywalk at 2006年11月12日 12:59
> 話は簡単だ。韓国に2連勝してくれればよいのだ。<br />
今回の対戦相手が韓国でなかったとしても、選考について果たして同じような講釈を垂れたのだろうか?<br />
<br />
抜粋された反町氏のコメント(のみ)を以て「2軍扱い」と決めつけているのだとしら、それはどういう思考を持ってすれば成せるのか。選手のプライドに対し細心の注意を払った上での講釈か。<br />
<br />
まあ、すべては「理屈でない」のだから仕方がない。<br />
戦う前から、育てる前から、理屈無しの体で臨むからいつまで経っても運任せだ。<br />
韓国サッカーに対し劣等感を持つ指導者が早くいなくなってくれることを切に望む。
Posted by 虎馬 at 2006年11月12日 15:13
毎回武藤さんの文章を読んで良い意味で唸っている読者のひとりですが、今回は悪い意味で唸ってしまいました。<br />
<br />
韓国にそこまで固執する必要はないんじゃないかなぁ。テストマッチなのだから。<br />
あと揚げ足取りかもしれないけれど、2軍扱いのようなコメントを反町氏は残しているけれど、主力級はちゃんと召集している。つまり反町氏はしっかりと韓国に「勝つ意識」でいるということではないですか?<br />
<br />
しかし代表監督とは大変な仕事ですね。常に同じメンバーばかり招集していても批判され(ジーコ氏)、軸を決めつつ新しいメンバーを招集しても古井戸の選手を求められ(オシム氏)、メンバーをたくさん召集しても批判される(反町氏)。<br />
まず監督になったら一年間(もしくは半年間)のマスタープランを協会とマスコミに配布するべきですね。そうしないと短期ごとにプランが狂っていきそう。
Posted by shun at 2006年11月12日 16:58
私は今回の講釈は最もだと感じました。<br />
<br />
確かにJリーグ以降の日本のサッカーファンにとっては、歴史的な意味での韓国というのはそれ程特別視する相手ではないというのはあります。韓国側からの執拗な敵対意識を嫌ってもいます。<br />
<br />
しかし、サッカーという観点からすれば、どのような状況(今回のような単なるテストマッチ)であっても、勝利への執着心を剥き出しにして全力で向かって来てくれる「強国」は韓国以外には皆無です(アルゼンチンは真面目に蹴散らしてくれますが)。そのような相手に対してこちらもベストを尽くして戦うのは、それこそ「理屈ではない」のではないでしょうか。<br />
<br />
JリーグやA代表との複雑な絡みをまだうまく整理できていないだけでしょうが、(中国に比べて)韓国という相手の特別さを絶対に知っているはずの反町氏がこのような選考をしたというところに、危うさを感じてしまいます。打算が過ぎるような・・・<br />
<br />
まあ、チーム立ち上げ間もないことですし、反町氏への期待は並みではないので、五輪予選までには素晴らしいチームができると信じてますが。
Posted by もれの at 2006年11月12日 19:57
しなくてもいいかとは思います。<br />
もちろん、積年の状況は分かってるつもりです。<br />
<br />
問題なのは、監督も選手も「アピール合戦」の前任者のようになってほしくない。それだけです。<br />
<br />
単なるテストマッチという意見も分かりますが、負けてしまえばそれ以上のダメージを受けることは、考えないといけませんよね。
Posted by TACCI at 2006年11月12日 20:54
どうも私達の世代は対韓国に過剰反応してしまう。<br />
J開幕以降はそこそこ戦っているが、それ以前は・・(以下自粛)<br />
<br />
今回のメンバーをサブ呼ばわりした反町って・・・。<br />
カレンや津田のほうがJで実績があるのに(笑)<br />
まぁ、今の韓国なら、このメンバーで無問題だと思う私はやっぱりド素人。
Posted by 天邪鬼 at 2006年11月12日 22:54
韓国とはWカップで直接対決する可能性はきわめて低いのだし、何ら特別視する必要を感じません。若い年代から意識すべきはモンゴロイド以外とどう戦うかではないでしょうか。
Posted by Unknown at 2006年11月13日 19:10
 けっして2軍を連れて行くようには思わないのですが。練習だけではなく試合の中で評価できる選手もいると思いますし。若い選手は一つのきっかけで大きく伸びる可能性を持っているのではないでしょうか。前回の試合でプレーできなかった選手にきちんとチャンスを与える。この時期に大きく騒ぐことでもないように思います。もちろん、選手選考を負けたときの言い訳にはして欲しくありませんが。
Posted by カタヤマ at 2006年11月14日 17:42
 すいません、追記です・・・。<br />
<br />
 豊富な人材がいるからこそ色々な選手にチャンスを与えるのではないでしょうか。豊富な人材を巧く采配できるようにするために。
Posted by カタヤマ at 2006年11月14日 17:47
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