2004年04月16日

オシム氏に騙されるな

 先週日曜日に、松本育夫氏の前にひれ伏す事になったベガルタだが、あえて試合前に詳細に触れるのを、止めておこう。試合前にクドクド講釈を垂れるとロクな事がないような気がするので。たまにはジンクスを気にしようかなと言う事。



 と言う事で、全然関係ない話題。ジーコ氏インタビュー一色に塗りつぶされた感がある今週の愛読書サッカーマガジンだが、地味ながら興味深い記事がいくつか。中でも面白かったのは、武智氏のコラム。

 前々節のジェフ−アントラーズ戦。GK曽ヶ端退場後、10人となったアントラーズにジェフが猛攻をかけるが得点できずに時間が経過。逆にアントラーズに本山、小笠原の好技で先制を許す。そこで、オシム氏は3DFの一角茶野に替えてFW林を投入、林が右サイドをえぐる事で作ったチャンスから2点を奪い逆転に成功した。

 さて、上記コラムによると、その試合後、武智氏はオシム氏に質問したと言う。「クロスを上げる位置が浅過ぎたのが、林の投入によって改善されたのではないか」と。

対するオシム氏のお答え。「(前略)どういうクロスを上げるかの方が問題だ。サイドをえぐればえぐるほどいいとは限らない。深くえぐればラストパスを折り返す角度も狭くなるからね。ま、林が何かをやろうとしたのも確かだが」いかにもオシム氏らしいわかったようでわからない薀蓄ではないか。

 武智氏はこの返答に対して(オシム氏が言う通りアーリークロスは角度が限定されるが、一方でえぐるクロスは敵DFがゴールに向いて処理しなければならないメリットもあるはずと書きつつ)「『素直にアーリークロスを上げていい時もあれば、しつこくサイドをえぐった方がいい時もある。選択は頭を使ってするもので、時に変化を自分でつけてみろ』と、オシム氏が言いたかったのではないか。私との短い問答で選択肢の多様性を示唆するとはさすがオシム大先生、万歳」(トクに最後の方の意訳はもちろん武藤です)と言う風にまとめている。

 サイド攻撃の方法論を考えさせてくれるとてもいいコラムだと思う。



 ただねえ。そこまでオシム氏を讃えるのはいかがだろうか。

 私はこのオシム氏のお答えは、氏のサッカーへの慧眼によるものと言うより、武智氏の的確な質問をはぐらかす目的だったしか思えないのだ。林がよく右サイドをえぐったのは事実だし、それがオシム氏の指示であり交替の意図だった事は疑いない。読みのよい大岩と頑健な金古のアントラーズセンタバックを破るためには、アーリークロスでは難しかったのだから。

 岡田、ネルシーニョ、原、ベルガー、小野、ハシェック、アルディレス、桑原、反町、Jリーグには知的な監督が多数いる、少しでも彼らの警戒を解こうという三味ではないかと思っただけ。
posted by 武藤文雄 at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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