98年はチェコ、ワールドカップ初戦まで21日だった。岡田氏が迷いに迷って、井原をスイーパにした3DF採用を決断。その布陣が、本大会出場権こそ逃したものの欧州屈指の好チームであるチェコに通用し、ほぼ完璧な守備を見せてくれた事に、一定の安堵感を抱き、トゥルーズで再会するまでの代表を、欧州に送り出す事ができた。
02年はスウェーデン、ワールドカップ初戦まで14日だった。負傷で離脱していた森岡が間に合った事が最大の収穫と思われた(もっとも、森岡は本大会初戦のベルギー戦で再度負傷し、離脱してしまうのだが)。さらに、直前の敵地ノルウェイ戦の惨敗後だっただけに、本大会で上位進出を狙う強国に対し互角以上の中盤戦を演じられた事に、相当の自信を持って地元大会に臨むことができた。
そして、06年。ワールドカップ前最後の国内での国際試合の相手はスコットランド、初戦までは29日。内容、結果ともに何とも微妙な試合だった。
元々、大きな大会前の準備試合と言うのは、調整の度合いが強かったり、秘密兵器を隠したり、結果、内容ともに、あまり気にする必要はないものかもしれない。けれども、もうジーコ氏の采配を国内で見る事ができない(元々、「采配と言う概念があるのか」と言う質問はもちろん禁止)と思うと、あの02年秋口のジャマイカ戦からの日々が思い出され、やはり感慨深い。いや、ジーコ氏だけではない。ワールドカップ後、新たな体制でA代表強化がスタートすれば、幾人かの選手は選考対象外になるやもしれぬ。そうなれば、青いユニフォームを着た見慣れた顔も観られなくなるのだ。そう思うと、私としては、このスコットランド戦に、特別な感情を抱かずにはいられなかったのだ。
ただし、過去の2大会の最後の国内試合と比較して決定的に異なる点が1つあった。
この試合はベストメンバではなかったのだ。つまり、この試合をここまでの集大成と言ってはいけない訳で、過去2大会の試合とは、大きな比較障害があると言う事だ。もっとも、今回のメンバでのチームに対して実質的に戦力アップとなる不在選手は、中田、中村、松井の3人くらいのような気もするが。
今回欧州でプレイする選手が選考されなかった事は、最初はインタナショナルマッチデイではないので、仕方が無いかと思っていた。ところが、キリンカップ途中に中田も中村も既に帰国していながらの不選考と言うのだから、日程作りを含めて不思議な気がする。チーム作りのためにも、観客動員のためにも、TVの視聴率向上のためにも、選んだってバチはあたらなかったと思うのだが。まあ、お2人にはしっかり休んでコンディションを整え直していただければ、それで構わないのだけれども。
ただし、上記した「特別な感情」からすれば、次期代表監督が中田あるいは中村抜きの代表を指向する可能性がある以上、「ワールドカップの準備」と言う概念とは別に何かしらの寂寥感も感じた試合だった。もう、あの2人の日の丸を国内で見る事はないかもしれないのだから(そんな事はないかと思ってはいるけれど)。
ともあれ、少し現実的な感想も。
まず小野の復調が著しい事。あの前半終了間際の美技を筆頭に、幾多の好機を演出した。ブルガリア戦後にも述べたが、ジーコ氏は、「中田、小野、中村の3人をいかに並べるか」と言う、上記のジャマイカ戦以降解決の糸口を見つけていない課題に取り組む事になる。そして、2次トーナメント進出を左右するのは、「その組合せを見出せるか否か」に尽きるのではないか。
FW問題。久保の体調が悪いのは極めて深刻。巷の予想では、ジーコ氏は久保、高原、柳沢、玉田、大黒の5人を選考するのではないかと言われている。しかし、久保の体調は未だベストではなく、高原は04年以降まともに代表で機能した事がない(もっとも、最近代表でよく得点は決めているな、この男は昨年のテヘラン以来信用できないと言う俺の偏見なのだろうが)、柳沢の回復は神のみぞ知る(この選手の負傷は本当に痛い、ベストならば「点が入らない事」以外は完璧なFWなのだから)、玉田は意欲は溢れているが現時点ではチームとしては全く機能していない。とすれば、消去法だが、最悪のケースでは大黒のみが計算できるFWと言う事になってしまう。もちろん、これからの1ヶ月で彼らが体調を整え、中盤の大スターたちと連携を整える可能性も低くはないだろう。皆、大変な潜在力の持ち主なのだから。
けれども、リスク管理として、上記の誰かを外して、巻か寿人(あるいは両方)をメンバに入れておかなくて、本当に大丈夫だろうか。少なくとも、この2人は体調もよく、その献身性と使われて活きるプレイスタイルは、たとえ中田、中村と1度もプレイした事はなくても、十分に彼らの家来として機能できるはず。
5月と言うのに霧雨と強風と攻めあぐみでひたすら寒かったこのスコットランド戦を、後年いかに振り返る事になるのだろうか。
2006年05月13日
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柳沢大黒はW杯最終予選・コンフェデと活躍してくれてました。けど高原の場合は勝負弱いというか、運が無いというか、何のプレッシャーもない親善試合でしか活躍できないイメージ。<br />
それでも実力はあるんだからW杯ではきちっと自分の持ってるもの全てを出して欲しい。
決勝戦に残れるか否かに関係なく、ジーコは大会前にではなく、大会を通じてチームを作る気でいるようです。笑うしかないか。笑ってしまおう。いや、マジで。