3月19日にも述べたが、ジーコ氏の「無許可外出選手の不選考」と、山本氏の「選考」は、どうにも納得できない。ジーコ氏の不選考の可否についてではなく、日本協会の対応に共通性がない事そのものが気に入らないのだ。田嶋氏が記者会見で述べたように「ジーコ氏の意をくんで最大限のバックアップを...」と言うならば、山本氏が何を言おうが断固として大久保と茂庭は五輪代表からも追放されるべきだったし、ジーコ氏が許可するまでは復帰するべきでない。このA代表の監督の立場を軽視しているとしか思えない日本協会の姿勢は、全くもって不思議である。
勘違いしないで欲しいが、私はジーコ氏の「不選考」には賛成できない。しかし、賛同しないものの、ジーコ氏が自らのチーム運営上「不選考」を決断したのならば、その決断は支えられるべきだと言っているのだ。したがって、氏の監督不行き届き云々や、オマーン戦翌日のカーニバル帰国や、海外組重視による国内組モチベーション劣化などについては、ここでは触れない。
結果として、今回の「不選考」は、およそ懲罰性が薄いものとなってしまった。むしろ、「選考されなかった事」がJリーグでの体調維持などに有益にはたらき、喜んでいる選手も多いのではないかと言う程だ。
さらに本題からはずれるが、「無許可外出問題」に関しては、他の客や従業員とトラブルを起こしたとの報道もあったが、そちらは「無許可外出」以上に重要な問題である。それについて、日本協会から明確な説明が行われていないのは、説明責任上大問題なのだが。
こう考えてくると、納得できない事だらけである。
例えば、今回の五輪代表は豪州合宿などを含め執拗な準備を行った。UAEステージ、東京ステージいずれも、最終戦のUAE戦は、選手層の厚さももちろんだが、日本の肉体面のコンディションは格段にUAEを圧倒していた。今回の五輪予選のみならず、ここ数年のこのあたりの日本の各種代表チームの事前準備は定評のあるところ。もっとも印象的なのはやはり97年のジョホールバル、高温多湿のマレー半島独特の気候に試合終盤イランが疲労困憊になってしまったのに対し、延長終盤まで日本選手の運動量は落ちず、勝利への最大要因の1つとなった。
ところが、ジーコ氏の代表チームを見ていると、そのような事前準備のよさを全く感じる事ができないのだ。先日のオマーン戦に至っては、豊富な選手層を誇る日本が、ホームグラウンドで自在に選手を選考できる状況にも関わらず、高熱で体調が全く整っていない選手を強行出場させる事になったのだから。直前帰国の海外チームの選手の体調はどうしようもない部分もあるが、国内で合同トレーニングを積んでいる選手の体調が整わないのはどう言う事だろうか。最終的な選手起用と結果はジーコ氏の責任であるが、コンディショニング及びそれを支えるスタッフ選考は、日本協会の問題ではないのか。
ジーコ氏の独善性のためかもしれないが、日本協会が現状のA代表をスタッフワークの面で、最適にサポートしていないように思えてならないのだ。大事な大事なワールドカップ予選に対して、本当にこれで適切な準備がなされていると言えるのだろうか。
もっと不思議なのは、あのメンバ発表の時、あそこまで引きつった表情で「裏切られた」と語り「不選考」について熱く語っていたジーコ氏が、どうして五輪代表の大久保、茂庭の選考に抗議しないのだろうか。もしかしたら、五輪代表の試合を見てはいたようだが、誰が出てどのようなプレイをしていたのか把握していなかったりして。
2004年03月24日
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