2006年11月09日

これで2勝2敗

 アジアユースで韓国とPK戦をするのは4回目のはず。

 1回目は71年東京大会。永井、奥寺、碓井らの時代で準決勝だった。私はまだ小学生でTVのスポーツニュースで「日本が負けた」と言う事実しか認識できなかった。そもそも、「PK戦」と言うものを、あれで初めて見たような気がする。後日、記録を読むと「金鎭国が蹴る振りをして蹴らないと言う悪辣なフェイントをして、GK瀬田が興奮してしまった」との事。これはこれで歴史的な名場面なのだ。

 2回目は77年大会準々決勝。金田、木村和司、山本昌邦らがいた時。この時はPK戦で韓国を振り切っている。もし、次の準決勝で地元イランに勝っていれば(後半終了間際に決勝点を入れられて1−2で負けたはず)、日本は第1回ワールドユースに出場できていたのだが、おそらく当時の松本育夫監督を含めて、日本協会の関係者は誰もそんな事に気がついていなかったのかもしれない。

 そして3回目は前々回の大熊氏が平山にロングボールを合わせた大会だ。

 これで2勝2敗。林も福元も梅崎も青木も柏木も、そんな事は知った事じゃないだろう。しかし、歴史は継続する。林は瀬田の無念を晴らしてくれた。どうでもよいが、青木の技巧、切れ味、得点力は永井にちょっと似ている。おー、古河じゃなかったジェフの選手ではないか。



 とは言え、戦い方は褒められたものではなかった。

 開始早々に失点したため、前半からややハイペースで飛ばし過ぎたのは仕方がない。堤が負傷だったのかどうかは知らないが、後半早々に後方の選手を代えた事で、後の交代が苦しくなったのも不運だった(もっとも交代した香川を基点に同点弾が決まったのだから、この交代そのものは成功だったと言えるか)。

 しかし、後半半ばからあそこまでベタ引きは拙いだろう。案の定、完全に押し込まれてしまった。通常であれば、中盤の選手を代えてペースを取り戻すべきだが、吉田氏は延長まで考えたのか動かない。だったら、梅崎や青木がもう少し運動量を増やして敵DFを下げなければならないのに、完全に引いてしまいさらに押し込まれる。槙野が退場になったのは妥当な判定だったが、あのような状況を作られてしまったのも、チーム全体の戦い方が稚拙だったからだ。

 さらに10人になってから、完全に引きこもるのはいかがなものか。せめて、若森島と青木は距離を近くにおいて、絶えずウラを狙えば、あそこまで押し込まれる事はなかったはずだ。



 まあ、そんな事はどうでもいいのだな。



 韓国の心理を考えてみよう。開始早々にウマウマと先制しシメシメ。さらに前半幾度となく訪れた決定的ピンチをとにかくしのぎ、精神的に優位な状況で後半を迎える。と、思ったら完全に崩されて同点に追いつかれる。しかし、前半のオーバペースがたたって日本が動けなくなり、押し込んでおいて退場者が出て相手は10人に。延長戦徹底的に押しまくる。ところが、数少ない逆襲速攻から決定機を作られ1度しのいだと思ったら、さらに詰められ信じ難い状況でリードを許す。それでも、幸運なゴール前のFKから同点に追いつき、圧倒的に押しながらもう1点が取れず、とうとうPK戦に持ち込まれる。PK戦でも「もうダメだ」と思わせておいて、日本のミスもあり、追いつきようやく優位に立ったと思ったら、最後の失敗で万事休す。

 ここまで「ヤッタ!」と思ったにも関わらず、「ズド〜〜〜ン」と突き落とされる事を繰り返し、最後奈落の底に落ち込んだのだから、もう救いようがないはず。

 しかも、しかもですよ。傷心の彼らは帰国すら許されない。3位決定戦に出なくてはいけないのだ。さらに、さらにですよ、決勝戦の組み合わせはあろう事か、日本対北朝鮮。彼らは、その試合の前座を務めなければならないのだ。へ!へ!へ!



 まあ、そんな事はどうでもいいのだな。



 今回のユースは欠点もあるが、それを補って余りある魅力のあるチームだ。ここまで来たのだ。あと1つ、あと1つ、とにかく北朝鮮を三たび打ち破り、念願のアジアユース制覇と行こうではないか。ワールドユースで、小野たちよりよい成績を収めるのは、その後の事だ。



 技術面で1つだけ。

 若森島の同点弾は本当に嬉しかった。前半、若森島は足でシュートする絶好機を2回逃してしまった。いずれの場面も、左方向に斜行しながら、利き足の右で打とうとして、よいシュートが蹴り切れなかった。ところが、この同点弾は右でのキックフェイントで抜け出し、左足で決めた。素晴らしい。前半の失敗を、見事に修正したとしか思えないではないか。この男はアタマがいいよ。

 いいかい、若森島君。君が所属するチームには、3,40年前に、右足で物凄いシュートをいつも打てて、敵が右を抑えにくると逆をついて左でしっかりと決めて、もちろん空中戦も完璧だった、凄いオッサンがいたのだよ。君が目指すのはそのレベルなのだよ。
posted by 武藤文雄 at 23:51| Comment(13) | TrackBack(0) | 若年層 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いやあ、心臓が文字通りフィジカルに痛くなった試合でした。w<br />
(マジ、サッカー見ながら死ぬかも)<br />
<br />
TV音声がひどく(もちろん内容が)音声を消して見た生涯2試合目の試合。w<br />
<br />
「シュートを転がして打て!」<br />
と念じながら、韓国がシュートをふかすとホッとしてました。<br />
<br />
後ひとつ!
Posted by Unknown at 2006年11月10日 10:05
いやあ、心臓が文字通りフィジカルに痛くなった試合でした。w<br />
(マジ、サッカー見ながら死ぬかも)<br />
<br />
TV音声がひどく(もちろん内容が)音声を消して見た生涯2試合目の試合。w<br />
<br />
「シュートを転がして打て!」<br />
と念じながら、韓国がシュートをふかすとホッとしてました。<br />
<br />
後ひとつ!
Posted by Unknown at 2006年11月10日 10:05
うろ覚えなので間違いかもしれませんが3回目のPK戦は前回大会決勝ではないでしょうか?<br />
増嶋が振り切られた失点や平山のゴールを覚えているので.<br />
Posted by 3回目 at 2006年11月10日 10:42
うわーずっと忘れていた、キムジンクック思い出しました。<br />
小学生のとき国立で見ましたよ〜。<br />
韓国にPKで勝つなんて・・・思えば強くなったんですね、日本も。。。
Posted by sociton at 2006年11月10日 12:54
PK戦は前回大会の準決勝ですね。<br />
日本は4位通過でした。<br />
北朝鮮○タジキ○イラン●サウジ○韓国○北朝鮮○で優勝して欲しい。<br />
レベルの近い強豪とぎりぎりの試合をやって勝ち進んだ日本、彼らの将来は明るい!!
Posted by 九州男児 at 2006年11月10日 17:11
青木というラッキーボーイが出たのも大きかったですね。団体競技では、こういうツキを持ってくる選手をうまく使うと、波に乗れます。決勝でもスーパーサブとして使われる可能性大ですが、機を逃さないで欲しいものです。
Posted by 頑張れ若武者 at 2006年11月10日 21:59
若森島が目指すのは釜本のレベルですか<br />
その前に西沢の点で合わせる技術とピッチのどこでも基点になれる巧みなポストプレーを見習って欲しいもんです
Posted by Unknown at 2006年11月10日 22:57
若森島って誰ですか?<br />
<br />
森島(康)のあだ名はデカモリシであり、セレサポでも若森島なんて呼び方はしないし。<br />
Posted by Unknown at 2006年11月11日 01:10
この辺の年代はほんと一戦一戦の伸びしろが大きいですね。ワールドユースが楽しみで仕方ない。<br />
あと、西沢の三次元ピンポイント合わせ、ありゃセンスであって学ぶものではないような気もします。学ぶべきは往年の(?)大久保先輩でしょうか。
Posted by とし at 2006年11月11日 01:44
>若森島って誰ですか?<br />
>森島(康)のあだ名はデカモリシで>あり、セレサポでも若森島なんて呼>び方はしないし。<br />
<br />
セレサポの間ではあだ名が規則かなんかで決められてるんですかあ?<br />
それともセレサポはあだ名の特許でも持ってるんですか?別に選手はあんたらの所有物じゃないし、おのおのが好きなように呼べばいいでしょう。<br />
Posted by M at 2006年11月11日 03:04
今回のエントリで私が味わったのは、<br />
中盤と中後半に、ガットゥーゾの<br />
粘着質なディフェンスを髣髴と<br />
させるような一文、<br />
<br />
「まあ、そんな事はどうでもいいのだな」<br />
<br />
をダブルで配置した部分である。<br />
<br />
私のような未熟者なら、FWを3枚に<br />
して「分かりやすく」得点を求める<br />
所、このように中盤の底に厚みを<br />
持たせる手法になんとも言えない<br />
味わい深さと、奥深い<br />
「江戸の敵を長崎で」的心性を<br />
感じるのである。<br />
<br />
まあ、煮え湯を飲まされ続けた<br />
韓国に一矢報いるのは、どんな舞台<br />
であっても悪い気分はしないと…<br />
そういうことですよ、要するに。<br />
多分。はい、いえいえ。<br />
まぁ、なんといいますか。ええ。<br />
いやいや。ははは。
Posted by g at 2006年11月11日 08:28
あんなに激闘を戦った相手にリスペクトもなくそんなことを平気で自慢げに書くのはどうかと思います。<br />
正直がっかりです。
Posted by シャズ at 2006年11月12日 00:41
君は僕の文章の暗喩が<br />
全く分かっていない。<br />
(ヒント:前日の8日)
Posted by g at 2006年11月12日 09:37
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