少々興奮している。
戦力が充実し、Jリーグでも優勝を争ったチーム同士の重厚な決勝戦になったからだ。これほどの組み合わせになるのは、91−92年、92−93年シーズン2年連続で優勝を争った読売−日産(ヴェルディ−マリノス)以来ではなかろうか(この2つの決勝戦はいずれとも日本サッカー史に残る名勝負となった)。
元々、天皇杯の決勝戦と言うのは、JSL時代も含め、必ずしも時のトップクラブ同士の決勝になる例は少なかった。これは一発勝負のトーナメント戦ゆえに強いクラブが必ずしも決勝に残るとは限らない事による。
さらにJリーグ開幕以降、契約失効タイミングの関係で、多くのクラブは天皇杯開催中にも関わらず外国人選手が帰国するなど、ベストとは言えないメンバでの戦いを余儀なくされていた。そのため、一層番狂わせが発生する可能性が増えたのみならず、何かしら天皇杯決勝戦の格付けが落ちてしまった印象すらあった。
結局、天皇杯の権威や盛り上がりをどうするかと言う問題は、天皇杯のみならず日本サッカー界全体の日程問題であり、これについて書き始めるとキリがないので別な機会に。ただ私の意見は、決勝の元日開催にこだわるのは、もうやめるべきだと言う事だ。日本の天候事情を考慮するとサッカーシーズンは春−秋(冬)制を採るげきだが、その場合元日の決勝は年間日程を非常に窮屈にしてしまうのが1つ目の理由。元日と言う日は多くの日本人が故郷で過ごす日でありタイトルマッチの決勝を行うには不適切な日である事が2つ目の理由。さらには当日のTV番組は正月特番であり、翌日は新聞休刊日である事から天皇杯優勝報道のマスコミ露出が非常に少なくなる事が3番目の理由だ。伝統やノスタルジーと言う観点から、元日の決勝開催を推す意見もあるようだが、非常に根拠の薄い考え方だと思う。
さて、準決勝。
レッズ−アントラーズ。煮詰まったタイトルマッチらしく、両軍守備を固めての攻防。それぞれ敵陣をこじ開けたのは、小野、ポンテ、野沢と言った卓越した個人技の持ち主だったのが、いかにもタフなタイトルマッチらしかった。ワシントン、闘莉王、アレックスと3枚も大駒を欠きながらも、小野とポンテと言う大駒で勝ち抜くのだから恐れ入る。小野については、ボールの触る頻度にはまだまだ不満が残るが、相当体調は戻ってきたようだ。あの先制点を見せられては注文の付けようがないではないか。この天皇杯が「小野が復活した大会」と呼ばれるかどうか、決勝を待ちたい。
アントラーズは野沢の成長が大きい。同点弾のFKを含め、本人も攻撃のリーダとして相当自信をつけており、小笠原不在を感じさせなかった。本山も元気だし、岩政、内田、深井、田代、新井場、増田(この日増田を使っていれば、もう少し野沢が前を向いて楽にプレイできていたように思うのだが)など日本人選手の質は、相変わらずリーグのトップレベルだろう。けれども、このクラブの最近のブラジル人がほとんど今一歩なのだ。ジーコ招聘以来、ブラジルとのコネクションは強いと思うのだが。そういう意味ではアレックス・ミネイロは久々のヒットだったのだけれども。
ガンバ−コンサドーレ。試合運びの巧拙で勝負がついてしまった。
ガンバの先制弾は、自陣前でコンサドーレに好位置での直接FKを与えてしまった直後の事。砂川のFKを壁で跳ね返した直後の速攻。マグノ・アウベスと前田の前進の速さ、さらに後方から長躯する加地。まさに攻守の切替の早さの差が出た場面だった。また2点目はどう考えてもオフサイドだろうけれど、あそこは笛が鳴っていないのだから冷静にプレイを続けた宮本を褒めるべきだろう。いずれの場面も、セットプレイ直後のほんのちょっとした隙に対する対応が1部と2部の差と言う事か(同じような差を、拡大トヨタカップのインテルナショナルとアル・アハリにも感じたのだが)。
ガンバはシジクレイが控えに下がっているが(体調不良だろうか)、実質的には決勝にはベストメンバで臨める。一方のレッズはワシントン、闘莉王、アレックス不在にも関わらず、決勝では長谷部が復活する事で中盤の選手選考に嬉しい悩みを抱える程の選手層を誇る。宮本とブッフバルド氏それぞれの最後の試合となると言う両軍の思い入れを含め、舞台は整った。
ガンバはレッズからある程度得点は期待できると思う。遠藤、二川が好調で、播戸、マグノ・アウベスの得点力は相当だからだ。勝負は、宮本、明神が網を張る守備網と、ポンテ、小野の技巧と発想による攻撃と、いずれが上回るかで決まるのではなかろうか。
歴史的な名勝負を期待したい。
2006年12月29日
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僕は、小野が「天皇」になる大会になるのでは?とおおげさにも思ってしまいました。
あと明治神宮帰りの集客が見込めるとか何とか。<br />
いずれにしても今の時代にそぐわなくなっているのは明らかですが、いざ変えるとなるととてつもない大仕事になるのでしょうね。
ラインの前に3人くらい残っていますが<br />
パスの瞬間の宮本はオンサイドです。<br />
副審は良く見ていたと思います。
3年生も参加しやすくなると思いますし。